274.留学前の一幕
「謝罪するなら……こんな事せずに終わりにしたいが」
「はん! 随分上から目線じゃない。二階と一階っていうただの位置関係でテンション上がりでもしたの?」
「随分、俺が嫌いなんだな」
「そりゃね。平民が土足でこちら側に踏み込んできてるのが気に食わないのよ。貴族の世界も誇りも知らない馬鹿が、噂で持ち上げられて、四大貴族に擦寄れたからって……元からこちら側の人間みたいに振舞ってる。対等みたいな面して歩いてんじゃないわよ」
「擦寄ったわけではないし、噂は知らない。どちらにせよ、謝罪する気はないんだな?」
「謝罪? してほしかったらさせてみたら? そうね……私が謝罪したら何でも言う事聞いてあげたっていいわ。もっとも、そんなこけおどしの魔法で出来るとは思えないけど」
困惑と苛立ちがロベリアの口汚さを加速させる。
それはアルムが見せたのが獣化魔法であるがゆえ。
無属性魔法に獣化魔法なんてあっただろうか?
そんな疑問はロベリアだけでなく、ライラックにもあった。さっきの鏡の魔法といい、この平民はどれだけ自分達の知らない魔法を使うのか。
白い獣。
今のアルムを一言で表現するのならそれだった。
服の上に刻まれる白い線。その線が象っているのは両手足に伸びる三本の爪と頭部の牙。胸にある不可解な紋様は何を象っているのかもわからない。
獣化しているというよりは、まるで白い獣の皮を被っているようだった。
「……対等、か」
「は?」
小さく、アルムは呟く。
「いや、対等かどうかというのなら、今だけは対等だと思ってな」
「ほうら、本性出したわ。身分の差も弁えないでよく言うわ」
「身分? 殺し殺されの関係に、身分なんて関係無いだろう?」
「え……」
今なんて?
誰にも問える相手はいなかった。
ロベリアとアルムの目が合う。
纏っている白い光とは対照的な澄んだ黒い瞳が、その声こそが真実だと語っていた。
傍でアルムとロベリアの会話を聞くライラックは、一足先に気付いてしまった。
指令を受けた時、アルムの詳細は伝えられなかったが、侮る事だけはしないように、とだけ忠告された。
その意味を今になってようやく実感する。
自分の魔法を軽々と回避する魔法戦闘に対する慣れ、使う魔法の特性を熟知したような無駄のない扱い、ルールから逸れた策に対する対応力。
目の前の平民の経験値は自分達を遥かに上回っている。
まるで幼少の頃から今に至るまで、様々な命のやり取りを経験として積んできているかのような。
そして――その声と目にはどこか原始的な信念が備わっているという事に。
「ロベリアはったりじゃない!」
「何動揺してんのよ兄貴! あの鏡が無くなったんだからさっきより楽でしょうよ!」
兄妹の意見の相反を他所に、アルムは二階の席を蹴る。
こちらに向かってくるアルムを前に、ライラックは咄嗟に防御魔法を選択する。
「『嵐風の障壁』!」
ロベリアとライラックの前に現れる風の壁。
向かってきたアルムは左手の爪を風の壁に突き立てる。
硝子が割れるような音を立て、風に突き立てた三本の爪は粉々に砕けた。
「やっぱその程度じゃない!」
その光景を見て、ロベリアの表情に優越の笑みが浮かぶ。
そう、所詮はその程度。あの鏡の魔法こそが練り上げた切り札だったのだろうとロベリアは攻撃に転じる。
「『疾風の豪斧』!」
「"魔力堆積"」
ロベリアが腕を横に薙ぎ、放たれたのは鋭い風の一撃。
アルムは体を深く沈めてその魔法をかわす。中位の攻撃魔法だけあって、その魔法が後方の壁に当たると、しっかりと刃物で削られたような傷が作られる。頑丈な実技棟を風属性魔法で傷つけられるのだから、ロベリアの攻撃魔法はしっかりと水準以上の"現実への影響力"を備えている。当然速度も申し分ない。
