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【書籍化】白の平民魔法使い【完結】   作者: らむなべ
第九部:呪われた魔法使いとお姫様

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800/1050

番外 -図書館にて--

今回二回目の更新となってます。

前回と温度差が激しいです。

「ルクス……」

「なんだいエルミラ……そろそろ膝から下りる気になったかい?」

「私凄い事思い付いたのよね……聞きたい?」

「無視しないでくれよ……僕は一応本を読んでるんだけど……」

「聞きたい?」

「……はい、聞きたいです」

「そうでしょうね。なにせ凄い発見だから」

「エルミラがそう言うならさぞ凄いんだろうね」

「ええ、パスタってあるじゃない?」

「うん、僕も好きだよ」

「私も好き。だから思ったわけよ。毎日パスタにしてソースを変え続けたら……永遠に飽きないんじゃないかしら?」

「……」

「……」

「………………麺に、飽きるんじゃないかな」

「そうよね……盲点だったわ……」

「……暇なんだねエルミラ」

「ええ、誰かさんが構ってくれないからこうして本を読んでるのを邪魔するために膝の上に乗ったりてきとうな事を言って気を引いてるの」

「君の相手ができないのは申し訳ないけど、僕これのレポートを書かないといけないからさ……」

「うん、わかってる。ルクスがそれをやらなきゃいけないのもわかってるの」

「なら何で邪魔しちゃうんだい?」

「こう……我が儘?」

「あ、わかってるんだ。わかった上でやってるんだ」

「てへっ」

「ずいぶん棒読みだなぁ……」

「……く……!」

「言ってから照れないでくれよ……こっちもなんか恥ずかしくなる……」

「お? なんだ? 彼女がかわい子ぶってるんだから可愛いって言いなさいよ。ほら……可愛いって言ってみなさいよ」

「何で喧嘩腰なんだ……。かわい子ぶらなくても君は可愛いだろう」

「よし」

「……何が?」

「ルクスが私に可愛いって言うかどうかベネッタと賭けてたから」

「待って。なんだいその僕が恥ずかしくなるだけのギャンブルは」

「嘘よ嘘。てきとう言っただけ」

「あ、何だ……って、これエルミラの思惑通りになっちゃってるな……」

「結構早く気付いたわね。そうよルクス。あんたはこのかつてないほど面倒臭い構って状態のエルミラの罠にかかったのだ」

「これは大変だ。僕には抜け出せなさそうな罠を張るとはやるねエルミラ」

「……私が言うのもなんだけど、こういうのは怒ったほうがいいわよ?」

「あ、怒られるような事やってる自覚もあるんだ」

「当たり前でしょ」

「そんな堂々と……じゃあ怒ったほうがいいのかい?」

「いいわよ。ルクスの怒ったところ見るなんて中々無いだろうから」

「それじゃあ……何でこっちを向くんだい?」

「怒った所を見たいからよ」

「その……わかってたけど近いね……」

「何を今更。膝の上に座ってたんだから近くて当然でしょ?」

「いや、さっきまでは背中を向けられてたから大丈夫だったけど……正面で向き合うと、その、この近さは凄い破壊力だ」

「自分の彼女の可愛さに参っちゃった?」

「課題をやらなきゃいけない時にこれは毒だね」

「否定しないんだ」

「する気も無いよ」

「…………」

「…………」



 図書館の扉が開く音が鳴る。

 その瞬間、本に囲まれた二人だけの世界は終わった。

 ガタガタ、とエルミラは急いでルクスの膝の上から下りてかつてない姿勢の良さでルクスの隣の椅子に座る。


「…………何の音?」


 図書館に入ってきたのはグレースだった。

 図書館らしからぬ音に怪訝な表情で二人のいるテーブルのほうへと歩いてきたようだ。


「やあグレース」

「ぐ、グレースじゃない……どうしたの?」


 グレースの表情は座っているルクスとエルミラの二人を見てさらに難しくなる。

 大きな眼鏡の奥の目が何かを疑うように二人をじっと見ていた。


「……エルミラは何でそんなに姿勢よく座っているの?」

「と、図書館だからよ……」

「そう……あなたがそんな殊勝な女だとは思わなかったわ。それで? 何やってたの?」

「いや……別に何も……?」


 グレースの問いにエルミラは顔を赤くするばかりで何も答えない。

 そんな様子のエルミラを見て、グレースは大きなため息をついた。


「人がいない時間帯だからって……ここで盛るのだけはやめてよ?」

「な、なに言ってんのよ! いくらなんでもそんな……ねえルクス?」


 エルミラは弁解すべく隣のルクスに助け舟を出してもらおうとするが、


「少し危なかったな……」

「ルクス!?」


 助けの舟なんてものは隣から出なかった。

 ルクスのまるで認めるかのような発言にエルミラはさらに焦る。


「来てくれてありがとうグレースくん」

「ええ、全然嬉しくないお礼だけど受け取っておきましょう」

「君が来てくれなかったら今頃エルミラと接吻の一つや二つは――」

「その口閉じろごらあ!!」

「ぐふっ!!」

「なんでもいいけど……図書館では静かにしなさいよね」


 ルクスの頬に突き刺さるエルミラの右ストレートを見届けると、グレースは勝手にやっててくれと呆れながらお目当ての本を探しにいくのであった。

いつも読んでくださってありがとうございます。

ちょっといちゃつかせました。

この番外で第九部は終わりとなります。明日の更新で第十部の予告を兼ねたプロローグを更新します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ルクスと二人きりの時にしか現れないデレミラさんだぁ! いいぞ、かわいいぞ、もっといちゃつくのだ! [一言] さりげなく3年生の風紀の乱れを未然に防ぐグレースさん(笑
[一言] 第800話、おめでとうございます!(*^^*) これからも読み続けます、頑張って下さい!
[一言] 800話記念の砂糖話
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