ベラルタ魔法学院三年生
いつも読んでくださってありがとうございます。
本来なら一区切り恒例の幕間ですが、今回は人物紹介です。ここを読まなくても本編に影響はないので別に読まなくていいやという方もご安心ください。
・ネロエラ・タンズーク
マナリル国北部タンズーク領(元カエシウス領)の町ダムスハン出身。現在十八歳。
元カエシウス家補佐貴族タンズーク家の一人娘。国王からその能力を買われて卒業後新設部隊の設立が約束されているベラルタ魔法学院の三年生。
色素の薄い真っ白な髪と肌、そして真っ赤な瞳をした少女。
信仰属性の使い手で魔獣エリュテマと完璧にコミュニケーションをとれるほぼ唯一の存在であり、自身は獣化のスペシャリスト。
魔法儀式のような純粋な魔法戦は並程度だが、本領は野外でエリュテマとの連携を取った集団戦闘。
アルム達と一緒にグレイシャのクーデターを食い止めた一件からその能力が国王の目に留まり推薦され、今では将来有望な魔法使いの卵として注目されているが、マナリルは獣化に対していい印象を抱いていないので批判の声もあり……その声に負けぬよう日々努力している。
進級試験の成績は11人中5位。
魔法儀式の戦績は42勝19敗。
元来真面目な性格なので座学や実地の評価が高く、グレイシャのクーデター、ガザス防衛戦における解毒薬の輸送などの功績、国王から指名されている事に加えて獣化魔法の発展に関わっているため高順位。
進級試験の相手はベネッタと同じログラ。血統魔法抜きなため、本領は発揮できなかったが技術に問題があるわけではないとされて合格。
見た目は生まれつきのものではなく、血統魔法をより強力にするために行われるタンズーク家に伝わる人体変異の儀式によって髪と瞳の色を変えられ、歯も魔獣のような獰猛な鋭さになっている。肌が真っ白なのは雪国出身なだけで生まれつき。
変えた見た目の中でも牙に変わった鋭い歯のせいで幼少期に他人から忌避され続けられたトラウマから歯を見せたがらず、自分の本当の姿を見せたくないという一心で男装かつ筆談で会話し、周囲を遠ざけてきた。
長い事そうして生活してきたが、あてつけのように自分の牙をアルムに見せた際、アルムに「綺麗な白い歯」と言われ、初めてそんな事を言ってくれたアルムに惚れてしまう。それをきっかけに少し前向きになり、アルム達五人や行動を共にしていたフロリアには心を開き、男装もやめた。
歯を見せるのだけはやはりまだ恐いのかアルム達やフロリア以外がいる場での会話は筆談中心のまま。そんなネロエラを見たフロリアからプレゼントされたフェイスベールがお気に入りで毎日着けている。
好きなものはエリュテマのみんな。アルム。フロリア。散歩。ロールキャベツ。
嫌いなものは蔑視の視線。化け物と呼ばれる事。石を投げられる事。魔獣の討伐。
血統魔法は【気高き友人】。
自身を赫眼白毛の魔獣エリュテマに変化させる血統魔法。
血統魔法は覚醒していない。
魔獣の研究と共存に全てを捧げ、変わり者と馬鹿にされ続けたタンズーク家の歴史そのものにして魔獣を本気で友と思えるネロエラによってようやく日の目を見た傑作。
姿形を完全に変化させているにもかかわらず、思考まで獣に引っ張られてしまうという獣化のデメリットを完全に克服している獣化魔法(正確には補助魔法)であり、魔獣エリュテマの戦闘能力と会話能力を得られる。
ミスティとルクスという圧倒的な才能を持つ四大貴族がいる中、獣化魔法に関してだけはネロエラがトップと言われるのもこの血統魔法が理由である。
・フロリア・マーマシー
マナリル国北部マーマシー領(元カエシウス領)の町ルナテナイ出身。現在十八歳。
元カエシウス補佐貴族マーマシー家の長女。卒業後はネロエラと共に新設部隊に所属する事が決まっているベラルタ魔法学院の三年生。
すらっとしたモデル体型と色素の薄い肌、ダークブラウンの髪を持つ少女。
闇属性なのもあって戦闘能力は高くないが、相手の五感に働きかける妨害系の補助魔法や呪詛魔法によって相手を攪乱させる戦闘スタイルを得意としている。
