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ユキヤの頭内メモ。スバルの好物。甘いお菓子、果物が好き。美味なるジャムを探して購入する趣味アリ。
「商店街に色んな果物のジャムを売ってるお店があるんですよ!お砂糖控えめで、果物の風味や酸味が残ってて食べたら幸せな気持ちになるの~。でも普通のジャムよりちょっと高価だから、時々、1個ずつ買っているんです。」
ふむふむ、ジャムか。どこの店だ?探さなきゃ。
お互いが好きな食べ物や最近の小さな出来事など、なんてことない話しなのに楽しくて仕方がない。
「じゃあユキヤさんは、また新しいお仕事の依頼を受けたんですか?」
ふと仕事の話になり、スバルから質問された。そう、今のユキヤは無職ではない。すでに仕事の予約を受けた身なのだ。
「はい、2週間後ですが、魔の森の討伐を受けたんです。ちょっと大きなお仕事なので、間には仕事は入れず体調管理を行う予定にしています。」
魔獣討伐と聞き、スバルは大きな瞳がこぼれ落ちそうなほど目を見開く。
「え!討伐って、本当に参加されるんですか!?魔導士の一番の大仕事だって。あの…危険なのでは?」
あ、心配されちゃった?ユキヤは慌てて大丈夫という事を強調する。
「きちんと装備しますし、計画も立てられています。仲間も一緒だから大丈夫ですよ。僕、広範囲の攻撃もできますから、いざとなったら魔獣全部吹き飛ばします。」
笑顔で話す。こわばったスバルの顔が穏やかになってきた。ユキヤは、魔の森でもう一度会いたい相手がいる。何となくスバルならこの話しを信じてくれそうな気がした。
「あの、信じてもらえそうになくて誰にも話してないんだけど。僕、魔の森の近くで昔、真っ白な龍に出会ったんです。7歳の時なんだけど。なんか、今回もまた会えそうな気がして。この仕事を受けた理由の1つなんです。」
スバルがどんな反応をするのか。ユキヤは少し不安だったが、スバルは目をキラキラとさせていた。
「ユキヤさんも知っているんですね!白い龍、私も何度も会ってるの。その、夢の中ですけど」
「白いオスの龍で僕を息子と呼んだんです。大きな体で、地面に触れずに浮いていて!まるで僕が風に乗っている時みたいに。スバルちゃんが見た龍はどんな?」
思わずユキヤは身を乗り出してスバルに聞く。スバルが教えてくれた。
「ユキヤさんは白い龍と呼ぶんですね。私は天を舞う龍って勝手に呼んでるの。広い空を悠々と自由に飛んでいる。気持ちよさそうで。私も連れて行って、と声をかけるんだけど、地の力が強いから連れて行くことができない。それでもお前は私の娘だ、そう言って優しい目で見つめてくれる。その龍も男と子です!」
きっと同じ龍だろう。息子、娘とはいったいどういうことだろう?ユキヤもスバルも、それぞれ両親がいる。そうなると、この竜紋に関係があるのだろうか。
「僕も、あれは夢だったかもしれないと思うことがあるんです。でもすごくリアルで。スバルちゃんは今でも龍の夢を見るんですか?」
「最近は見てないかな。最後に見たのは1年くらい前です。それまでは時々見ていたんですが。」
消えてしまいました、と肩を落とした。なぜなのかはわからないらしく、とても残念そうだった。




