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ユキヤはふと疑問に思ったことを聞いてみた。
「ねぇ、天龍は何を作ったの?風?」
「反対だ。風が俺を作り出したんだ。それでオレが作り出したのは、今お前たちが暮らしているこの大地だ。水龍と一緒にこの大地を作り出したんだ。意味わかるか?」
思わずフリーズするユキヤ。大地を作る?水龍?
「え、ちょっと待って。水龍って誰?地龍はどこいったの?歴史書の授業では確かに、この大地は地殻変動で出来たって習ったよ?どういうこと?」
「ふむ、今日は時間があるし。よし、わかった。お前に教えてやる。千年以上前の事だから、途中で忘れたこともあるかもしれんが…まぁ聞けや。」
天龍が昔の記憶をたどりながら話し出した。自分と水龍の合作で作り出した大地の話しだ。
昔、この星は全てを水に覆われていた。今は海と呼ばれている。その水から作られたのが水龍。水の上を強い風が吹き荒れていた。その風から作られたのがオレ、天龍。
お互いに別々の場所で作り出されたため、お互いの存在を知ることなく自由に暮らしていた。ある時ふと水面をみると、水の中を自由に泳ぎ回る水龍がいて、仲良くなった。なぜかは忘れたが、水龍が新しいものを作ってみたいが1人では作れないから手伝えという。そこで、水と空の真ん中に何か作ってみようと話が決まった。
水の底は岩場で、深い所と浅い所があった。ユキヤが習った地殻変動はたぶん、水中にあった浅瀬と深い所のことだろう。そして、水龍と相談して一番浅い所の水をかき分けて、風で乾かしてみようという事になった。水龍が水を引き、浮き出たところを天龍が風で乾かした。
「それで、この大地のもととなる地盤ができたわけだ。わかる?」
話しが壮大すぎて、わかったようなわからないような…でもまぁ
「えーとつまり、水龍と天龍の合作で大地の元が出来たんだね?」
「そう言ってるだろう。まぁいい、そこまでは理解したか、続けるぞ。」
最初の地盤は小さなものだった。今は魔の森と恐れられているあの場所だ。オレと水龍の憩いの場としていた。そのうちに水龍がもう少し広く、大きくしてみたいと言い出した。面白そうだったから俺も協力した。一度やったことだ、二度目はすぐに作れた。どこまで広げられるか二人で暇を見つけては大地を広げていった。南の大地の辺は、浅瀬と深場がごちゃごちゃしていて、なかなかに手間取ったが何とか陸にすることができた。ちょうどその頃。最初に作った大地に緑が芽吹いていた。新しい命だった。
「その芽吹いた命から作られた精霊が地龍。俺の妻だ。地龍は不思議な精霊で、俺たちとはちがい新しいものを生み出し、育てる力を持っていた。地龍が歩いたところには新たな命が生まれ、その命は次第に協力し次の命を生み出すようになった。と、これが進化してお前たち人間にたどり着いたんだが…あ、そろそろ時間か。今日はここまでだ。そろそろ帰れ。あまり家族に心配をかけるなよ。お前たち人間は限られた時間しかないんだから。」
そこで目が覚めた。すでに夕日が沈みそうな時間だ。何時間寝ていたんだろう。ユキヤは魔の森の方をみた。天龍の話によれば、ここが最初の大地。
「ありがとう。またいろいろ教えてね。」
ユキヤは礼を言ってから、東の神殿へと帰っていった。




