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【書籍化】白の平民魔法使い【完結】   作者: らむなべ
第十部前編:星生のトロイメライ
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プロローグ -交わらぬ者-

「許さない。俺はお前の生存を許さない」

(ゆる)す。我等は(ゆる)そう。貴様らの生存を』



 両者は同じ星に在る。

 両者は違う世界に立つ。



「お前の声も記録も、あってはならない幻想だ」

『貴様らは星の一部。あらねばならない現実だ』



 両者は共に生命。両者は違う存在。

 同じ星に在り、同じ場所に立たぬ者。

 互いが互いを塗り潰すための色。



「だから、俺はお前の誕生だけを呪おう」

『ゆえに、我等は貴様らの繁栄を心から祝っている』



 白が黒を。黒が白を。

 どちらもは有り得ない。



「お前がもたらす死と恐怖は何よりも吐き気がする」

『我等の身に集まる信仰と恐怖に礼を言おう』

「忘れるな。この世界にお前はいさせない」

『残念だ。我等の慈悲と寛大さがわからぬとは』



 それはどちらも相手の光を閉ざす闇。

 一方は個を極める道を。

 一方は群の中で寄り添う道を。

 同じ星に在って、決して同じ在り方にならない者同士。

 少年はその道で魔法使いという道を目指した。

 呪いはその道で神を目指した。

 ならば、譲歩の道などあるはずもない。



「なら」

『であれば』



 声には怒り。

 意思には決意。

 両者は互いの姿を瞳に焼き付ける。最も邪魔な敵として。



「この世界で魔法使いを目指す俺は、お前に言わなければいけない」

『この星の神を目指す我等は、貴様に宣告せねばなるまい』



 これは命を蹴落とす生存淘汰。

 善も悪も関係ない欲望と欲望の衝突。

 両者の意見はたった一つだけ交わった。



「お前は消えろ。俺が望む世界から」

『貴様は消えろ。我等の星から』



 お前はこの星には不要だと、最大の殺意と侮辱を突き付けて白の平民と黒き呪いは互いの命を否定する。

 生きるために命を食らうのではなく、ただ互いの存在を排斥するために。

いつも読んでくださってありがとうございます。

更新開始は再来週の月曜日からになりますが、予告を兼ねたプロローグとなります。

ここからは第十部前編『星生のトロイメライ』となります。

えー……前編という点の言い訳になるのですが、番外を書きながら第十部について考えていた所、確実に百話で終わらなそうなので最終部はこのような形をとらせて頂きました。

前編六十話前後、後編が後日談含めて七十話前後になる予定です。読者の皆様、今しばらくお付き合いください。応援よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] お話が増えるのは幾らでも大歓迎です! 存分にやっちゃってください! だいぶ遅いですが、十部前編、更新開始おめでとうございます!
[気になる点] これで終わってしまうのが残念です。前部の終わりが戦闘開始だったせいで、アルムとミスティの告白後初デート回もなかったですし。二人がくっつくには、柵を含めるともう少しかかるかと思ったんです…
[一言] 70話!? めっちゃ楽しみにしてます
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