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大結界の中に入ると木や雪に隠れる魔獣の気配が一気に増した。足元の雪は深く動きにくい。
「前方、上空は魔物だらけ。森の奥に行くほど氷状の雪がどんどん多くなっているって」
サクラが風の声を知らせる。魔導士長が周囲を確認しながら指示をだす。
「どのみちこの雪を何とかしないと進めないか。イオリ、さっきのヤツをもう一度頼みたい。周辺の魔獣も一緒にできる限り焼いてくれ。上の鳥はエリとケンヤ、雷でおとせるか?シュリ、さっきと同じ結界を張ってくれ。他の攻撃手も周囲を確認。もし魔獣が見えたら打ってくれ!頼むぞ。」
イオリが両手を前に突き出したと同時に巨大な炎の壁が辺りの木々や魔獣を焼き尽くしながら前に進む。同時に上空はドンという音が鳴るたびにクロワシが絶命し落ちてくる。かなり先まできれいな焼け野原だ。木や雪がなくなると、みえた。ドラゴンの形をした巨大な生物。ケンヤが驚きの声をあげる。
「デカい!俺たちが遠目に見た奴だ!オイオイ嘘だろ、イオリの炎に耐えやがった!」
大技を使ったイオリは体力を使い果たしている。騎士の一人が素早く体力回復のポーションを渡した。火炎使いの技は威力が凄まじい反面、体力を恐ろしく消耗する。何発も連続では打てない。
フウマは後ろをみる。そこにあるものは。修復を始めたばかりのぼろぼろにされた結界。もし今、あの巨体にぶつかられたら。大結界といえども持ちこたえることができない。
「全員前に出る、もう戦うしかない!できる限り近づき魔法攻撃、結界師は攻撃手をガードしろ!」
魔導士長の声を合図にいつでも攻撃できる体制で全員が走り出す。ドラゴンが口から凍り付くような息を吐く。魔導士長とサオリが寸前で結界を張ったが他の結界師が間に合わない。
「ぎゃあぁ!足が~!」
右端にいた騎士が結界からはみ出てしまった。一瞬で片足が凍り付く。結界内にいても結界師から距離があった者は凍傷を負った。大型魔獣のアイスブレスは魔法服でも防げないらしい。
攻撃魔法師がドラゴンを攻撃するも、背中の皮膚が固くダメージを与えられない。ドラゴンがまた息を吐く。結界師が必死になって防ぐが凍傷を避けるためには防御範囲をせばめるしかなく、攻撃手の動きが制限される。回復が得意な魔導士がすきを見て回復させるがとても間に合わない。
仲間が命がけで戦っている時、水使いのリンはドラゴンに近づきもせず離れた場所でじっとしていた。
「きたきたきた~、いくよー!ほぉぉい!」
リンの謎の掛け声と共にドラゴンの真下から凄まじい勢いで熱湯が噴出した!
「地下から温泉引き出したわよ!80度くらいの源泉だからみんな、やけどしないでね~!!」
汗だくになっているリン。地下深い所から水を呼び出すのに、かなりの体力を消耗したようだ。サクラの父カズマがいち早くリンに駆け寄りポーションを渡した。
ドラゴンは熱湯を浴びた腹を抱え苦しんでいる。その姿をみてケンヤが叫ぶ。
「ドラゴンの腹が弱点だ!攻撃手は全員、皮膚の弱い腹を攻撃するんだ!!」