にもかかわらず、ライラックと戦っていた時のようにアルムはその魔法を軽々と躱した。そして表情も変えずに、ついでのように小さく呟く。
それは新たな魔法を唱えたわけでも、苦悶の声でも無い。
「爪が――?」
ライラックが展開する風の壁の隙間からその光景は見えた。
先程風の風に阻まれて折れたはずの左手の爪が、すでに再生している。
アルムの表情は自分の魔法が防御魔法に歯が立たなかったというのに焦りもなく、ただ静かだった。
「『風穿乱撃』!」
深く沈んだアルム目掛けてライラックが放つは風の礫。
ボッ! と小さな爆発のような音を立てながら圧縮された空気の弾が複数放たれる。
その速度もまた申し分ない。一見、崩れた体勢になっているアルムに今度こそ突き刺さるかのように思えた。
「……もう少し」
しかし、アルムは両手足で床を弾くように跳び、慌てる様子もなく風の礫を躱す。
その姿はまさに四足の獣。呟きは自分に向かって放たれた魔法に対してでなく別の事に気を取られている。
白い獣は光の線を空に残し、体を翻して体勢を整えた。
着地と同時に、その白い獣はしゃがむように足に力を溜める。
ぐぐぐ、と限界まで体が低くなると、実技棟の床が割れるように音を立ててひび割れた。
「このくらいか」
輝きを増す両手足の白い爪。
その他人事のような確認こそが、合図だった。
「ロベ――!」
「――え」
最初に聞こえたのは床を砕く破壊音。
ロベリアが何の音かを確認するも早く、白い光は疾走した。
――瞬間。ライラックに横から突き飛ばされ、よろけるロベリアの横に光が走る。
目の映るは三本の光の軌跡。
そして、自分を突き飛ばした腕をその光にえぐられる自分の兄だった。
「ぎ……ぁああァああっ!!」
「少し早かったな。まぁ、十分か」
声は遅く、思考は間に合わない。
唯一、視覚だけはこちらに突進するアルムの姿を捉えていたが、正面からの突進ですら不意打ちになるような速度に反応するには時間が足りな過ぎた。
兄の叫びと鮮血を受け入れる時間すら、ロベリアには足りない。
「兄……貴……」
「『嵐の檻』!」
ライラックは歪んだ表情で、先程ロベリアがアルムを拘束していた魔法を唱える。
アルムの周囲を風が吹き荒れ、風の檻に閉じ込める事に成功する。
しかし――
「無駄だ」
風の檻の中から突き出る白い爪。
吹き荒れる風をものともせず、まるで藪をかき分けるかのようにライラックの魔法は容易く引き裂かれた。
咄嗟に唱えたせいで魔法の"変換"は確かに拙かったかもしれない。だからといって、そんな簡単に突破できるだろうか。
ライラックの唱えた中位の魔法ですら一瞬の拘束すら出来ていなかった事に、直接魔法を唱えたライラックよりも兄の実力を知っているロベリアのほうが愕然としていた。
「あ……」
先程のような出鱈目な速度ではなく、風の檻から無理矢理出ただけの一歩で実技棟の床はまたひび割れた。
へたっ、とロベリアの足から力が抜け、床に座り込む。
頑丈な実技棟をただの移動だけで破壊する膂力。
目で追えても反応できない速度。
光の軌跡はさながら死神の鎌のよう。
まだ血統魔法という切り札があるにもかかわらず、ロベリアは立とうとする気すら起きなかった。
それはロベリアという生き物が敗北を認めた瞬間なのだと、本人は気付かない。
「お兄……様……」
隣ではライラックが立ち上がるも、その腕ではもうまともに戦えるはずもない。兄の顔は激痛でいつもの落ち着いた様子は消えていた。
(うちら……死んじゃうの…………?)
