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竜の子  作者: 前田ミク
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「ハーピバースデートゥユー」

今年もまたこの歌を歌ってもらう。ケーキを挟んで正面で歌う人は、左の頬が不自然に引きつっていて、でもすごく優しい、綺麗な目をしている。

「ハーピバースデーディアユキヤ~、ハーピバースデートゥユー」

10本のろうそくを吹き消す。拍手しながらにっこり笑う2人がおめでとう!と喜んでくれる。毎年の事だけど、お祝いしてもらえるのはやっぱりうれしいな!

丸いケーキを3人で切り分けて喜びを分かち合いながら食べる。ミサキさんもサクラちゃんも。ありがとう。僕の家族。


この世界ではごく稀に竜の鱗のような紋章を持った子供が生まれる。人々は紋章を持った子供たちを竜の子と呼び、各神殿に報告する。竜の子は体の中に魔力を持っていて、魔力の強さは鱗の数に比例し、数が多いほど強いと言われている。魔法には大きく分けて3つの種類がある。攻撃魔法、防衛魔法、そして僕が使う中間魔法。どの魔法が使えるのかは竜紋を持った子供が3歳前後になるまで誰にもわからない。


3歳前後に持って生まれた魔力を初めて発動させる子供が多く、そこでようやく魔法の種類がわかるのだ。種類がわかると神官が在籍する神殿で魔法について教えてもらい、18歳の成人を迎えると魔導士として、各神殿に登録される。


攻撃魔法師は全員が本神殿となる中央神殿に登録される。防衛魔法師は結界を張ったり回復術が使えるので、国立の病院で魔法の特性を確認された後、東西南北にある神殿に神官として派遣されたり、そのまま病院に残ったりするのが一般的だ。中間魔法師はその特性上から、中央神殿に登録はされるが自分の暮らしやすい場所を自分で見つけて暮らすことになる…らしい。中間魔法を使う人って少ないから、あまり統計がとれてないんだって。適当な話さ。


魔導士の代表的で一番大きな仕事が魔獣退治。この国をでてずっと北に位置する魔の森。結界で封印されているけど、ここには魔獣と呼ばれる生き物がたくさん住んでいる。魔獣は寿命が永く、食物連鎖の最上位に君臨しているため放置するとすごい速さで増えていく。増えすぎた魔獣は森を封印する結界を破ったり、大型の魔獣を生み出す餌になることがあるため、年に数回魔獣退治を行い森を管理している。そして強い力を持つ防衛魔法士が定期的に結界の確認と修復を行う。


こうして安全な国を作っているんだよと教えられているんだけど。そもそもどうして魔獣がいるのか、最初に封印の結界を張ったのは誰なのか、詳しいことはよくわかっていない。

まぁ、今更そんなことを調べる人もいない。もう何百年、いやもっと長くかもしれない。ずっと続けられてきた事だ。いずれは僕も。たくさんの魔獣を倒せる強い魔導士になってみせる!

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