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午後になって通信機に連絡が来た。今回の討伐報奨の授賞式の日時が決定し、受賞者は満場一致でユキヤに決まったそうだ。少し照れくさいが大変名誉なこと。ミサキとサクラもニコニコだった。
翌日、ユキヤはスバルに会うため中央神殿に向かうことにした。今回の討伐の給金と報奨金を合わせれば、都心は無理でも地方の家なら買えそうだ。夏の間にも風使いとして仕事をもらい、秋にまた魔獣退治に参加できれば、家探しもグッと楽になる。スバルへのプレゼントのジャムを5つほど購入し、神殿を訪れた。
スバルに出会ってからのユキヤはいきいきとしていた。神殿からの仕事依頼は高所作業がほとんどで、休みの日にはスバルに会いに行く。家ではミサキやサクラ、子供たちとの時間を楽しんだ。
討伐が終わってから1週間後、王城で表彰式があり主役のユキヤが参加。サクラ指導の下、服装も髪もバシッと決めて、記念のたてと報奨金を受け取った。大変な名誉であり国王陛下からのお言葉も賜った、が!なんとユキヤは上の空。頭の中は、もちろんスバル。この式典が終われば会える会えるんだー!
そんなこんなで約束の6月、スバルの誕生日だ。人生でこんなに緊張したことってあっただろうか!?中央神殿をでて二人きりで街を歩く。薄手のワンピースを着たスバルは美しく、12歳とは思えない大人っぽさ。つがいフィルターがかかりユキヤはもうメロメロ状態。手をつないで歩き、予約したレストランで食事。個室なのでフォークもナイフも関係なし。とにかく楽しくおいしく食べる。
「おいしそう~!豪華ですぅ、こんな素敵なお店で食事なんて、本当にいいんですか?」
早く食べたい全開の表情でスバルが話しかける。
「もちろんです、ささ、冷めないうちに食べましょうか。」
大人の男性としての度量を精一杯みせる。スープをのみ、焼き立てのパンにたっぷりとジャムをのせてほおばるスバル。しあわせ~の表情をみて、ユキヤもしあわせ~。自然と会話も弾む。
スバルは今、自分の魔法を自在に操る訓練を受けている。潜在能力が高く魔力暴走さえ起こさなければ、長い歴史の中で1,2を争う程の能力者になる。魔の森討伐の即戦力だ。
「天龍にはあの討伐以来会いに行ってないんですか?図書館でいろいろ調べたのですが、天龍はもちろん、精霊に関する本はみんなおとぎ話だけでした。ずっと一人ぼっちで森に暮らして、寂しくないのでしょうか?」
ふとユキヤは、スバルに魔獣討伐ができるのだろうか?と考えた。会話のはしばしで感じ取れる優しさや繊細さ。彼女は争いを好まない女性になるだろう。戦いの中、心を疲弊して討伐を断念する人もいる。
「僕達人間とは感じ方や考え方、そうだな、価値観自体が違う感じだった。一人ぼっちではないのかもしれません。会話はできなくても愛する番いのそばにいることで、なにかを感じているんだと思います。」
スバルが討伐に向かない性格ならば、参加しなければいい。そう、自分が強くなってそして、彼女のそばにいる。僕はこれからもずっと、スバルちゃんのそばにいたい!




