41
スバルに出会って3日。ユキヤは公共施設の屋根を張替える仕事をしていた。独身時代のサクラがよく頼まれていた仕事だ。風に乗り自由に空を飛べるので、材料を現場大工に届けたり、不安定な足場で作業する人を補佐したりと大活躍だ。
「いや~、助かるよ。公共施設の仕事で万が一怪我人なんて出したら、しばらく仕事をもらえないからなぁ。ユキヤさんがいてくれると仕事もはかどるし、風使い様様だぜ!」
みんなが安全に仕事ができ、棟梁にもほめてもらえてユキヤは仕事が楽しくなった。誰かの役に立つことが嬉しくて、張り切って仕事をやり切った。
現場が終わる頃、次の仕事依頼がきた。魔の森、魔獣討伐の依頼だった。季節は春。そろそろ北の大地が雪解けの季節を迎える。11年前最強と言われていたイオリとサオリ姉妹はともに末の子供が幼く、欠席。。結界師としての腕を見込まれたアユミは妊婦さんだ。そのため、3月に成人したばかりのユキヤにも依頼が来たらしい。スバルは6月生まれ。この仕事を受けて活躍すれば、スバルの誕生日を豪華にお祝いできる。すぐに参加の返事を送った。明日の休みには中央に行く予定だし、ユキヤはウキウキ気分だ。
「ユキヤ、討伐に参加を決めたと聞いたけど、行くのか?」
夕飯の時にミサキが心配そうに聞いてきた。
「はい、行きます。自分の魔力の強さも確認したいので、参加してみます。」
ユキヤの決意を確認し、ミサキがそうか、と返した。ユキヤの力なら、いずれ討伐に参加するよう依頼されるだろうとは思っていたが、こんなに早く声がかかるとは。成人し、ミサキよりぐんと高い魔力を使いこなすユキヤ。それでも心配だ。
「ユキちゃんなら問題なしね。もしヤバい感じがしたらさぁ、竜巻作って逃げるのよ!今の君の竜巻なら大型にも対抗できそうだもん」
サクラは応援モード100%だが、心配性のミサキはやはり不安。
「その竜巻に仲間を巻き込まないようにして下さいね、たぶん人間は死にますよ、本当に。」
翌朝、ユキヤはまだ新しいジーンズに、真っ白な長袖シャツを着た。ハンカチ、お財布、通信用魔道具をウェストポーチに入れて、ローブをきっちり羽織る。そして中央神殿へ向けて風に乗った。
「こんにちは、ユキヤさん。」
「こんにちは、スバルちゃん、なんだか久しぶりな感じだな。」
1週間ぶりに会えて、嬉しくて嬉しくて。ユキヤは手土産を渡す。今度は人気店のプリンにしてみた。
「一緒に食べようと思って買ってきました。プリンはお好きですか?」
前回は緊張のあまり、スバルの好みの菓子や果物を聞き忘れた。今日のミッションはスバルの好物を聞き出すことだ!二人でプリンを食べながら、話しをする。お互い、前回より緊張なく話ができた。




