ガーネットにおしおきタイム!
大トカゲが残した言葉。『まものタウン』。
夜の街が静かなのは、魔物たちに占領されたからかもしれない。
警戒心が増した俺に対して、ガーネットは嬉しそうだ。
「ふっふっふ、ここは魔物の街となった! この地から、人間の街へ『しゅうげき』ができるのだ!」
さすがは、元女魔王。血が騒ぐのだろうか?
だが、俺は勇者だ。人間を守らないといけない。
なので、また磨かれたガーネットの包丁を奪っておいた。俺は、包丁を頭上にかざす。
「と、届かないのだ! しゅうげきしたいのだぁ!」
必死に包丁を奪おうとするガーネットに、俺は言い放つ。
「残念だったな、魔王! 襲撃したければ、もっと身長を伸ばすんだ!」
ふう、これでガーネットも諦めるだろう。
安心する俺。一方、ガーネットは何やら企んでいるらしくニヤリと笑った。
「ククッ……。残念だったな、勇者ロアス! 余の手には、拳銃があるのだっ! これで、しゅうげきするのだっ!」
ガーネットは、俺に向けて拳銃を構えた。しかし、その手はめちゃくちゃ震えている。
その時、大きな音が鳴った!
ガーネットは空へ向けて、引き金を引いたからだ。
あれっ、でもこれって拳銃の音じゃない。
ドライヤーじゃん!
「残念だったな、魔王よ! どうやら、それはドライヤーのようだ!」
俺はガーネットの手から、拳銃みたいなドライヤーを没収した。
「返せっ、返せなのだぁ!」
俺は拳銃っぽいドライヤーも頭上にかざす。
ドライヤーを奪いたくて、ジャンプするガーネットに俺は言い放つ。
「魔王よ! その黒ローブの下に着ている、おどりこの衣装が丸見えだっ!」
「ひっ、しゅうげきに夢中で忘れていたのだっ!」
黒ローブで身体を隠したガーネットに、俺はドライヤーを構えた!
「魔王よ、お前の悪事もここまでだっ! 正義のおしおきを食らうがいい!」
ドライヤーの風が黒ローブをゆらす! パン○ラみたいな感じで、黒ローブからおどりこの衣装がチラチラ見えている。
「はううっ、ごめんなさい! もう、しゅうげきはしません……」
どうやら、俺には勝てないことを悟ったらしい。
俺は、ガーネットの頭に手をポンと乗せる。
「はっはっは、ごめんごめん。つい、ガーネットが可愛かったから!」
「か、かわい……」
急にガーネットは真っ赤になって、そっぽをむいてしまった。
なんか、恥ずかしいな……。つい、思ったことをそのまま伝えてしまった。
気まずい雰囲気になった時、俺たちの前にピエロが現れた。このピエロは、裏道具屋の店主だ。
「そこのおじょうさん。びっくりドライヤーのツケ、早めにお願いします!」
ピエロ店主は、契約書を見せてきた。
「わかったのだっ! しゅうげきを成功させて、必ず払う!」
言い切った後、ガーネットはハッとして俺を見る。
「ロ、ロアス。い、今のはジョーク……。ジョークなのだっ!」
「嘘をつけっ! 正義のおしおきっ!」
再び、ドライヤーがうなりをあげた!
ガーネットは、おどりこの衣装を見せまいと必死に黒ローブを押さえている。が、めくり上げは成功してるぞ!
「いやあああっ! も、もう絶対にしゅうげきはしませんから! やめてっ、あっ!」
ガーネットは、心の底から反省しているみたいだな。
俺はピエロ店主へ顔を向けて、
「店主! このドライヤーの代金は、いずれ必ず返す! 申し訳ないが、それまで待ってもらえるか?」
「もちろん! あなたは、ウチのチートポーションを飲んだんです。今後、戦闘で負けない確率はほぼ100%でしょう!」
急に天気予報みたいな言い方!
こうして、アイテム『びっくりドライヤー』を手に入れた俺。しかし、役には立ちそうにない……。それでも、ガーネットが嬉しそうなので良かった。