高身長で美人というのもあって高圧的に見られる事があるが、本人はお人好しで世話焼きと献身的、そしてコミュ強。貴族社会を理解しているにも関わらず人の良さが隠しきれておらず、ネロエラの友人である四匹のエリュテマ達にもそれが伝わっているのか会話できないにも関わらず信用されている。
ネロエラ以外でエリュテマが信用する人間なため、新設部隊の副隊長に選ばれている。
進級試験の成績は11人中9位。
魔法儀式の戦績は31勝23敗。
座学以外に目立った成績は無いが、実地における依頼者からの評価が異様に高い上に達成率も高い。ネロエラと同じくグレイシャのクーデター、ガザスへの解毒剤の輸送の功績も合わさって全体の評価も高くなっている。
進級試験の相手はヴァン。実技棟の屋内を闇で包み、開けているはずの実技棟で耐久戦を仕掛けるという策に出る。呪詛魔法での攪乱を繰り返してヴァンの疲弊を狙うも、上位の攻撃魔法で実技棟全体を攻撃されて敗北。
しかし自分の得意分野を活かそうとする姿勢と発想、魔法の使い方が評価されて合格。
自分の姿を敵に見せるというマーマシー家の血統魔法を十二歳で受け継ぎ、その事を自信に思っていたのだが……とあるパーティに参加していた際、自身の血統魔法が暴走した結果見知らぬ貴族の男性に殴られる事件が起きてしまう。
その際助けてくれたミスティの行動と言葉に感銘を受け、ミスティを一生の主人と決める。
自身の献身的な性格も相まってミスティのためならどこまででも。
しかしミスティだけを盲目に信奉しているわけではなく、自分の取り巻く人間関係もしっかり大事に思っており、特に最初はただの協力関係だったネロエラとの友人関係はとても良好であり、友人として接しながら妹のように可愛がっている。
好きなものは母親。ミスティ。自分。ネロエラとエリュテマのみんな。雑談。化粧。買い物。カフェ。オランデーズソースのサーモンソテー。
嫌いなものはナンパ。しつこい勧誘。セクハラ。粗悪な化粧品。痛い事。
血統魔法は【誇り無き敵】。
自身の姿を相手が思う敵に見せる血統魔法。
血統魔法の覚醒はしていない。
まるでデメリットのような血統魔法だが、敵に見えている姿の動きと実際のフロリアの動きが連動しておらず、魔法使い戦において重要な口の動き、所作などを完全に隠す事ができる。
強制的に視覚情報をすり替えるという地味だが珍しい血統魔法であり、相手の記憶を参照しているため"変換"に必要な魔力が異常に少なく、世界改変魔法の"変換"を一部阻害できるのが長所(完全に防げるわけではない)。
・サンベリーナ・ラヴァーフル
マナリル国南部ラヴァーフル領の都市フレドライ出身。現在十八歳。
南部の名家ラヴァーフル家の長女。ベラルタ魔法学院の三年生であり、在学中でありながらすでに魔石産業に携わる魔法も事業もお任せあれのお嬢様。おーほっほっほ! とは笑わない。
金糸を編んだような美しい長髪と自分を美の結晶と疑わないスタイルを持つ少女。
雷属性の使い手であり、代々同じ属性魔法であり事業も同じであるオルリック家のルクスを目の敵にしている。目の敵にしているだけあって実力は相当なものであり、四大貴族に迫るほど。
お気に入りの扇(幼少の頃北部に旅行した際に母親に買ってもらったもの)を常に持ち歩いており、ふとした拍子に開いたり閉じたりしている。表情や口元を隠したりと実用的な使い方もするが、日常生活では気分の問題。
進級試験の成績は11人中3位。ルクスに負けてきっー! と言っていた。
魔法儀式の戦績は71勝11敗。
ミスティやルクスと同じく全ての評価項目において高評価なのだが、功績が二人に及ばすこの順位に。
進級試験の相手はオウグス。本人曰く華麗らしいごり押しによってオウグスの魔力を削りまくって形成を有利に。考え無しなわけではなく、闇属性であるオウグスに対する最適解を考えた結果である。学院長の意地を見せたオウグスが耐えきって引き分けになり進級した。
自分は生まれた時より全てから愛されているという信念を持つ。
