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理想の現実  作者: 南条 紙哉
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1-8

 驚いた時にとるリアクションっていうのは、昔から大声をあげたりずっこけてみたりするものだと決まっているが、人間本当に不意の驚愕を受けた時は声を出すこともなく、動くこともできないことを知った。


 今、俺の目の前でベットの上に立っているのは七菜香で間違いないだろう。

 

 問題はその服装にあった。


 日曜の朝に女児向けに放送されている魔法少女のアニメがあるのはわかるだろうか。いつどこで着替えたのかは知らないが、七菜香はそれに似たような格好をしていた。


 そして手には、随分とかわいらしい色の銃が握られている。流石にこれはおもちゃだろう。


「えーとね、お兄ちゃん。これには深いわけがあってね?」


 七菜香はようやく口を開き現状の説明を始めてくれるようだが、目をあわせないように視点があちらこちらに移動している。


 今の七菜香の姿を見てどういう反応をしてやればいいのかわからない…………。


 信じがたい話だけど、少なくとも七菜香が異能持ちであることは確定でいいだろう。ただ、魔法少女かぁー…………。


 七菜香は何を言っているのかわからないが、ひたすら俺に説明を続けていた。身振り手振りも添えているが、よく聞いてみると何か言い訳(?)をしているようで、やはり何を言っているのかわからない。


「――――――――ほんとはお兄ちゃんにも相談しようと思ってたの! だけどなかなか時間がとれなくて…………だから今調度こうしてお話しできるのはラッキーなのです、ははははは――――――――」


 こんな感じだ。何も説明していない。とりあえずは静かになるまで無視しておこう。


 にしても…………この天井にある穴は七菜香が空けたのか?

 サイズ的には大体直径5mくらいか。ここは屋上が駐車場になってるわけだし、このサイズの穴を重機なしで空けるのは物理的にも無理なんじゃないか…………。


 そういえばここに来た時、七菜香は尻を摩っているようだったな。

 まさか…………ここまで七菜香がとばされてきたってことは…………いや、さすがにないだろう。

 もし仮にそんなことがありえれば、七菜香の体重が数t近くあるか、もしくはそれだけの威力が出る速度で打ち付けられたことになる。

 

 こんな事態だというのに、穴から見える空は綺麗で見続けていると飲み込まれてしまいそうだ。


 そんなことを考えていると、青いキャンバスにふと黒い点が現れた。


「雲…………にしては小さいし、何なら今は時間停止中だよな? じゃああれは…………」


 目を細めてみるが、やはり点のままで詳細が見えてこない。

 …………いや、大きくなってきてないか!? 


 ――――――――そして気付いたら最後、俺が空を除くように見ていた穴には何かが突撃し、周辺に再び轟音と衝撃をもたらした。


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