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ユキヤが国王からの命により討伐に同行することは、すでに報告されている。一部の魔導士から、大切な後輩に無理はさせたくない、と反対の声もあったが、安全性が確保できる場所までの参加であり、騎士団が護衛につくという条件で全員が了承した。
ウミが地図を広げてユキヤを呼んだ。
「ユキヤ君、今回は討伐のお手伝いを引き受けてくれてありがとう。僕はサクラのお兄ちゃんでウミといいます。」
緊張気味だったユキヤだが、サクラの名が出たとたん笑顔になる。
「サクラちゃんのお兄ちゃんなの!?僕ね!風と仲良しで攻撃もできるから、ミサキさんとか守るんだ!」
ユキヤの言葉にミサキは胸がジーン。涙が出そうだ。冷静にウミが続ける。
「それは心強いなぁ。えーと、今回ユキヤ君にお願いしたいのはね、ここ、わかるかな?ここに騎士団がテントをはっているんだ。魔の森討伐の時、ユキヤ君は僕達と一緒にここで待機…え~と、戦いを見守るってことね。その時に風が教えてくれたことを僕に伝えてほしいんだ」
地図では分かりにくいが、テントから魔の森まではかなりの距離がある。もしユキヤが緊急事態を発した場合、このテントから応援の騎士が森へ向かう手はずだ。誰も経験したことがない以上、何が起こるかわからないため、2重3重の作戦を立てている。
「僕はミサキさんと一緒にはいけないの?」
ユキヤの問いにウミが答える。
「ミサキさんは結界師さんだからね、風使いのユキヤ君とはお仕事をする場所が少し違うんだ。近くなんだけどね。」
ウミの説明をきいて、ユキヤなりに納得したらしい。元気いっぱいに答えた。
「わかりました!僕ね、がんばります」
翌日、泊まりの魔導士達は帰っていった。ミサキもユキヤを連れて二人で帰宅するはずだったが…
「すごいすごい、ユキヤ君じょうず~!!ね?高いところから見る景色ってきれいでしょ!?」
「すごく楽しいぃ!風と仲良くなるといろんなことができるね~。わーい!!」
空から楽しそうな声が聞こえる。サクラの指導により、ユキヤは風に乗るという新技を覚えた。東神殿に到着したら真っ先に、神殿からの脱走禁止を教えなければ、とミサキは思った。
ミサキ達が東神殿に到着したのは昼過ぎだった。ユキヤの負担を考えて、休みながら帰るはずだったが、当のユキヤはサクラと一緒に空を飛んでいて、ミサキより先に進んでいる。休憩の必要もないまま馬で走り続けた結果、予定の時間よりかなり早く帰ってこられたのだ。
道中とても楽しんでいたユキヤだが、疲れているだろうと思い、昼食をとったら部屋で休むようにと話した。大仕事を引き受けた以上、今体調を崩すわけにはいかない。討伐の日まで、お互いにゆっくりと過ごすつもりでいる。
ミサキは自称婚約者のサクラとゆっくり話しをしてみることにした。