傲慢なわけでも自信に満ちているのではなく、自分が生まれた時から起きている事象は全て自分自身が頂点に立つまでの布石と本気で信じている。
自分に対する賛美であれ誹謗中傷であれ、それらは全てサンベリーナの人生を飾る装飾品であり、他人から不幸と思われるような事態も全てサンベリーナにとっては未来で起きる幸福のための前振りに過ぎない。
その稀有な精神性から人間にしては"存在証明"が強く、血統魔法からも愛されているため毒や呪詛などに対する耐性が異常に高い。
危機やトラブルに対しては冷静でクレバーな考え方をしており、ガザスでの大嶽丸侵攻の際も情報収集に務めようと隠れながら行動していたが……逃げている住民を狙った大嶽丸の大規模攻撃を自分を犠牲にして防ぎ切ったエルミラの背中を見て火が付く。
その後エルミラが成し遂げた役目を受け継ぎ、フラフィネと共に大嶽丸を足止めした。
好きなものは自分。自分が見る世界全て。魔石。甘い物全般。食べ歩き。
嫌いなものは死。愛の無い行動。
血統魔法は【天鳴の雷女神】。
四本の腕に剣を持つ女性型の巨人を出現させる血統魔法。
血統魔法は覚醒していない。
攻撃魔法や召喚のような挙動でわかりにくいが、実は防御魔法。
"現実への影響力"が高く、サンベリーナの強気な操作によって攻撃魔法のように扱わっても問題ないが、その本領は防衛戦。
ガザス防衛戦の際、大嶽丸相手に一人で数分の足止めが出来たのもこの血統魔法の防御性能のお陰である。
・フラフィネ・クラフタ
マナリル国東部クラフタ領の町トマーチカ出身。現在十八歳。
茶色の髪を頭の両脇で団状に纏めている髪型が特徴のベラルタ魔法学院の三年生。
闇属性の使い手だがマナリルの魔法形態ではなくクラフタ家に伝わっている独自の魔法を使っており、マナリルの闇属性と違って非常に攻撃的。
人に、○○っち、とあだ名をつけたり、語尾が、○○し、だったりと何かと特徴的だが基本的には不愛想。
進級試験の成績は11人中7位。
魔法儀式の戦績は45勝19敗。
独自の魔法技術を使っておりマナリルの汎用的魔法の技術も高いが、実地での依頼者からの評価が低い。
しかしガザス防衛戦や砂塵解放戦線への参戦の功績が考慮されて進級。
進級試験の相手はベネッタと同じログラ。闇属性は"現実への影響力"が高くなりにくく信仰属性が苦手な傾向にあるのだが、独自の魔法形態を駆使してログラの防御を突破する事に成功。そのまま進級となる。
事業の事しか頭にない父親の影響で貴族や魔法使いという存在を冷ややかな目で見て育った。
弱者を守る魔法使いなど幻想に過ぎないと考え、口だけでハリボテのような理想を掲げる学院の生徒達も冷めた目で見ていたが……ガザス防衛戦にて大嶽丸の大規模攻撃から町と人を守り切ったエルミラの背中に本物の魔法使いの姿を見て参戦。
サンベリーナと共に戦い、大嶽丸を足止めする事に成功する。それがきっかけでサンベリーナとは学院内でも行動を共にするようになった。
本人には絶対言わないが、エルミラを尊敬している。
好きなものはサンベリーナ。昼寝。甘い物全般。サボる事。自分の髪の手入れ。
嫌いなもの父親。ギャンブル。雨の日。湿気。
血統魔法は【生き食みの妖槍】。
大木のような巨大な黒い槍を出現させる血統魔法。
血統魔法は覚醒していない。
クラフタ家に伝わる独自の魔法形態を昇華させた血統魔法。
異界の書物を参考にしているらしいが真偽は不明。
生き物とそれ以外で"現実への影響力"が変化する対生物特化の攻撃魔法であり、槍の切っ先にかするだけでも呪詛のように傷が痛み、触れるだけでも生命力を吸収する危険な魔法。
生物以外に対しては巨大なだけの槍にしか過ぎないのが弱点。
・ヴァルフト・ランドレイト
マナリル南部ダンロード仮統治領(元ランドレイト領)の町ティキニア出身。現在十八歳。
灰色の髪をオールバックにした少し乱暴な性格をしている少年でベラルタ魔法学院の三年生。
風属性の使い手であり、若いながら血統魔法に"飛行"の特性を組み込む事に成功している有望株。本人の性格のせいか防御魔法が苦手なのが難点。
