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竜の子  作者: 前田ミク
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力を使い果たし眠ってしまったユキヤをシズルに預け、ウミ達は生存者の救助を開始した。ここは大結界の中だ。新たな魔獣が来ないという保証などない。そして、戦う力が残っている者もいないのだ。

ウミの判断で、一度全員を大結界の外に避難させることにした。結界の修復作業はほぼ終了していたため、ポーションを飲みながらアユミも救助に加わる。途中で担架や薬を取りに行ったB班も到着。すぐに救助に参加し、動けない仲間たちを運び出した。

大結界の外。湯上沢家3兄弟は遺体となった父に再会していた。妹のサクラはまだ意識が戻っていない。3男のマツリは泣き崩れた。兄2人も、言葉が出てこないでいる。最初に同行した12名の騎士のうち6名が死亡、モミジが率いていた騎士も11名が命を落とした。可愛がってくれた先輩、苦楽を共に鍛錬を続けてきた仲間たち。被害は大きい。

戦った者の大多数が怪我を負い、ポーションで体力を回復した回復師の応急処置を受けている。ミサキを見つけ、シズルが話しかけた。

「顔の傷は!?深いのかい?出血はおさまったの?無理しちゃダメよ。」

サクラとサオリを治療している時に、ミサキはワーウルフに飛び掛かられ左頬をざっくりと切り裂かれた。すぐにモミジがウルフを引き離してくれたので命拾いはしたが、頬や頭からの出血がひどく、マサトが簡単な止血をしてくれた。傷跡は…おそらく残るだろう。

「マサト君が出血を止めてくれたので。今はひっかき傷の治療どころじゃないですよ。みんな大けがで。」

そう言って包帯の入ったかごを持ち、けが人のもとに走る。魔導士仲間はかなりの人数が凍傷を負っていた。

最低限の治療と処置をして、魔の森周辺から撤退となった。


移動中、サクラとサオリの意識が戻ったと聞き、ミサキはサクラの元へ駆けつけた。

「サクラさん、気分は悪くないですか?痛いところはありませんか?」

「…ミサキさん、怪我したの?大丈夫?」

自分よりずっと大きな怪我をしたのに、人の心配をするあたりがサクラらしい。ミサキは答える。

「包帯がすごいだけで、僕のは軽い引っかき傷ですよ。」

良かった、と笑顔を見せるサクラ。彼女にはこれから大きな試練が待っている。父親が自分たちを守り、亡くなったことを知らされるだろう。身体機能の回復に、長いリハビリも必要になる。

「サオリさんも意識が戻ったそうです。帰ったら2人とも、リハビリですね。」


ミサキにはわかったことがある。サクラを失いかけたあの時。怖かった。何も伝えられなかった、そんな後悔はしたくない。人生はこれから先、何があるかわからない。だから今、伝えなくては。

「リハビリ、一緒に頑張ろうね。くじけそうになったら、お互い、支えあってそれで、一緒に精一杯、生きて行きましょう。」

今、言っておきたい。言葉にしないと、相手には伝わらないから。今の気持ちをできる限り、一生懸命に伝えた。これが、僕の気持ち。この人と、一緒に生きていく。

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