39
プレゼントのクッキーをを抱え、緊張しながら神殿の受付に行く。スバルとの面会希望だと伝えると、受付から、名前、年齢、職業などをきかれた。職業…。
「えっ…僕の職業ですか?えーと、今は無職なのかな?僕の職業?えーと、何だろう、今の時期はまだ仕事がなくて…」
ユキヤも受付の職員も困っていると、天の助けか!?なんとマサトが通りかかった!
「あれ!?ユキヤ君、なんで受付なんか、あぁ!ローブ着てこないからだよ!ローブ着てたら手続きなしで入れるのに。」
マサトが受付に、ユキヤが若手の魔導士だと告げるとすんなりと通過できた。いきなり人の手を借りる羽目になるとは…スミマセン、としゅんみりしたユキヤに、次からはローブ着てこいよ!と笑いながら教えてくれた。
応接室で待つように言われ、プレゼントを抱えて座って待つ。やがてドアがノックされ扉が開いた。瞬間、全身がざわざわっとしてその少女から目が離せなくなった。怖がらせてはいけない、しかし、どうしても体が動かない。間違いない、この人だ!
「あの…初めまして、スバルは私です。私に何か…御用ですか?」
「あ、あの~、スミマセン、は、初めまして、僕はユキヤと申します。風使いの18歳です!これ、これクッキー。よろしければあの…どうぞ!!」
付き添いの女性職員が間に入ってくれる。
「まぁまぁ、とりあえず二人とも座って話しましょう。今、お茶入れるわね。それはスバルちゃんへのプレゼントね。よかったねスバルちゃん、受け取ったら?」
職員に促され、スバルはプレゼントを受け取った。ありがとう、と小さな声がきこえた。ユキヤはもう、ドキドキが止まらない。相手は11歳の女の子だ、落ち着け、落ち着けと呪文のように自分に言い聞かせる。聞きたいこと、話したいことが沢山あったのに言葉が出てこない。額には汗が流れる。
「さぁ、お茶でもどうぞ~。それでお話し内容なんだけど、私がいない方がいいわよねぇ」
気を利かせたつもりの職員は、ユキヤが待ってという前にさっさと部屋から出て行ってしまった。
二人きり、これは!どうすればいいんだ~!!
「あの、大丈夫ですか?汗が、この部屋、暑いですか?」
11歳の女の子に気を使われるとは、あまりの恥ずかしさに今度は顔が真っ赤になる。ダメだ、何か話さなければ!せっかく出会えたんだ。何年も待ってやっと会えた女性。ユキヤは勇気を振り絞って話しかける。
「あ、大丈夫です、僕はとても元気なので!部屋も暑くないです。ごめんね、僕、緊張しちゃって。」
ハンカチで汗を拭きながら、返事を返した。ショートカットでさっぱりと揃えられた黒い髪と、黒て大きな瞳が印象的な女性。南地域は丸顔の女性が多いと聞いたことがある。年齢より幼い顔立ちに見えるのはそのせいかな。
「私の事が、こわいですか?」
予想外すぎるスバルからの質問に、ユキヤは驚く。
「へぇ?何で?」
「私は火炎の力を持っています。神殿を燃やしちゃったこともあるみたい…でも!今はそんなことしません!大丈夫です、本当です!」
強すぎる力を気にしているのか。6つの紋をもつ炎使いってことすら忘れていた。
「あぁ、全然平気です。僕も小さい時に、何回か神殿の部屋を破壊して業者さん呼んでもらってるし。」
ユキヤの答えをきいて、スバルが少し微笑んだ。




