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【書籍化】白の平民魔法使い【完結】   作者: らむなべ
第十部後編:白光のルトロヴァイユ
885/1050

魔法生命(第十部編)

第十部までに登場した魔法生命達の設定とおさらいのようなものです。

おさらいを兼ねているのでさらっとネタバレしているのでここまで読み終わっている方のみどうぞ。

本編では話していない情報もありますが、本編を読み進んでいく上で影響はしませんので面倒な方はここは読み飛ばして頂いて構いませんのでご安心ください。

太陽を飲み干す者(アポピス)

宿主:アブデラ・セルダール・タンティラ

伝承:エジプト神話

千五百年前に現れた魔法生命の一柱であり当時創始者に敗北した鬼胎属性の魔法生命の魔力残滓。名前はアポピス。


千五百年前のダブラマではすでに魔法生命を信仰する集団がおり、地下遺跡にて死んだ信者達の信仰を糧にこの世界に留まって復活の機会を窺っていた。

本編から約百年近く前に地下遺跡を見つけたアブデラと契約し、自身の復活のためにアブデラに力を貸しながら暗躍していた。魔力残滓なので体は無く、魔力の塊がアブデラに巣食っていた形。

アブデラの目的である才能ある人間だけの世界という目的と契約により、平民全員を生贄に自分を復活させ、ついでに死んだ貴族達の魂全てを支配下に置きながら蘇らせるという神の力を行使しようとするが……ベネッタに魔法式を通じて死後の世界から動けなくされるという離れ業によって阻止される。


呪法は魂の交換。生者と死者の魂を入れ替えられる。

目的は才無き者全員を生贄に復活し、自身の再誕を"神が為の神話(ミュトロギア)"として定着させて才有る者だけの世界を創世した神として君臨すること。





夜帳(とばり)雷鳴(かみなき)観音開(かんのんびらき)

宿主:ノブツナ・ヤマグチ

伝承:平家物語など

魔法生命の組織コノエの黒幕であるネレイアが実験していた鬼胎属性と夜属性を合わせ持つ魔法生命の一つであり、ネレイアが死んだ後には自由に行動を始めた魔法生命。黒い煙を纏い、色々な動物のパーツを合わせ持った獣の姿をしている。

名前は(ぬえ)。一人称が安定しないのは鵺自身、自分の存在が曖昧なため。


後発の魔法生命であり、本編でのルクスの推測通り他の魔法生命に比べて"現実への影響力"が低い。紅葉(もみじ)以下白龍以上といった感じ。

本人の目的が"世界の混乱"と曖昧なものであり、宿主のことを何とも思っておらず心を通わせようとも侵食しようとも思っていなかったせいか同調率も低かった(宿主を一回も名前で呼んでいないのもそのため)。

"現実への影響力"は低いものの鬼胎属性と夜属性の二属性という特異体質を持っていたのでネレイアの実験対象になっていたが、特に目新しい成果も出なかったので第六部時点では放棄されている。

その後、大蛇(おろち)と接触するが気に食わなかったので独自で行動する事にしたがルクスとクオルカによって討伐され、最後の力で宿主を生贄に捧げるも何も起こせないまま消滅した。


呪法は夜と不吉を運ぶこと。魔法生命を召喚できる可能性があった魔法生命の一体。

目的は世界を混迷に堕とす事。それしか自分のやるべき事を知らなかったためそう動くにはどうしたらいいか考えた結果、故郷で最も有名であろう伝承を召喚しようとしていた。





神堕礼賛(しんだらいさん)白面金毛九尾(きゅうびのきつね)

魔法名は本編では未使用。

宿主:なし

伝承:玉藻物語など各国に様々な伝承あり

鵺が召喚しようとしていた神獣。九本の尾と金の毛を持つ妖狐であり、様々な国で人間に化けて傾国を企てており、八万の軍勢をもってようやく討伐されたとされる怪物。

名前は時代やその土地によって色々あるが、その全てが九尾そのものを指し示す名前なので、一つの名前に固執せずとも伝承や神話の影響を受けられる珍しい存在。

本編では鵺の召喚を拒否していたが、理由は生贄が少なかった事に加えてそもそもまだ生きているから。

白の平民魔法使いにおけるこちらの世界はルクスと鵺の戦いの時点で2022年8月であり、とある石が砕けて最近封印が解けた九尾は人間に化けて人間社会を学んでいる。

現代の魔術師、陰陽師、呪術師、巫術師(シャーマン)電脳神秘師(ニューゲート)などありとあらゆる勢力から隠れていたので、人間に化けて借りた自室に召喚陣が展開された瞬間、何してくれてんだぶち〇すぞ、という苛立ちのまま召喚陣を通して鵺を破壊した。アルム達の世界に来ていた場合、鬼胎属性と信仰属性を自由に切り替えられる特異体質をもった魔法生命になる。