何で? と問う頭の中には当然の結論が導かれていた。
だって自分達が目の前の平民を邪魔したから。ただの魔法儀式と偽って騙したから。
本当はわかってた。平民がここまで辿り着くのにどれだけの障害があったのか。こいつが貴族の誇りと世界を知らない平民であるように、自分も魔法使いを目指す平民の苦労を知らない貴族。
比較など出来るはずもないけれど、そこには自分達が知り得ない苦労があったはずなのに。
身の程知らずの平民を懲らしめるいい機会だ、なんて軽々しい気持ちで、嬉々としてその苦労を踏みにじろうとしたから。
これはもしかしたら、罰なのかもしれない。
「ロベ……リア……!」
横を見れば、ライラックの右腕はえぐられるように切り裂かれていた。
傷から流れるその血に自分達の命が映ったような気がして。
アルムが腕を振りかぶったその瞬間。
「ごめん……なさい……」
その声は怒られた子供のように震えていて。
意味があるかどうかもわからず、ロベリアは無意識に謝罪の言葉を口にしていた。
「っぁ……!」
向けられた白い爪が二人の横で風を切る。
止めを刺そうとした一撃を寸前で無理矢理方向を変えたのか、白い爪は空を引き裂き、そのまま実技棟の床に突き刺さった。
実技棟の床を削るようにしてアルムはその勢いを止め、勢いが止まると、突き刺さった爪を引き抜く。
「は……え……?」
そしていともあっさり、止められないと悟っていた白い獣は止まった。
「魔法儀式の勝敗は……これじゃ記録できんな。そっちで勝手にやってくれていい。お互いにルール違反した事だしな。ログラ先生を呼んでくるから少しだけ待っていてくれ」
自分の爪を見て魔石を操作できない事を悟り、床を蹴ってアルムは二階に跳ぶ。
出入り口の魔石は操作できないが、幸い天井は空いている。そこから出ればいい話だ
「な、なんで……? 止まってくれたの……?」
訳がわからず、ロベリアはつい天井に跳ぼうとするアルムを引き止めていた。
「何でって……さっき言っただろ? 謝ったら終わりにするって」
確かに言っていた。言っていたが、本当に終わるにすると誰が思うだろうか。
さっきまで、恐怖で立つ事すら諦めていたというのに、首を傾げるアルムの姿からは何も感じない。
ロベリアは今になってようやく……アルムという人間の顔をしっかり見たような気がした。
終わりにすると言いつつ魔法は解いておらず、姿はそのままのはずなのに、恐くて仕方なかったはずの白い獣はその実、ただの人間だった。
「でも、うち……ひどい事……」
「ひどい事……? ああ、あれくらいは気にしてない。ロベリアの言う通り俺にはわからない貴族の事情や世界があるだろうからな。今のロベリアを見れば俺の命を奪う気が無いのはわかるし……だからといって二度目は無しにしてもらいたいけどな」
一応のアルムの忠告にロベリアはこくこくと何度も頷く。
隣で腕を押さえているライラックは未だ状況が掴めていないのか、ぽかん、とその会話を眺めているだけだった。
「俺が気に食わない気持ちはわかる。突然、貴族だけの世界に俺みたいな平民が入ってきたわけだからな。別に誰かに認められたいわけじゃないから、色々言うのは構わない。ただ……俺を殺して、俺の夢を奪おうとするやつだけは許せない。だから――」
そこまで言って、アルムは何かを考えるように上を見上げた。
少し考えたかと思うと、アルムはロベリアとライラック向けて謝罪するように両手を合わせる。
ガギン、と白い爪がぶつかり合う音にロベリアは少しびくっとする。
「すまん、見栄を張った」
「え?」
「誰かに認められたいわけじゃないは嘘だ。一人だけ……俺にも認めてもらいたい人がいた。でも、その人以外になら、誰に石を投げられても俺は魔法使いを目指し続けるよ」
アルムにとって当たり前の一言が、ロベリアに突き刺さる。
石を投げる人は自分。歩いているのは――この人。
意図は無くとも、身分とは違う所にある"差"を今この場で見せつけられた気がして、それ以上は何も言う事ができなかった。
