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特調

「マガツヒノセオリツ! うっわ、名前だけでゾクゾクしちゃうわー。配信見てたけど、まさかそんなことにねー。あ、ここは当然割り勘よ、モモちゃん。店員さん、パフェ、同じの二つ追加でーっ」


 俺と茜さんはモモちゃんにつれられてファミレスを訪れていた。

 目の前でパフェばかり食べているのは紺の地味なスーツを着た、モモちゃんと同世代に見える女性。すらりとした体のどこにそんなに入るのか不思議になる食べっぷりだ。


「うちの会社、そういうとこだけ厳しくてねー。入る前はもうこれ、接待でパフェ食べ放題じゃねと思ってたのよ。ほら良くドラマとか入札の談合とかしてるじゃん? あんなん、全然だめ。全部自腹よー」

「それは大変ね。で、りおんちゃん。さっきの話だけど」

「任せて任せて。内々に課長には話し通しとくわー。間違いなく特調案件だし。悪いようにはしないから安心してー、モモちゃん。それにしてもあちらさんじゃなくてうちに話して正解よー」


 太鼓判を押してくれるりおんちゃん。それにたいして明らかにほっとした様子を見せるモモちゃん。俺は話の半分も理解できていなかったが、あのモモちゃんが安堵しているならと安心する。


 モモちゃんから事前に聞いていたのは、目の前のりおんちゃんは内省府(ないせいふ)直轄の機関で、外事案件特別調査班、通称特調という所に所属している、モモちゃんの大学の時の同期ということ。あとは特調はダンジョン庁と仲が悪いということだけだった。


 ──まあ、りおんちゃんの言っていたあちらさん、というのはダンジョン管理組合も下部組織として所属している、ダンジョン庁のことなんだろうな。


 俺は色々複雑そう、と思いながら、追加のパフェを食べ尽くしていく、りおんちゃんを眺める。

 ちらりと茜さんはどうしているかとみると、まるで借りてきた猫のように大人しい。


 ──というか、怯えている? まさか……


 良くみるとぷるぷると小刻みに震えているようだ。

 俺は思わずそっとテーブルの下で手を伸ばして、茜さんの片手を勇気づけるように握ってしまう。

 ピクッと体を動かし、こちらをちらりと見る茜さん。


 目線が交わる。


 ──よかった。強ばっていた肩の力が少し抜けたみたいだ


 俺は安心して手を離す。そんな俺たちを、モモちゃんは少し悲しげに、りおんちゃんは肉食獣のような笑みを浮かべて見ていたことには残念ながら気がついていなかった。


「それで木村さんたちは再びマガツヒノセオリツと会いたいと?」

「そうです」


 りおんちゃんとモモちゃんの会話が続く。


「そうねぇ。うちに来てくれたらその指輪とか詳しく解析できるかもー。どうする木村さん?

 うちでも木村さんの事は時の人としてめっちゃ話題だから、来てくれたら歓待するよー」


 そういってこちらを見るりおんちゃん。皆の視線が俺に注がれる。


 ──歓待って、なんだか怖いんだが……。さっきもライブ配信を見ててくれたって、言ってたな。それはありがたい事なんだろうけど。


 俺はその場にいる女性陣の顔を一人一人確認すると、意を決して返事を口にするのだった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] スキルカンスト1つでも難しいって感じの世界観でスキルカンストさせてるの凄いって感じの流れなのに、スキル渡し?で習得早くするスキル渡したら用済みになっちゃいませんかね
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