表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】白の平民魔法使い【完結】   作者: らむなべ
第十部後編:白光のルトロヴァイユ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

942/1050

取材対象 -ルクス&エルミラ-

 ――本日はよろしくお願い致します。



「かたいわね……仕事モードってやつ?」

「よろしく、グレースくん」



 ――お忙しいところ取材を受けて頂いてありがとうございます。

 まさか二つ返事で受けて貰えるとは思わなかったので。



「確かに忙しいけど少しくらいは時間も大丈夫だし、同期からの依頼とあればね」

「あんたがあいつの本を書くって聞いた時は流石に驚いたけどね。どんな心境?」




 ――まぁ、色々考えまして……こほん。

 それではお時間をとらせるのも申し訳ないので早速質問を始めさせて頂きます。

 彼の第一印象は?



「恥ずかしいけど、正直に答えようか……貴族にすり寄ろうとする場違いな平民って思ってた」

「あーあー、そうだったそうだったルクスって最初そうだった」

「いやほんとあの頃の僕は未熟すぎて……」

「あの後しっかり謝ったんだから全然いいでしょ。私は変な奴ってくらいかしら。こいつのおかげで当時没落貴族だった私への陰口やらがほとんど無かったからラッキーって感じだったかも」



 ――知り合ったのは私達の世代では有名な入学式の決闘ですよね。



「そうそう、二人共入学前からがっつり怒られてんの!」

「初対面の話をするとどうしても僕の恥を晒すことになっちゃうんだよね……あの時の僕は本当に視野が狭かった。けど、そのおかげで今の僕があるからかけがえのない出会いだった。僕はずっとアルムを目指していたから」

「それは私もかしら。あいつはいつだって自分のためだって思いながら誰かを救ってくれるやつだった。平民だからって周りに見下されてても関係無かったわ。

ま、見下してたやつはほとんど進級できなかったんだけど! あはは!」

「ベラルタ魔法学院は魔法儀式(リチュア)の模擬戦だったり、実地依頼をこなす実戦だったりがひたすらに多くて、一週間で互いの力量が変わるような環境だったからね。他人の陰口やら徒党を組んで派閥を、なんてやって自分の鍛錬を怠ると一気に置いてかれる。この本を見て"魔法使い"を目指す人は是非気を付けてほしいね」



 ――読者の方々へのメッセージまで気を遣って頂いてありがとうございます。

 それでは、彼について一番印象深い出来事などはありますか?



「僕はカエシウス家のクーデターかな。アルムの一声が無ければ僕はあのグレイシャのクーデターをどうこうしようだなんて思わなかった。正式な魔法使い部隊の到着を待とうとしてたんだ。

あの時の僕の判断は間違いじゃなかったけど、ただ間違わなかっただけだ。その時に僕とアルムの"魔法使い"としての差を知って……彼を明確に意識するようになったよ」

「私はガザス留学の時かしら。ガザスの王都襲撃に巻き込まれた形になって大変な目にあったけど……アルムに頼りっきりで、自分のこれからを見つめ直すきっかけになったわ」



 ――それでは彼との思い出などは?


「思い出か……うーん、ずっと楽しかったからなぁ」

「やっぱ五人で集まってお茶飲みながらだべってた事じゃない? 別になーんもないけど時間合ったら集まってたじゃない? 私はあの時間がすっごい好きだったわ。

ミスティがお茶を用意してくれて、ベネッタがお茶菓子に目を輝かせてさ?」

「あははは! 懐かしいな……あの時はずっとあんな時間が続くと思ってたね」

「ええ……今の生活もそりゃ幸せだけど、あの時の砕け切った感じは今思うと特別だったわね」



 ――特別仲が良かったですね。

 周りから見ても常に一緒にいるイメージがありました。



「僕にとって特別な親友と呼べるのはやっぱり学生時代からの四人……あ、今は一人友達じゃなくて最愛の妻になってるわけだけど」

「さいあ……! この馬鹿! 余計な事言わないの!」

「あて」



 ――学生時代より更に仲がよろしいようでなによりです。

 それでは彼に再会したらどんな話をするでしょうか?



「あいつと再会したら……」

「……僕はやっぱ怒るかな。何でだよってさ」

「怒るなんてもんじゃないわよ……!」



 ――え、エルミラさん?



「大体あいつはいつも勝手というかマイペースっていうか! 卒業式終わってすぐ消息不明ってどういうことよ! 私達に黙って旅して回るぅ!? しかも全然連絡寄越さないぃ!? 本当にあいつは常識ってもんがないのよね! 最初から常識ほとんど無かったけど過去最高にむかついたわ!

……再会したらって? 決まってるじゃない! 帰ってきたらとりあえずぶっ〇す!!」

「あー……ここ書くのは勘弁してもらっていいかい? グレース?」



 こんなの直接書けないのでオブラートに包んでみます。

 ええと……それでは、そろそろ終わりにしましょう。扉からちょこっとこちらを覗いてる可愛いお子さんに恨まれたくありませんから。


「あら、どしたの"エミリー"?」

「ママ……? おしごとまだ……?」

「もう少しで終わるからもうちょっと待ってなさい。終わったら汗だくになるまで遊んであげる」

「それはやだぁ……」

「なんでよ!? ママといっぱい遊んでよ!?」

「はは、ごめんねグレースくん騒がしくて」


 いいえ。幸せそうでなによりです。

 お聞きしたい事は聞けたので本日はこれで失礼します。

 お忙しい中、時間を作って頂きありがとうございました。


「いやいやこちらこそ」

「はいエミリー、ママのお友達にご挨拶できる?」

「こんにちは……エミリーです」


 はい、こんにちは。グレースと申します。

 自己紹介出来て偉いですね。


「えっへん」

「よく出来ました。それにしてもあいつ……どこにいるかしら」

「さあ……? アルムの事だから大丈夫だとは思うんだけど久しぶりに会いたくはあるよね」


 ああ、今度帰ってくるらしいわよ。

 ネロエラとフロリアに会いに行った時、王城でそんな話を聞いたから。

 

「……え?」

「あん……?」

「ママこわい……」


 あなた達には連絡いってると思ってたんだけど……教えないほうがよかったかしら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] エミリーちゃんを中心とした明るく楽しい、仲睦まじい家族生活が想像できる……! えっへんの所に凄くエルミラを感じちゃいました。
[一言] 旅なんだ…よかったぁ。 大蛇戦で霊脈に接続したことの後遺症で後から倒れたのかと思ってました。
[一言] 子供はいるんだろうなと思ってましたが まさか4年の間に喋れるような年齢の子を作ってるとは思いませんでした ママこわい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