アルムはそう言い残すと、打ちひしがれたロベリアの様子に気付く事無く天井へと跳んだ。
身分も魔法も魔法使いにとって常識外なら建物の出方も常識外。
何もかも自分の常識とは外れた存在が目の前から去って、ロベリアの全身から力が抜けていった。
「……助かりましたね」
「……うん」
「血統魔法を使う事すら忘れていましたね。使っても……どちらかはこの腕のようになっていたとは思いますが」
「うん……うちは絶対今の頭じゃ制御できないし……」
ライラックは額に汗を浮かべながら腕を締めて止血し、ロベリアは床に倒れ込む。
開いた天井の先、空には白い雲が漂っている。今までの緊迫した時間が嘘のように、時間がゆっくりと流れているようだった。
「流石に、ベラルタ魔法学院の二年……そして噂の平民といった所でしょうか。才能だけで勝利できる相手ではありませんでしたね」
「……うん」
「どうします? ラモーナ様を通しているとはいえ、一応この指令は王命でしょう。もう一度、狙ってみますか?」
実家から持ってきた麻痺毒にはまだストックがある。この学院には植物園もあるため、自分達パルセトマ家の知識があれば新たに別の毒を調合する事すら可能だろう。
ライラックの提案に目一杯の拒絶を込めて、ロベリアは大きくため息を吐いた。
「冗談止めてよ……次こそ殺されるわよ……あんな……」
あんな化け物。
そう言おうとした口はそのまま動こうとはせず、ロベリアの中でもっと適切な表現を持って声となった。
「あんな……"強い"人……敵でもない限り二度とごめんだっての」
何を以て強いのか。
自分達の持つ才能もまた確かな強さだろう。魔法使いとは才能によるところが大きい世界なのだから。
――けれど、才能とは別の所にも"強さ"はあるのだと、ロベリアはこの日初めて思い知らされた。
「昨日はびっくりしたよー、アルムくんあれ使ってるし、実技棟行ったら怪我してるライラックさんいるし」
「ライラック殿は大丈夫だったのかい?」
「うん、ちゃーんと治したよー!」
「流石、ベネッタですわね」
「へへー!」
座学の合間の休憩時間。
本棟の廊下で、アルム達はルクスに昨日の出来事を話していた。
アルムが天井から実技棟を出たすぐ後、アルムを探していたミスティ達にアルムは見つかり、ミスティとエルミラに学院内で『幻獣刻印』を使った事を怒られながらアルムはベネッタを実技棟まで案内した。
ライラックの怪我は少し深かったため、ベネッタが治癒魔法を使った後、念の為すぐ病院に。
ベネッタの治癒魔法のおかげもあって問題ないとお墨付きをもらい、大事には至らなかった。
「制服は駄目になったけどね。入学当初に制服駄目にしたアルムが新入生の制服駄目にするって……何? 一年越しの八つ当たりだったり?」
「勘弁してくれ……」
からかうエルミラに困ったように頭を掻くアルム。
そんなアルムの様子を見て、エルミラは追い打つように昨日の事についてを追究する。
「てか、結局何があったのよ? いい加減教えてくれない?」
「そうですわ。アルムがあんな事をするという事はよっぽどの事態だったのでは?」
「……別に何も」
その表情からはミスティ達であれば当然、何も無かった、という言葉が嘘である事が見てとれる。
相変わらず、何かを誤魔化す事に関してアルムは致命的に下手糞だった。
「あんたね……私達にそんな誤魔化し方しても意味無いってわかるでしょ?」
「何か事情があった、とだけ受け取っておきますわね? アルムが意味もなくあのような事をするはずはありませんから」
「そうね、無理に話せとは言わないわ」
「……すまん。助かる」
アルムは昨日の出来事については何も話さない事にした。
ロベリアが言った通り、自分には貴族の世界がわからない。あの行動も何か事情があったのだろうと勝手に解釈した。それに、アルム自身もそれ以上の何かは求めていない。
