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竜の子  作者: 前田ミク
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ユキヤを連れたウミ達の部隊が馬に乗ったまま結界に突入した。ドラゴンの足元にいる2人の魔導士は動けそうになく、必死に結界でドラゴンの攻撃から身を守っている。逃げられない様子だ。

小型の魔獣と戦う騎士が何人かワーウルフに襲われ首を噛みちぎられている。クロワシの脚につかまり、はるか上空に連れ去られた者も複数。そして奥には、ミサキに抱え込まれたまま動かないサクラの姿。ユキヤの目の前に広がる死の姿。ユキヤは恐怖に包まれ、叫んだ。

「わぁぁぁぁぁ!!!」


恐怖に支配されユキヤは馬から転げ落ちるように降りて逃げようとした。

「ダメだ!魔獣がいるから!!」

ウミが馬から飛び降りユキヤを捕まえ、すぐに伏せる。ユキヤの叫びに呼応して風が巨大な渦を巻きだした。シズルが大結界の中に駆け込み騎士たちに叫ぶ!

「みんなユキちゃんから離れて、早く!!」

馬に乗った騎士たちが大結界の外に逃切るより先に台風のような強風が吹き始め、あっという間に竜巻となり息も吸えなくなる。逃げ遅れた馬上の騎士たちを、アユミが必死に結界で守る。

魔獣と戦っていた者も全員地面に伏せ、結界師が一斉に結界を張った。巨大な竜巻が魔獣も人間もみさかいなく飲み込み、空中へと巻き上げる。

凄まじい竜巻の力に、巨体のドラゴンも地面を転がされ、偶然にもイオリと魔導士長から引き離された。ユキヤを抱きしめて地面に伏せるウミがユキヤに話しかける。

「大丈夫だよ。落ち着いて、怖くないよ。兄ちゃんが守るからね~。」

サクラが幼い頃、泣きわめくたびに言っていた言葉。ユキヤの姿が一瞬、サクラと重なって見えた。


時間にして1分ほどだろうか。急に風が収まった。体力を使い果たしたユキヤが気絶したのだ。竜巻に巻き込まれた魔獣が空からばらばらと降ってくる。その中にはクロワシにつかまっていた騎士も混ざっていた。風が止まったことを確認し、騎士や魔導士が結界から出てくる。

小型の魔獣はそのほとんどが死んでいた。強烈な風で羽をもがれたクロワシや、落下の衝撃で血だらけのウルフの姿がある。動ける騎士が素早く落下した仲間に駆け寄り生死確認をすると、魔法服のおかげだろう。風に巻かれたり落下しただけの騎士は生きていたが、魔獣に襲われた者たちは息がなかった。

魔導士も、騎士の肩を借りながらドラゴンに近づいてみる。イオリに腹の中を焼き尽くされたうえに、竜巻にさらされながら、まだ生きている。反撃の力もなく、しかし強い生命力ゆえか死にきれないのだ。

「俺たちの目的は魔獣を苦しめることじゃない。せん滅だからな」

ケンヤが呟いた後、とどめをさした。周りから歓声が上がる。最前線で戦った魔導士たちは、泣いていた。

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