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会議終了後、ミサキはサクラと合流し話しかけた。
「サクラさん、お父様のその…討伐同行のことは聞いておられたのですか?」
「さっき初めて聞いたわ。もぅ、パパって昔からそう。仕事のこと、私には何も教えてくれないの。」
いつも明るい笑顔で元気いっぱいのサクラが初めて見せた作り笑い。ミサキは言葉が出てこない。なぜか、不思議なくらい自分の胸が苦しい。サクラを放っておけない、心の中の自分が呟く。
「パパはこれまで何回も危険な仕事をしてきたはずよ。笑えるくらいしぶとい人だから、今まで生き残ってるってママが言ってたの!なんか今回も生き残りそうなんだよね」
そう言って笑うサクラ。まるで自分に言い聞かしているようで、ミサキは胸がつぶれそうに苦しい。本来、カズマの年齢や立場を考えればこんな危険な仕事、受けなくても良いはずなのだ。それでも、この役を受けたのはきっと、騎士団長としてだけではないはずだ。
「サクラさんの魔導士としての力と成長をしっかり見てもらいましょう。それで、討伐が終わったら親子でゆっくり話しをするといいですよ。お父さんのお仕事のこととか、たくさん聞いてみましょうよ」
「うん、そうだよね!パパの昔の失敗談とか絶対にたくさんあるはずだし。聞き出しちゃおーっと。」
サクラがいつもの笑顔で答える。本当に、ついこの前みた笑顔なのに。ミサキの胸がざわついた。彼女の心からの笑顔を守りたい、ついこの前知り合ったばかりの人なのに、一緒に過ごしてみたいと思った。不思議な感覚だった。
サクラと別れ、ユキヤを迎えに行く。会議の間、神殿の客室で託児をしてもらっていた。客室をあけると算数のプリントをしながら楽しそうに白髪交じりの男性と話しをしているユキヤの姿があった。年配の神殿職員だろうか。
「ユキヤお待たせ。職員の方ですか?会議が長引いてしまって遅くなりました。お世話になりました。」
ミサキが礼を言うと男性が答える。
「楽しかったですよ。このくらいの年の孫がいましてねぇ。僕はここの元所属職員でして。雷使いのシンジと申します。あなたとは初めましてになりますね。よろしく。」
魔導士の大先輩じゃないかー!ミサキは慌てて姿勢をただした。
「大変失礼いたしました!私は東神殿所属の結界師ミサキと申します。シンジさんにお会いできるとは大変光栄に存じます。」
シンジはアハハと笑いながら気さくに話しかける。
「普通でいいよ、私はもう引退した化石魔導士だから。僕もさ、まさかここで風使いのたまごに会えるとは思わなかったよ~、穏やかで優しい子だ。君が指導員なんでしょ?すばらしいよ」
7日後、討伐を共にする魔導士のシンジ。お互いが一足早い挨拶となった。
シンジ・67歳・1つ紋の雷使い




