取材対象 -ベネッタ・ニードロス-
――本日はよろしくお願い致します。
「よろしくお願いしますグレースさんー、あの同窓パーティ以来だねー?」
そうですね。自分もお邪魔させて頂きました。
噂に聞くミレルも観光できましたし、色々と楽しかったです。
「ねー! っと、もう記録用魔石使ってるんだよねー? 普通に雑談しそうになっちゃいました」
相変わらずですね。学生の時と変わらない雰囲気で私も安心します。
それでは、早速質問を始めさせて頂きます……聖女様はお忙しい方ですからね。
「友達に聖女様って呼ばれるのはずかしー……」
ありがとうございます。
――彼の第一印象は?
「凄い人。ベラルタ魔法学院って新入生同士が結構ギスギスするんですけどー……アルムくんの周りだけそんな感じしなくて、身分とかもぜーんぶ関係なく仲良かった。
アルムくんの人柄もだけど、ミスティとかルクスくんとかエルミラもいい人達だからってのもあってー……一番打ち解けてた。遠くからそれをずっと羨ましいなって思ってたよー」
自分の目から見てもあなた方五人は仲が良かった印象ですが、最初から五人で集まったわけではないんですね。
――それでは、知り合ったのは?
「ある日、アルムくんが足を怪我してたのを治したのがきっかけだねー……本当に懐かしいなー。そこから学院の実地依頼に誘われて、一緒に行動するようになったかなー」
――それでは、彼について一番印象深い出来事は?
「【原初の巨神】のベラルタ侵攻の時かな。昔は箝口令しかれてたけどー……今はもう大丈夫だもんねー!」
当時は学院でも知らない人間がいたくらいですからね。かく言う私も当時はただの噂だと思っておりました。
ベネッタさんはその時いらっしゃったとか?
「うん、あの光景は今でも鮮明に思い出せるよ。間違いなく、ボクの人生を変えるきっかけだった……あんな風になりたいって、アルムくんみたいに自分を信じて前を歩き続けられる人間になりたいって思ったんだー」
――ベネッタさんにとっても大きな出来事だったという事ですね。
「えへへ……何か照れるなー……。うん、でも……そうだよ。ボクにとって一番の思い出……空まで届くみたいな【原初の巨神】が恐くて、それでもアルムくんが希望を持てるような姿を見せてくれた……うん、一番の思い出だ」
……一番の思い出は? と質問するつもりだったのですが言われてしまいましたね。
「えー!? ごめんなさいー! 段取りめちゃめちゃになっちゃいましたー!?」
いえ大丈夫ですよ。質問する手間が省けましたから。
ベネッタさんから見た彼についてを聞いているわけですからご自由に発言して頂けるのは助かります。
「あー、よかったー……!」
それでは次に……ベネッタさんは彼の旅に二年間同行していたという事ですが?
「うん、ミスティに頼まれてー……ずっと心配してたのが限界になっちゃったみたいでー。治癒魔法も使えるってことでボクが!」
――どうでしょう? 男女の二人旅というのは中々難しいように思いますが?
「難しいってー? 全然でしたよー? アルムくん山育ちだから町に着かなくても野宿中にお腹いっぱいになれるくらい魔獣狩ってくれたり、お肉だけじゃなくて山菜とか採ってくれたりー」
ええと、そういう事ではないのですが……その様子だと本当に何か間違いが起きるような事は無かったという事ですね。当然ではありますが。
「あ、そういうことー!? ないない! アルムくんミスティ大好きだし! ボクは昔からアルムくんのことかっこいいって思ってはいるけど、憧れとか尊敬が強くて……ヒーローって感じ」
ヒーローですか?
「うん……ボクにとってはね。不可能なんて蹴っ飛ばしちゃうんだよ、アルムくんはさ」
……ありがとうございます。彼への尊敬がとても伝わってきました。
――それでは最後に、彼に何か一言あれば。
「えー……なんだろ……これからもよろしく? これはボクの願望でもあるけど、アルムくんとはおばあちゃんになっても仲良くいたいな。ミスティともルクスくんともエルミラとも。辛くて苦しい事がいっぱいあったけど、あの学院で過ごした時間は本当に特別だったからー……うん、改めてよろしくお願いしますって言いたいなー。
後は……アルムくんに新しい目標が出来たし、それの応援もかなー?」
ありがとうございます。これにて質問は終了となります。
今日はお忙しい中、ありがとうございました。
「こちらこそありがとうございました、改めてボクはあの四人が大好きなんだなって思えたよー。
ねぇねぇ、グレースさん……本が出来たらボクも貰えたりしない? すんごく読みたいんだけどー。タイトルは? 何て本になるのー? えー! 気になるよー!」
いつも読んでくださってありがとうございます。
今よりもほんのちょっと未来のお話。




