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「いいか、俺が見てきた事だ。お前たちが信じてきた話とは違うと思う。ただ、俺も記憶違いとかあるかもしれん。そこのところ頼むわ。」
天龍はそう前置きをしてから何があったのかを話し始めた。
「指導者がいなくなって、魔導士も騎士も大混乱の中、ヤマトは動いた。当時の結界師を全員、破れた結界修復にむかわせ、他の炎や雷を結界師の護衛につけて、自分は魔獣討伐の経験者だった雷使い1人だけを補佐に二人で大型と戦った。エルフ民族の村には大半の騎士を配置した。捨て身の戦いさ。当然だがヤマトは苦戦を強いられる。何とか大型を倒したが、補佐の雷使いは命を落とし、結界修復の途中で過半数の結界師が魔獣に食われた。他の炎や雷も疲弊して魔獣に襲われた。逃げ出した魔獣はできる限り俺が風でまいたが、小型とは言え、数がすごくてな。逃げた魔獣によりエルフ民族は大打撃をうけた。全滅しなかったのが不思議なほどだ。まぁそこは、騎士が踏ん張ったからってのもある。」
何の情報もなく、いきなり魔獣と遭遇した当時の人々はどれほど恐ろしかっただろう。司令塔を失い、ヤマトは何を思いどんな気持ちで戦ったのだろうか。
「その時に地龍が一瞬目を覚ましかけた。理由はわからん。だが、魔導士から我が子の匂いを感じたのかもしれん。魔獣が一時的に弱体化して、運よく魔導士が勝利した。その後、ハチャメチャになった町や村を復興するには何年もかかった。そして、何よりも犠牲が多すぎた。魔導士の数も減り、いろいろ思い通りに進まない。当然、怒りの矛先ってのは長にむかう。ヤマトが愚者と呼ばれた理由だ。」
むちゃくちゃだ!そんなの、ヤマトのせいではないのに!
「逃げた長は結局見つからなかった。討伐予算を懐に入れてたみたいで逃げきったらしい。俺もそんな奴を追いかけるヒマなんてなかったし。これが俺の記憶。この時、結界師の1人が奇形の鱗の持ち主だった。以前は俺の予想で風の長に話しをしたんだが。」
「ワタリって人が天龍と話して地龍の目覚める方法をきいた、みたいに書いてあったって。」
おぉ、それそれ!と天龍。
「目覚める、かも?って話しな。その時は俺も確証ねぇし。奇形の鱗が生まれてくるかも不明だぜ?」
えぇ~~~!!
「で、でもフウマさんが!奇形の鱗と火炎使いと天龍と話せる人がいたら地龍がおきるって!!」
「だーかーら!かも、だ。あの風使いとは正直お前とよりも波長があってなぁ。将来、それだけの人材がそろったら起こせるかもなーって話したんだ。記録を残すあたり、あいつは律儀だったんだな。」
「それってつまり、可能性の話しをしただけなの!?なんだよー!!」
ユキヤ、泣きそうになる。しかし天龍が意外なことを話し出す。
「いや、今なら俺もそのメンバーで起こせるような気がする。確証に近いぜ。ヤマトに感謝だよなぁ。」




