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この世界には沢山の民族が暮らしている。一応、国という形を取っているけれど、住んでいる地域によって思想は全く違うし、それぞれの生業や生活術をもち、みんなが自然と共存して生きている。国に属さず、独立して生きている者たちもいる。家畜とともにあちこちを巡り、踊りやまじない、貿易などで生計を立てるジプシー民族、森の恵みを主として狩りや農耕を生業に生計をたてるエルフ民族。この独自の生活スタイルを持つ民族は「魔の森」に近いほど多く存在している。
魔導士の最も重要で危険を伴う仕事、それが魔の森の手入れと大結界の修復だ。
魔の森。森に生きるエルフでさえ足を踏み入れない呪われた最北の土地。ここには魔力をもつ獣が暮らす。普通の人間では手に負えないほど強く獰猛で、集団で行動することが多いため、魔の森周辺には誰もが近づかないよう暮らしてきた。万が一、魔獣のテリトリーに入ったら。魔獣にとって人間はおいしいご馳走なのだ。魔獣は恐ろしく寿命が永い。外界から狩られることも無いために1年もすればビックリする程たくさん増える。そして食料を求めて人間の暮らす領域に入り込むだろう。過去、町や村を襲いながらじわじわと自分たちの生活圏である魔の森を広げてきたと言われている。
魔の森の拡大と人的被害を食い止めるために、始めの大魔導士、と呼ばれる人が大きな結界を張ったらしい。魔獣が外に出てこないように、そして、間違って人間が魔の森に入り込むことがないように。
その後、代々の魔導士が結界の中の秩序を守るため年に数回、魔獣を狩り、大結界のほころびや傷を修復し続けることで、魔獣が人間世界へと侵入してくることを防いでいる。
竜紋は数が多いほど魔力は強くなると言われている。火や雷など攻撃特化の魔導士なら紋が1つで魔獣狩りにすぐ参加できる。回復や結界などの防衛特化ならば理想は2つほしいところだが、大半が1つ紋の魔導士のため、知識と経験がものを言う。
謎の魔法使いとされるのが風と水。攻撃も防衛もできる中間の魔導士だが、主に補助的な魔法だと言われている。中間魔法は個人の性格により、使う魔法にクセがでやすいと言われている。
風とたわむれ、天災や疫病の流行を察知することができる風使い。反対に竜巻をおこして街を破壊することもできる。
穏やかに雨を降らせて大地を潤したり、氾濫した河を沈める力を持つ水使い。反対に大洪水を呼びすべてを押し流すこともできる。
彼らは主に幼少期の生活環境や、魔力の使い方を覚えるための訓練が重要だとされている。たくさんの優しさに触れ、自然とかかわることで自分の力を理解し、コントロールできるようになるらしい。
ただなにぶんにも数少ない統計に基づくもの。中間魔法の使い手は非常に数が少なく、未だに謎が多い存在とされている。そのため、ほとんどの子供が神殿で育てられる。もちろん、親や兄弟との交流を断ち切ることはない。本来は魔力暴走を起こさない年になれば、平日は神殿で暮らし、親兄弟の休日にあわせて家に帰り生活する。神殿に通うことができる距離ならば、自宅で過ごすこともできるのだ。
親と神殿神官との話し合いで決まっていくことが多い。




