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理想の現実  作者: 南条 紙哉
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1-4

 七菜香の作った朝食を食べ終わり、俺はさっそく情報収集を始めた。


 朝食の最中、七菜香から今の月岡家の構成について聞いておいた。

 もしかすると変化は七菜香だけではないかもしれないと思ったからだ。

 まだ兄妹がいるかもしれないし、逆に減っている可能性だってあったわけだ。家に帰ってきても両親はいないし、もしかすると死別したことになっている可能性もあると少し覚悟していた。

 

 そして、七菜香からするとおかしな質問だったようで、熱があるのかと心配されたが適当に言い訳しておいた。急に「うちって何人家族だっけ?」と聞かれたら精神を疑うのも無理はない。


 結論は、両親健在で4人家族。

 ただ、親は二人とも出張中で、1年を通して滅多に家には帰ってこないとのことだった。


 小学5年生の娘と高校生の息子を置き去りにしているのは流石に親としてどうかと思うが、今はそれに突っ込んでいる場合ではないだろう。


 そして、今の日付だ。


 これには俺も驚いてしばらく開いた口がふさがらなかった。


 時間が戻っているか、もしくは進んだかで今は2月ではなく7月8月あたりであることは状況判断でわかっていたが、何に驚いたかと言えば、動いた時間は数カ月だと思っていた所、実際には2年と半月過去に戻っていたということだ。

 テレビの日付もスマホも、間違いなく2年戻っている。信じがたい話だが、実際にこうして現実になっているわけだから受け入れるしかないだろう。


 とりあえず必要最低限の情報が集まったところで浮き彫りになった疑問は一つ。


「どうして過去に戻ったんだ?」


 そう、どうしてこうなったか。


 物事には理由がつきものだ。ましてやこの類の超常現象が理由なくして日常的に起こっているとすれば恐ろしすぎる。


 戻っただけじゃない、新しい兄妹の存在もある。そして両親もだ。

 母さんは専業主婦だった「はず」だし、父親も出張は年に1,2回で、一年を通してほとんど家に帰ってこないなんてことはなかった「はず」だ。


 少なくとも今動いている日常は、俺の知らないところにある。


 だからといって、何でもかんでも聞いていたのではおかしくなったのかと心配されるだろう。七菜香もそうだったし。


 しばらくは口裏を合わせて生きていくしかなさそうだ。


「ねぇねぇお兄ちゃん、今日なにか予定ある?」


 方針も固まったところで、洗い物をしていた七菜香がそう聞いてきた。


 予定…………一応スマホのスケジュールには何も入ってないけど信用できないな。


「多分何もないけど」


 最悪ダブルブッキングでもしたらその時は素直に謝ろう。


「じゃあさじゃあさ、一緒に買い物行こ?」


 小刻みに跳ねながら七菜香はそう言った。


 特に予定もない(予定だ)し、断る理由もないな。


「いいよ、どこに行く?」

「じゃあね、服を買いに行きたいなー」

「わかった、じゃあお昼がてら街にでるか」

「はーい」


 よっぽど嬉しいのか七菜香は鼻歌を歌いだした。


 親はいなくなったけど…………こういう生活も楽しいかもしれないな。

 妹ができて数時間、俺はこの環境に落ち着きを感じ始めていた。


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