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竜の子  作者: 前田ミク
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中央神殿とは王都にある大神殿で、たくさんの魔導士が在籍している。ミサキが管理している東神殿を含め、東西南北の神殿の中心であり、主に魔導士達の育成や職務管理、必要に応じてだが会議もここで行われる。今頃は来週の討伐準備で大忙しだろう。中央には国の守り人と呼ばれる魔導士長、フウマが暮らしている。現在確認されている竜紋の最大数、4つをほこる大魔導士だ。

風の申し子が知らせた異変。何としても魔導士長に伝えなくてはならない。

中央神殿へと馬を走らすミサキは、ふと、空に人の気配を感じて止まった。空をみあげると、魔導士のローブを羽織った女の子が下りてきた。

「はぁ~!やっと気づいてくれた~、こんにちは!風の魔導士、サクラです!あなた、魔導士ですよねぇ!?中央神殿に行かれます??」

ミサキは思わず固まった。若い娘さんがいったいどこから登場するんだい?一生懸命に彼女は話しかけてきた。

「中央からの依頼で、この辺りでお仕事をしていたの!そしたら風が森の異変を知らせてくれて!空からあなたが見えたんです。神殿に行くんですか?もしそうなら、一緒にいきましょう!!」


魔導士長のフウマはつい先日、中央神殿に帰ってきたばかりだった。6つの竜紋を持った女児に会うため、中央からぐっと南にある街に行っていたのだ。女児の連絡を受けたのは今から3ヶ月ほど前。自分の目で見るまで、信じられない気持ちが強かった。しかし…6つの紋を持つ子供は確かに存在した。まだ首がすわりきっていないが、母親に抱かれ、元気な赤ん坊だった。スバルと名付けられた子供はまだ魔力を発動する気配もなく、ただただ可愛らしい。

スバルが回復、結界魔法の使い手ならば問題はない。魔力暴走を起こしても悪いことにはならないからだ。だがしかし、とフウマはスバルとその母親を見つめながら説明する。

「これはただの統計にすぎないのですが、男子にくらべ女子は攻撃魔法を発動する確率がやや高いのです。実際に今の魔導士も攻撃特化の魔導士の60%が女性。」

母親は不安そうな目でフウマを見つめる。それでも、フウマは話さなくてはならない。

「魔法を発動するのはみんな、3歳前後。攻撃魔法の使い手ならば、魔力をコントロールできる年齢まで中央神殿の結界内に隔離する必要があります。どうか、わかってください」

母子を引き離して生活させることになる。泣き崩れる母親を残しフウマは南の地を離れた。


中央神殿の執務室でほぅ、とため息をつく。今はただ、スバルが防衛特化の魔導士になってくれるよう祈るしかない。客人が来たと知らされたのはそんな時だった。

「あちこちでバタバタと。やれやれ。まぁ、そんなこともあるだろう。」

フウマは客人に会うため、準備をはじめた。

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