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ユキヤは今大きな病をしたことがなく、渡された紙を見てもよくわからない。〇と×が書かれているが?
「ユキヤさんでよろしいかしら。スバルさんの検査結果です。魔導士さんは幼少期に何かしらの特徴がでますね。どこかが過敏で暮らしにくいとか、身体機能の一部の発育がおくれるとか。」
それはさすがに知っている。ミサキさんは味覚過敏だったしユキヤとサクラは波長の合わない人がいて苦労した。アユミは失語があったはずだ。
「知っています。人それぞれですよね。大人になると治ることがほとんどなんでしょう?」
にこりと笑って、医師が答える。
「そうね、大抵は7歳頃をピークに徐々に回復してきます。ただ、一部の人は完全には治らず、一生その特性と付き合って生きていくことになります。ユキヤさんもまだ残っているんでしょう?いまだに波長が合わない人がいる。私はそんなに波長が合いませんか?」
図星だ。どうにもこの女性、受け付けられない。さわられたら発狂しそうだ。
「申し訳ありません。初対面だし、あなたは何も悪くないのに。どうにもできないんです。」
「わかっていますよ。お気になさらず。えーと、スバルさんのことです。子宮が奇形に近い発育不全で、成長が遅れているだけかとも思いホルモン治療もしましたが、回復する気配がありません。つまり…将来的に不妊症といってね、妊娠は望めないようです。」
医師の説明を聞き、ユキヤは質問する。
「それで!その、奇形があるとどうなるんですか?まさか命にかかわるとか…」
「いえ、だからその、不妊で子供が産めないということです。分かります??」
沈黙の時間が流れた。ユキヤが聞く。
「その、子供が産めないだけで、スバルちゃんがどうにかなっちゃうとかでは…ないんですか?」
医師がコホン、と咳払いして説明する。
「子供が産めない以外はいたって普通に健康な体です。寿命を縮めることもありません。とにかく妊娠ができないということです。」
「はぁ~…なんだ、ビックリしたよ~。内臓奇形って手術とかしないと生きられないってよく聞くから、そうなのかなって。すごい真剣に考えちゃった。」
ユキヤはあっけらかんとした態度で姿勢を崩し座っている。医師は説明を続ける。
「あなたは別に子供を望んでおられないようですね。それなら、あなたにとっては大したことないようですね。でも、スバルさんはそうではない。ゆくゆくは結婚をして子供を産み、自分たちの家庭を、そう考えていたようです。」
そうか、スバルちゃんは赤ちゃんが欲しかったのか。それなら残念に思うだろう。
「スバルさんはまだ幼く、子供を産まない生き方を知らないようです。そしてパートナーとなるあなたとの将来も気になっていることでしょう。ゆっくり話し合ってみてください。あなたは成人した男性です。2人だけで過ごす人生もあるという事を教えてあげてほしいのですが。できそうですか?」
ユキヤは自信たっぷりで頷いた。
「はい、スバルちゃんとしっかり話し合います。僕は別に自分の子供が絶対に必要でもないし、スバルちゃんがどうしても子供が欲しいなら里子を迎えるという選択もある。子供を産むだけが女の人生ではないと説明してみます!」




