竜巻に乗って謝罪しろ!
「ガー!」
怒り狂ったトロール課長は、俺に突撃してきた!
しかし、めちゃくちゃ遅い!
これはチャンスだ! 俺はトロール課長へ向けて、かけ出した!
ところが、俺の足も異様に遅い。どうやら、チートが無効になったようだ……。
俺とトロール課長は、ゆっくり走った。そして、相対する。なんか、舞台の左右から現れる芸人みたいノリだ!
トロール課長は大きく叫ぶ。
「それでは、ショートコント……」
やらねえから!
「ショートコント……」
まだ言うか!
「ショートコント……石を投げる!」
いやいや、コントじゃない! ガチのやつじゃん!
俺は何とかよけた。石は家にぶつかる。なんと、家は全壊してしまった!
トロール課長はまた叫ぶ!
「どーも、ありがとうございましたーっ!」
ありがたみのカケラもねえよ! 家を弁償しろよ!
俺は、うんざりしながらもつっこみをいれた。
その間にも、トロール課長は石を拾う。
そして、振りかぶって投げたー!
今度は、木が倒れて家を潰した!
勇者として、ここは正義の一言を言ってやらねば気がすまない!
「おい、トロール課長! 大工さんと家主に謝れっ!」
「ふぁーい」
鼻くそほじりながら言うなっ!
罪悪感が無さすぎる悪の中ボス、トロール課長。奴は俺をなだめようと、
「まあまあ、そう怒るなよ。ほら、ガーネットとかいう娘の動画を見せてやるから!」
スマホを差し出すなよ! さっき、鼻くそをほじってた手で!
俺が嫌がってると、トロール課長は振りかぶった!
やばい!
俺はその場にしゃがんだ。何かが、崩壊した音がする。
トロール課長は俺を見下し、
「オラオラ! 炎の魔法を出してみろよ! さっきの勢いはどうしたんだよ!?」
トロール課長はニヤけつつ、
「まさか、弱くなったんじゃないだろうな?」
バレたか!? いや、落ち着け! これは、ざまぁ展開だ!
「どうやら、図星のようだな! まあ、お前はどうでもいい! 妻には内緒で、ガーネットを愛人にする!」
何、深夜あたりにやってる不倫ドラマをおっ始めようとしてるんだっ!
「ガー!」
そう叫びながら、ガーネットに迫るトロール課長。どう見ても変態である!
おどりこの衣装を隠さず、必死に逃げるガーネット!
その後をトロール課長が追う……って、競馬中継かっ!
その時、ガーネットの前方に家が! とうとう、ガーネットは追いつめられてしまう。
後退できないガーネットに、トロール課長のいやらしい手が迫る!
ガーネットが危ない!
俺の身体は、自然と動いていた!
どうやら、一瞬チートが戻ったようだ。
俺は、すばやくガーネットの前に仁王立ちをした!
トロール課長は嫌な顔をして、
「げえっ、勇者の胸をもんでしまった! 気持ち悪っ!」
それは、こっちのセリフだっ! 上級テクでもみやがって!
トロール課長はブチギレた!
「勇者はジャマだっ! ぶっ殺す!」
トロール課長は拳を握った!
すると、ガーネットは思いきり叫んだ!
「ロアスはやらせないのだっ!」
トロール課長は苦笑いをして、
「ガーネットちゃんは、俺と遊ぶんだよっ! 勇者を殺した後、たっぷりね!」
「嫌なのだっ! 陽キャの女たらしより、大事にしてくれる人がいいのだっ!」
「な、なんだとっ!? 俺は課長だぞ! 金もたくさんあるんだぞ!」
「それでも、嫌なものは嫌なのだっ!」
「このメスガキィー! 勇者もろともぶっ殺す!」
まずい、トロール課長がまた拳を握ったぞ! 恐らく、パンチをくり出すつもりだっ!
「ロアス、しゃがめ!」
「? なんでだよ、ガーネット!」
「いいから、しゃがむのだっ!」
俺は指示に従う。すると、ガーネットは黒ローブで俺の頭を覆った!
おどりこの衣装がすぐ目の前に!
「ロ、ロアスよ! が、がんばるのだっ! コレを見て、強くなるのだっ!」
ガーネットはそう言ったら、急に悲鳴をあげた!
「きゃあっ! パンチが来る……」
ガーネット、怖がる必要はないさ。悪のパンチは受け止めたからな!
「トロール課長! 竜巻に乗って、奥さんに謝罪しろっ!」
俺は竜巻の魔法を放った!
竜巻に巻き込まれたまま、トロール課長は地平線の彼方へ消えていった!
足下に落ちている、トロール課長のスマホ。
俺は拾い上げて、再生してみる。
ガーネットのおどりこの衣装が、しっかり映っている!
ガーネットは慌てて、スマホを奪い取る。
「ロ、ロアスっ! な、何を見てるのだっ!」
「んー、ガーネットのいやらしい姿」
「ふええっ、見てはいけないのだっ!」
「さっき、自分から見せたくせに?」
ガーネットの顔は一気に赤くなり、
「もう! ロアスはいじわるなのだっ! 余のこと、大事にしてくれないのだっ!」
大笑いする俺。
一方、ガーネットは恥ずかしがっている。しかし、どこか嬉しそうだった。