進級試験の成績は11人中10位。
魔法儀式の戦績は81勝42敗。
座学は平均以上で魔法技術も高く、砂塵解放戦線において貴重な移動要員として活躍したため功績も問題ないのだが、ひたすらに実地の評価が悪い。依頼者からの評価が最低クラス。
進級試験の相手はヴァン。互いに風属性だが、流石に格上であるヴァンには勝てず数分粘ったが敗北。しかし技術は申し分ない事と格上相手でも勝てなくても仕方ないとはしない精神性が認められて進級。何より"飛行"の特性をいち早く血統魔法に組み込んでいるのは非常に高評価だった。
裏で黒い事業を行っていた両親を持ち、十二歳の頃に自分達のやってきた所業をばれるのを恐れた両親が自殺している過去を持つ。
そんな両親を見てこんなださい人間にはならないと決意し、祖父の下で真面目に魔法を学んだ。
しかしガザス防衛戦の際、大嶽丸に自身の脆い精神性を見抜かれ、さらにアルムの戦いぶりを見て自分は一流の魔法使いにはなれないと悟る。
だが負けっぱなしの情けない人間だからといって何もできない道理は無い、と自分を奮い立たせる。対グリフォン戦において空中戦の要として健闘し、ルクスと共にグリフォンを討伐した。
好きなものは祖父。味の濃いものなら何でも。空を飛ぶ事。強気な女の子。小さい猫。大きい犬。
嫌いなものは両親。弱い奴をいじめるようなださい事。カエル。海。
血統魔法は【千夜翔ける猛禽】。
巨大な白い鳥を出現させる血統魔法。
血統魔法は覚醒していない。
風属性でも珍しい"飛行"の特性を持っており、飛行速度も速く、巨大な本体を使っての攻撃も可能で汎用性が高い。
・グレース・エルトロイ
マナリル国東部エルトロイ領の町トナサン出身。現在十八歳。
下級貴族エルトロイ家の三女。くすんだ茶髪と茶色の瞳、そして大きな眼鏡をかけている少女でベラルタ魔法学院の三年生。
光属性の使い手であり、かつてはベラルタ魔法学院で司書をしていたシャボリーに教えを受けていた。ミノタウロス事件でシャボリーが黒幕だと知って落ち込んでいたが、すぐに切り替えれる強かな性格。
暇さえあれば図書館に籠るので交友関係が狭いが、何かと絡んでくるフロリアや帰りが一緒になりやすいアルムとそれなりの関係を築いている。
進級試験の成績は11人中11位。
魔法儀式の戦績は39勝7敗。
図書館に籠ってひたすらに知識を蓄えているので座学が高く、手堅く隙が無い戦い方をするのでグレースを舐めている相手から勝ち点をもぎとっており魔法儀式の戦績が高い。二年生になるまでの功績がほとんど無いため最下位。
進級試験の相手はヴァン。シャボリーの光属性魔法を知っているヴァンに勝てはしなかったものの足を負傷させた。実力差を考慮し、機動力を奪う作戦に変えたという本人の意見もあって進級。
長女と次女が家を継がず、魔法は好きだったので魔法使いを目指す事に。
才能があったのでベラルタ魔法学院に合格し、自分に足りない部分を地道に鍛えていった結果、気付けば三年生になっていた。
小さい家なため四大貴族の怒りを買う事を恐れており、アルムと一緒に帰る際ミスティに見られて誤解されないかと毎回冷や冷やしている。
小心者のようだが、相手が誰であれ言いたい事は面と向かって言える胆力もある上に一度決めたら自分優先で動くので魔法使い向きの性格。
幼い頃から目が悪く、大きな眼鏡をかけているというだけで才能を否定され、ただただからかわれ続けた過去があり、眼鏡をいじってくる人とは一生口を利かない。ヴァルフトに度々絡まれるものの、意外にヴァルフトはそういう部分をいじらないので普通に話す。
好きなものは姉。本。図書館。魔法。演劇。劇団の練習風景を見る事。まずいコーヒー。スープ類全般。
嫌いなものは自分の眼鏡をいじってくる人。陰でこそこそ悪口を言う人。
微妙なものはアルム。
血統魔法は【狂気満ちよ、この喝采に】。
???
血統魔法は覚醒していない。
読んで頂きありがとうございました。
引き続き「白の平民魔法使い」の応援をよろしくお願い致します。