アルムが誤魔化した事についてミスティとエルミラは過度に追及する事も無く、ただアルムの事だから何か起きたのだろう、程度の曖昧な状態のまま受け止めてくれた。アルムはそんな二人に感謝する事しかできない。
そんな雑談に興じるアルム達に、正確にはアルムに話しかける声があった。
「アルム先輩」
「え?」
「せん……?」
「先輩……?」
「その……おはようです」
その声の主は五人とも知っているロベリアのものだった。
しかし、その印象は出会った時とは全く違う。相手に取り入るためのわざとらしい笑顔も無ければ、見下すような態度も無い。
何処かしおらしく、アルムに挨拶として頭を下げるその姿は同一人物とは思えなかった。
それでも、昨日アルムと何かトラブルを起こした事は間違いない。兄を傷つけられた事の報復か、それとも別の目的か。ミスティ達は表面に出さないが、少し警戒の目を向ける。
「おはよう。今日はライラックと一緒じゃないんだな」
「う、うん……兄貴は念の為……今日は休んでる」
丁寧なような、砕けているような、どう接したものかと悩んでいるような言葉遣い。
本当にどうしたのこの子、とロベリアに一番いい印象を抱いてなかったエルミラは確認をとるかのようにルクスのほうを向く。ルクスも同じ事を思っていたのか、二人は顔を見合わせた。
「それでどうした? 休憩時間にわざわざ来るなんて」
「ちょっと……その、これ……昨日のお詫び……っす」
「ん?」
ロベリアは恐る恐る、アルムに小さな紙袋を差し出す。
アルムはそれを受け取って中を覗くと、可愛い包装に包まれ、切り分けられたパウンドケーキが中には入っていた。
「貰っていいのか?」
「うん……お詫び、なんで……」
「そうか、ありがとう」
「その、一応……罠とかじゃない……っす! あれはその、熱にも弱いから焼く時にあれだし、あんなの入れたら味がひどくなるし……それに、うち結構得意だから……その……普通に、おいしいはずで……本当に、その……」
何の事かがわかるのはアルムとロベリアのみ。
ぎこちない喋り方ながら、ロベリアは本当にただのお詫びなのだと信用して貰えるよう不器用に伝え続ける。
ロベリアが恐る恐るアルムの顔を見ると。
「わかってる。美味しそうだ」
その表情から、本当に美味しそうだと思ってくれている事が伝わってきてロベリアは口元が緩んでしまった。
昨日襲った相手なんだからもう少し疑ったほうがいいんじゃ、とも思ったが、そんなとぼけた事は流石に口にする気になれない。
「じゃ、じゃあ……さよなら……」
詫びの品も渡して、もうここに留まる理由も無い。
あんな指令が無ければ、本来関わりのある相手ではないし、一年と二年と学年が違うのもあって今後かかわることはほとんど無いだろう。
ロベリアはアルムに別れの言葉を告げて、教室に戻ろうとすると。
「ああ、またな」
「……ま、またっす」
アルムの声につい、そう返していた。
紫色の綺麗な髪を揺らしながらロベリアが小走りで去って行くと、唖然とした目でロベリアを見ていたミスティ達は我に返る。
「い、一体何があったのでしょう……?」
「昨日と全然違うな……」
困惑するミスティとルクス。
「ロベリアさんいい子だねー」
起こった出来事をそのまま受け止めるベネッタ。
「ちょっと待って……何よあの女の今の態度……アルム何があったのよ!? ちょっと詳しく話しなさい!」
「さっき無理に話さなくていいって言ったじゃないか」
「そ、そうだけどー!」
あまりの変化に、先程よりも昨日何が起こったかが気になり始めてしまったエルミラ。
「うまいな……朝抜いてたから助かる」
昨日の出来事を知っていても疑う事無く、貰ったパウンドケーキを口にするアルム。
こうして、ガザス留学前に起きた騒動はひっそりと終わりを告げた。
いつも読んでくださってありがとうございます。
ここで一区切りになります。今日はもう一本更新できる……と思います。
感想、ブックマーク、評価してくださる方いつもありがとうございます。第五部もすでに長そうになる気配がありますが、これからもお付き合い頂けると嬉しいです。