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竜の子  作者: 前田ミク
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北地域は気候が比較的冷涼で、川の水が豊富な場所だ。田んぼや畑、小麦栽培などが盛んな最大クラスの農業地域。夕方頃に北の神殿についたユキヤを出迎えてくれたのは、北の神官であるシュリとサオリだった。

「ようこそ北神殿へ。神官のシュリです。妻と娘がいます、41歳です。よろしく!」

「サオリです。ユキヤ君、久しぶりですね。大きくなって。」

サオリが来ているとは知らされていなかったのでユキヤはすこし驚いた。神殿に入り、お茶を飲みながら3人でゆっくり話しを楽しんだ。

「3年ぶりかぁ。こんなに大きかったっけ?小っちゃい男の子だった記憶しかないよ。一緒に討伐に行ったけど、おじちゃんの事は覚えてないよねぇ?」

シュリが苦笑いでユキヤに話しかける。うん、覚えてない。とは言いにくい。ユキヤも苦笑い。ユキヤはサオリに質問をしてみた。

「サオリさんは今、エルフの村で暮らしていると聞いたんですが、魔導士は辞めて農家さんになったの?」

素朴なユキヤの質問。サオリが答えてくれた。

「竜紋を持つ以上、魔導士であることは変わらないけど、絶対に神殿の決めた場所で働かなくてもいいのよ。水使いのリンさんも神殿に属さず漁師をしてるしね。私は防衛魔法だったから、子供の頃は神殿じゃなく親元で育ったの。それで、結婚を機に村に帰ったんだけど。」

シュリも説明してくれる。

「やってみたいお仕事があるなら、勉強して、就職してもいいんだよ。雷使いのケンヤって、おぼえてないかな。彼は登山が好きで、今は登山のガイドさんをしているよ。討伐の時だけ仕事を休んで協力してくれてるけど。まぁ、厳密に言えば討伐も強制参加ではないからね。ちなみに、サオリさんのムコ殿は北部出身の騎士だったんですよ。家業が農家だったこともあって、今はエルフ村で農家をされてます。」

クスクスと笑いながらサオリが話す。

「私は、昔から人見知りがひどくて。でもタツミ、夫ね。初めて見たとき、あ、この人だってわかったの。それで、結婚しちゃった。」

えぇ!と出かけた声をユキヤは飲み込んだ。そうか、サオリもわかる人だったんだ!

「あの…サオリさんは、幸せなんですか?」

ふふっと笑いながらサオリは、幸せだよ、と答えてくれた。

翌日はシュリの案内で北の地域を見学しながらお散歩してみた。シュリは優しく、説明が上手な人で、とても居心地よく過ごすことができた。結局その日も北神殿に泊まることになり、予定より長く過ごしてしまった。北地域はとても穏やかな場所だった。

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