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風の知らせだ。ユキヤがみんなに知らせる。
「この先に中型のブレイクベアがいます。どうしますか?来た道は上空を囲まれたと風が言っています。」
ユキヤの忠告にエリが質問する。
「ベアはどのくらい先にいるの?私たちはもう気づかれているってことかしら?」
「あ、いえ、今引き返せば出会わずに済みそうです。帰り道にクロワシの群れもいて危険だと、風からの忠告ですね。」
ユキヤの答えを聞き、どうするかと悩む。ベアと戦った後、さらにクロワシの群れと戦いながら出口まで帰れるのか?魔導士長が答えた。
「進もう。中型を放置すれば、大型に転じるかもしれない。みんな、頼む。」
すると、馬車が同じだった新人、カオルが質問した。
「はい質問!ベアをこっちに呼ぶことってできないんですか?森の奥に進むより出てきてもらった方が助かると思います!」
答えたのはケンヤ。
「それな!確かに帰る時の距離は短いほうが楽だし。魔導士長、おびき寄せましょう。」
えぇ!?どうやるんだろう?とユキヤが思った次の瞬間、ドーンバチバチバチと激しい雷。ユキヤは驚いて腰が抜けた。
「ひゃああああ!!!」
音と光に驚いて座り込んだユキヤを、魔導士一同が冷たい目でみる。
「雷で悲鳴って…おまえなぁ、乙女かよ。」
ケンヤの一言がたまらなく悲しいユキヤだった。
音と光の刺激を受け魔獣が集まり始める。近くにいた小型の魔獣が寄ってきた。数匹を焼くと匂いにつられ、ベアが動き出す。
「風が!ベアがこっちに向かってます。他の小型魔獣の群れもここを目指しているって!」
「火炎使いは小型の群れを攻撃。焼き尽くしてかまわない。雷使いはベアを狙う、リン、お前もだ。防衛魔法師はいつでも結界を張れる準備を!」
魔導士長が指示を出す。それぞれが攻撃態勢に入る。真っ黒な影が上空を覆う。クロワシの群れだ。かなり飢えているのだろう。肉の焼ける匂いを嗅ぎつけて、すごい数が集まった。
「ユキヤ、風で巻き落とせるか!?」
はい、と答えてユキヤが竜巻を起こした。クロワシの群れが風に巻かれ、地上に落下する。火炎使いがウルフやデスワームたちと一緒に焼き尽くした。
「来たわよ!デカい!」
エリの声で振り向くと、木々の隙間から巨大なクマが出てきた。ユキヤをはじめ、初参加の魔導士が驚く。
「え…これ中型!?うそ、大きすぎない?」
雷使いが攻撃する。やはり防御力が小型とは比べ物にならない程強く、しかも素早い。突進してくる。魔導士長を中心に結界師が結界で防ぐが、ベアも諦めない。繰り返し突進してくる。リンが地下水を引き上げるとベアが一瞬止まった。
素早くユキヤがベアの正面に移動、強い風を送った。風にぶつかった瞬間、ベアの両目から血が噴き出した。急に前が見えなくなり、ブレイクベアの動きが完全に止まる。魔導士長が驚きいて叫ぶ。
「君は!かまいたちが使えるのか!?」
切れた場所がベアの弱点だ。リンがベアの全身に水をかけると雷使いがすかさず攻撃する。傷つき濡れた身体に強い雷撃をうけ、ベアは痙攣しながら倒れた。近づくのは危険との魔導士長の判断で、火炎使いによってそのまま焼き殺された。体力を消耗した魔導士達にポーションが配られる。全員が体力を回復した後、ケガの有無を確認し、撤退となった。




