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中央神殿の大広間に29人の魔導士がそろった。魔導士長より改めて大型の魔獣討伐の話がされた。みな、事前に聞いていたので大きな混乱はない。これまでの経緯を淡々と説明、新たに分かった情報が公開された。魔の森手前に送り込まれていた魔導士によれば、大型の正体はドラゴン型、おそらく氷属性の魔獣とのこと。観察隊リーダー、雷使いのケンヤが話した。
「ドラゴンであることは間違いないです。僕と火炎魔法師のイオリさんで目視できました。属性についてはおそらく、です。魔の森付近で積雪がありました。最北の地といえ積雪するには早すぎます。魔獣の力によるものと考えるのが自然です。念のためにサオリさんが結界補修をしてくれたので、今すぐ結界が破られるような事はないはずです」
積雪の影響で予定より帰りが2日遅れたらしい。魔導士長は3人に労いの言葉をかけた後、討伐における各魔導士の役割分担表を配った。表によれば魔の森に入るのは、攻撃魔法師は成人したばかりのマリカとハジメを除く15人。回復・結界師は討伐経験者の7人。そして風使いサクラと水使いリンの合計24名。
「過去の文献そ再確認してみたんだ。文献によれば結界の損傷部位から魔獣が外に出たとあった。同じ失敗はできない。結界の外に魔導士と王宮騎士団に待機してもらう。外を守る魔導士のリーダーは東神殿のミサキにする。何かあればすぐに連絡をするように。」
ミサキの顔から血の気が引き、目の前がサーっと暗くなる。しかしミサキの不調には誰も気づかない。
魔導士長が話しを続ける。
「過去3年のうちに退職した魔導士に、協力頂ける方がいないかと思い連絡を取ってみたところ、中央に所属していた雷使いのシンジ殿、東神殿に所属していた結界師シズル殿が名乗り出てくれた。知恵と経験を持つお二方にも結界外についてもらう。」
シズルの名を聞き、ミサキの不調が一気に治った。
魔導士長の話が終わり、各々が資料に目を通していると、会場に騎士団長が現れ、騎士団の現在の動きを説明してくれた。
ここノアール王国は国や民族に対して常に中立の立場をとるとし、侵略のための戦はしないと断言している。国が所有している軍隊は、災害発生時の派遣や国の防衛、民族同士の戦の仲裁をするための防衛隊。正式名称は、ノアール王国防衛騎士団。名前が長いためか国王ですら騎士団と呼んでいるらしい。
そんな騎士団の団長がサクラの父、和真だ。




