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順調に馬車は進み、日が落ちる前にテントに到着した。テントに荷物を置いて、野外炊飯で作られたカレーライスを頂く。テントにカレー、最高だ!みんなが食べ終える頃、魔導士長から新人紹介と、今回の討伐ルートが発表された。ベテラン勢が多いのでわからないことはその都度、確認すればいいようだ。その後は各々自由に過ごす。風に当たりたくて外で休憩していたユキヤの元に魔導士長がやってきた。
「大きくなった。まさか、君がスバルの番とは本当に驚いた。精霊のいたずらかな」
そう言って笑う魔導士長。
「精霊?なんですか?」
思わず聞き返したユキヤを見ながら魔導士長が話し出す。
「天龍と地龍のことだ。姿は龍だけれど、この世界が生み出した精霊さ。我々魔導士は精霊の力を受けとった者。精霊の子供になるらしい。君も、見たんじゃないか?真っ白な龍の姿をしている。」
ユキヤはハッと息をのんだ。魔導士長は、白い龍を知っているのか!?
「11年前に1度だけ。夢かもしれないし、誰も信じてくれないだろうと思って内緒にしていました。魔導士長も、会ったことがあるんですか?彼は精霊?龍ではないんですか?スバルちゃんも夢で出会ったって言っていました。あの龍、いや精霊か。僕を息子と呼んだんです。」
勢いよく聞き返したユキヤに魔導士長が答える。
「そうか、天龍はスバルにも会いに行ったのか。スバルは地龍の力を強く受け継いでいるから、気になったのだろう。天龍はこの辺りに暮らしているからね。何度か会ったことがある。君は風使いだから、天龍に出会いやすいはずだよ。彼は風から生まれた精霊、君とは波長が合いやすいはずだ。」
ここが彼の住処?地龍??
「あの、風の精霊が天龍でこの辺に住んでるんですよね?地龍は?地龍って炎から生まれた精霊なんですか?その精霊もここに暮らしているんですか?」
ユキヤの質問に魔導士長は難しい表情をうかべた。
「地龍は…そうだな、確かにこのあたりにいる。眠りについているはずだ。地龍はこの大地の息吹から生まれた精霊で、詳しくは私もしらないのだが、炎を生み出した精霊だと聞いた。天龍の番いだよ。」
番いときいてユキヤは思い出す。確かにあの時、天龍は妻を止めてくれ、と言った。妻って地龍のこと?
「あの!地龍って11年前の討伐で倒された大型の魔獣のことですか?」
魔導士長はちがう、とすぐに否定した。
「言っただろう。地龍は大地の息吹から生まれた精霊。生き物をむやみに攻撃したり、まして自分の子供たちの化身を攻撃するなどありえない。それとあの時の大型は、オスだった。」
あ、オス?そうなの?確かにそれなら…ボーイズラブはさすがにないか、と考えるユキヤだった。




