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帰り道にも魔獣との遭遇はあったが、全て小型だったため、ベテラン勢が上手く対処してくれた。新人は先輩に守られながら、帰り道を進む。大結界の外にでるとシュリとイズミが結界の修復を終えていた。
「全員無事だったようで何よりです。お疲れ様でした。」
みんなの無事を確認し、シュリが声をかけてくれた。すぐにシュリとイズミがお茶を配ってくれる。ユキヤは一口お茶を飲み、ほぅっと息を吐く。
「はぁ、おいしい。何だかホッとしました…」
ユキヤがシュリとイズミにお礼を言う。
「初討伐お疲れさま。大変だったね。怪我はしなかった?」
新人たちに優しく声をかけてくれるシュリ。本当に気づかいの人だと思う。一息ついた後、一行は馬車に乗り、テント村へと帰る。帰りの馬車は魔導士長と同席した。魔導士長はユキヤの活躍を労い、大型になりかけた魔獣を倒せたことを喜んだ。やはりあの中型魔獣は、平均よりかなり大きな個体だったらしい。
「今回の活躍を称えて特別報奨金が出るはずだ。初討伐で報奨金を受け取るのはイオリ以来。快挙だよ。」
特別報奨金は討伐で最も活躍した魔導士に贈られる盾と賞金らしい。今回魔導士長は中型を発見し、討伐に大きく貢献したユキヤに決めたようだ。
「でも…僕は倒していません。いや、倒せませんでした。それなのに、いいんですか?」
遠慮気味に話すユキヤに魔導士長は言う。
「中型を見つけたのも、とどめがさせるよう導いたのも、君の活躍のおかげ。誰も異論はないだろう。」
ユキヤはうつむき、そうですか、と答えた後、魔導士長に話しかけた。
「賞金が、出るんですね。そのお金を…11年前に僕が死なせてしまった騎士のご遺族に渡して下さい。」
魔導士長は驚いてユキヤをみた。そう、ユキヤは思い出したのだ。11年前の魔力暴走を。
「いつ、思い出した?そしてどこまでを、覚えているんだい?」
魔導士長の質問に正直に答える。
「クロワシを竜巻で落とした時に…あの時は竜巻の中に確かに人がいました。僕を落ち着かせようとするウミさんの声も思い出しました。17人もの騎士が犠牲になったのは僕が…僕が暴走を起こしたからだったんですね?僕は、人を殺した…」
「ちがう!それはちがうんだ!君の記憶は間違っている。」
魔導士長がきっぱりと否定した。
「よく聞けユキヤ。お前は誰も殺していない。なぜなら、竜巻に巻かれただけの者は生きていたからだ。ユキヤ、お前はすぐに眠ってしまったし幼かったからなぁ。その後の調査の事は知らないだろう?教えてやろう。」
魔導士長は語りだした。11年前のユキヤの魔力暴走には20人を軽く超すほどの騎士が巻き込まれた。しかし巻き込まれただけの者は怪我はしたが生き残った。そして、
「死んだ騎士はな、魔獣に首筋を嚙み切られた者や生きながら、腸をえぐられた者だった。あの光景は…むごかった。言葉では表せない。その時の傷がミサキの顔にも残っているはずだ。あのまま戦いが長引けば、大型を倒した代償にみんなが食い殺されていたかもしれない。君がいたから今、私もここにいる。そして、サクラの父は一番最初の犠牲者だった。サクラを守るために、自らの命を投げ出した。君とは全く関係ない話だ。」
自分の知らない真実。騎士を殺したのは、魔獣?本当にあの竜巻の中、騎士たちは生き延びたのか?




