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ドラとリリの交渉術!2人ともそれはダメだって……

「最初は私から行くわ」

「いいよ。先手を譲ってあげる」

 リリは問答無用で兵士のところへ行く。

 兵士は犬族の男性だった。


 こんな茶番を見せられる兵士の人が気の毒になってくる。

「こんにちは、門番さん私たち村の中に知り合いがいるんですよ。だから中に入れてもらえませんか?」


「だから、申し訳ないけど今村の中で問題が起こっていて中にいれるわけにはいかないんだよ」


「どうしてもダメ?」

 リリはあざとい感じで上目使いで門番を見つめウィンクをしている。

 しかし、門番には効果がないようだ。


 リリは諦めない。

 ウィンクを連続で門番にする。

 しかし、門番には効果がないようだ。


 リリの満面の笑み。

 門番は目線をはずした。


 リリの目だけ笑っていない。

 僕とドラは朝のことを思い出し、リリの首根っこを掴み、引きづるようにして一度引き離す。


「リリ、門番さんが困ってたから。いくら可愛く言ってもダメだって」

「えっ私可愛かった? パックがそう言うならいいかな」


 僕が考えているのと何か違う感じがあるが気にしてはいけない。


「それじゃあ今度は僕が行く番だね。大船に乗ったつもりでまっていればいいよ」

 ドラはパタパタと空を飛びながら門番の前までいく。


「君が今大変なのはわかるよ。僕だって辛い。だけどね。時には頑張るしかない時もあるんだよ。なっそうだろ。じゃ俺は入るから。門番頑張れよ」


 なぜかドラはいきなりわかるとか言い出し、無理に入ろうとする。

 どんなコミュニケーションの取り方だ。


「だから、ダメだって言ってるだろ」


「まぁまぁそう怒らずに、人生は長いようで短い。そんなにカリカリしてもいいことはない。なっ!」

「いい加減にしないとこっちにも考えがあるぞ」


「あぁん? それなら僕だって本気だしちゃうよ」

 ドラは村の入口で大きなドラゴンの姿に戻ろうとする。

 僕はドラの頭に垂直にチョップをいれ、羽を持ってリリの場所まで戻る。


「ちょっと! 何やってるのさ。2人とも全然交渉とかになってないじゃん。とりあえず、ノエルの村は諦めるしかないね」

 門の前で僕たちが話をしていると、先ほどの親子がやってくる。


「先ほどは回復薬ありがとうございました。おかげで腰の痛みはまったくなくなりました。なかなか回復薬なんて高くて買えなかったので本当にありがとうございました」


「いえいえ、気にしないでください。あれは僕が自作したものでそれほど効果が高い物ではありませんので。では、僕たちはこれで」


「村へは寄っていかれないんですか?」


「いや、今村へはよそ者が立ち入りできないようで断われてしまったので」


「それなら大丈夫ですよ。私の方で門番へは話を通しますので」


 お姉さんが門番に話をすると僕たちを手招きする。

「この村のどこへ立ち寄りたい感じでしょうか?」

「僕の知り合いがこの村の救護院で院長をやっているので、あいさつをしようかと思いまして」

「もしかして救済の森の関係者の方ですか?」


 彼女たちの顔が急にけわしくなる。

「いや、前に救済の森で働いていただけで、今はもう辞めてしまったんですが、その時にお世話になったんです。クリフと言う名前なんですがご存知ですか?」


「もしかして……知らないのですか? この村から救済の森はもう撤退しましたよ。クリフさんは今も残っていてくれますが。救済の森からの支援がなくなったせいでクリフさんが倒れられてしまって。今この村では誰も治癒師がいないんです」


「それは本当ですか? それなら僕も少しはお役に立てるかも知れません」


「マイラさん大丈夫なのか? 元とは言え救済の森の関係者ってことは高額の治療費をとられるんじゃないのか? 特に俺たちのような亜人は人族からの差別がひどいからな」


 マイラと呼ばれた女性は耳が髪の毛に隠れていて気が付かなかったが狐族の人だった。

 子供の方も同じ狐族のようだ。ピコピコと耳が動いている。


 僕が子供の方を見ていると、その子も僕の視線に気が付きニコッと笑ったかと思うと僕の手を持って自分の耳を触らせた。


「あら、この子が初対面の人に耳を触らせるなんてあなた人族にしておくのはもったいないくらい心が澄んでいるんですね」


「いや、そんなことは……」

「この子は言葉が話せない替わりに色々な物がわかるんですよ。この子がこんなに懐くなら人族でも大丈夫だと思います。それにもし、ダメなら私の方で責任を持ちますから」


「マイラさんがそこまで言うなら……だけど、危ない時にはすぐに追い出しますからね。今この村には他の旅人を面倒みる余裕なんてないんですから」


「村に迷惑をかけることはしませんので。クリフへあいさつをしたらすぐに村をでますので」

 マイラさんのおかげで僕たちは無事に村の中に入ることができた。

 だけど、村の中では大変なことが起こっていた。


「これは……なんでこんなことに?」

 マイラさんは悲しそうな顔をしながら村について説明してくれた。

リリ「私のウインクでなびかないなんてホント失礼な奴よね!」

ドラ「デスウインク?」

リリ「ちょっと向こうで話そうか」

ドラはそれからしばらくブルブル震えていた。暗闇ともう一つ怖い物ができたようだ。


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同作者の書籍化作品です。ネット版とはまた違った展開になっています。 本を読んで楽しく自粛を乗り越えましょう。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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