人間社会に表立って行動していないのは今の人間社会を見たため。


「核とかこわ……我でも二発しか耐えられないじゃない……。え? 刀もまだ残ってる? あんな我々を殺す以外あんまり役に立たない武器がこの科学の時代に? しかもまだ使い手が何人か残ってる? 千年近くも経って? えぇ……? いかれてるの……? あ、元からか……」


と日本から撤退。

現在はシンガポールを拠点に謎の女投資家として溶け込んでいる。

未来視が使えるが、使わずにどれだけ自分の腕で稼げるかスリルを味わいながら楽しんでいるようだ。あんまり儲かってはいない。





星結(コリバオ)()大海の使徒(ケトゥス)

宿主:なし

伝承:ギリシャ神話

スノラから帰っていたベネッタの前に現れた魔法生命。名前はケトゥス。

鋭利な歯の並ぶ横に裂けた口と竜の頭部、鯨のように膨れた上半身のに尾鰭のついた蛇のような下半身をしており、翼はないが飛行能力を有している。

宿主を持たず、核から成長するように今の姿となった珍しい魔法生命であり鵺と同じくネレイアの研究対象の一体だった。


鬼胎属性でありながら中立の魔法生命。中立どころか人間側に近い。

十五年前、大百足と大嶽丸含めた魔法生命達が常世ノ国(とこよ)の霊脈を食い荒らし始めた時に空へと逃げており、今までずっと空からこの世界を見続けてきた。

魔法組織コノエに残っていたスピンクスとだけは唯一コンタクトをとっており、スピンクスから色々"答え"を聞いていたが……とあるタイミングで大蛇(おろち)に目をつけられ呪法を契約させられる。

スピンクスと同じくアルム達がこれから先どんな選択ををしなければならないかを知っている数少ない魔法生命であり、人間側に立っているのはその分岐点を見届けるため。


呪法は遊泳。世界の理を無視して海も空も自由に泳ぐことができる。星座となって人間を見届けてきたせいか精神を蝕むような呪法が存在せず、食人衝動も少ない。

目的はこの世界でも星座となって(そら)を泳ぐこと。最後の時を待っている。





堕とされし乙女(ラ・ピュセル)

宿主:ジェーン・フレンジー(故人)

伝承:歴史

マナリルの東部を荒らしまわっていた人間の魔法生命。名前はジャンヌ・ダルク。

人間の魔法生命なので魔法生命の形態となっても甲冑を纏うくらいで大きな変化はない。


カンパトーレで発掘された現時点では一番最後に復活した魔法生命。

復活直後から大蛇(おろち)の首一つ分の呪詛によって魂を蝕まれ、様々な認識を狂わされたまま解き放たれ、"最初の四柱"に迫る"現実への影響力"にまで至っていた。

自分の欲望(エゴ)も人間である事や信仰さえも利用され、"現実への影響力"を上げるためだけの生命としてこの世界を徘徊し続けていた。本人は、味を感じないのと空腹は神の試練であり、抑えるためには主の糧(人間)を食べ続けるしかない、という事だけが唯一まともにできる思考だった。

もっと多くの人間を食べなければとパルダムに訪れた所でエルミラとベネッタ二人と交戦して敗走。その後はカレッラでシスターと共に忘れていた欲望(エゴ)を叶えてそのまま消滅した。

鬼胎属性だったのは異端と断じられていた伝承が強く出ていた状態であり、大蛇(おろち)の干渉が無ければ信仰属性の魔法生命として人間側に立ってくれていたであろう人物。分岐点によってはこうして状況が悪くなる事もある。


能力は退魔。"現実への影響力"が底上げし続けた結果、神の加護を再現していて汎用魔法は全て通用せず、血統魔法すらほとんど効果がない。エルミラの血統魔法が完全に通用しなかったのは火刑に処された自分の歴史を乗り越え、火属性魔法への完全耐性を得たため。どれだけ認識を狂わされていても信仰自体は本物だったのが災いしてしまった結果、本編ではエルミラが可哀想なことに。

目的は仲間と一緒にしたようにまた誰かと一緒に食事をすること。死に際に願ったのは自国の民や時代への恨みではなく、戦友とご飯を食べるという幸福な記憶だった。

設定回までしっかり読んで頂きありがとうございました。

裏事情なども含めた解説でした。


『ちょっとした小ネタ』

ジャンヌはアルムの親は何故エセシスター?という理由の半分を占めていたりしていました。宗教が一般的ではないこの世界でジャンヌを一瞬正気に戻せる数少ない存在です。

この小ネタまで話せる段階になっていて、ようやくここまで書いた、という気分です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 九尾ちゃん復活後の人生 [一言] めちゃくちゃ人生謳歌してて笑いました この九尾ちゃんの人生追っかけるだけでも楽しそう ぬゑのせいで色々疑いとかかけられてそうwww
[一言] 九尾さん生きてるのかよ、なんだかんだ楽しんでるのかよ、そしてあんまり儲かってないのかよ! この九尾さん好きです。
[良い点] 本編出てない設定まで練り込まれてんのすげえ
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