魔法生命(第四部時点)
ただの設定とおさらいのようなものなので飛ばしても本編がわからなくなることはありません。
おさらいも兼ねているので、さらっとネタバレしている部分もあり、第四部まで読んだ方だけが見るのをオススメします。
『魔法生命』
異界に伝承としてその存在が語り継がれている生命の上位種。
元の世界ではフィクションだと思われており、元の世界で復活することはない。
敗北して死んだ未練を持つ存在だけが霊脈に保存され、霊脈を通じてこの世界で魔法生命として復活する。
現状は"天女"と呼ばれる常世ノ国の魔法使いの家系によってでしか霊脈から核を掬うことはできないため、復活したのは十数年かけて二十程度しかいない。
復活時はただの核であり、霊脈への接続、宿主の魔力を吸収、魔法生命によっては人間を捕食したり、恐怖を糧にすることで"完全体"に近付く。完全体に近付く度に宿主の人格を侵食するという特性があり、侵食が進むと少しだけ生前の記憶を宿主に共有したりするような事例もある。
元々は、魔法使い不足による戦力の低下を懸念した常世ノ国の魔法組織コノエによる、平民の魔法使い化実験が失敗した際に発見された副産物。
霊脈には魔法を記録する機能が存在し、その記録した魔法を回収して再び現代で再利用するという試みで生まれたが、実際は異界から自我を持った彼等だけがこの世界に現れた。結果、常世ノ国は最初に霊脈から回収した四柱の魔法生命によって滅ぼされることになる。
目的は人々の恐怖と信仰によって神となり、絶対的な"現実への影響力"を手に入れることで生前の未練をかき消すこと。しかし、魔法生命の中には善性を備えている者もおり、こちらの世界の人間のためにと協力する魔法生命も存在する。
・破壊された魔法生命
【竜宮白竜譚】
宿主:シラツユ・コクナ
伝承:日本滋賀県の百足退治伝説
常世ノ国の名家コクナ家の復権のためにシラツユ・コクナに植え付けらえれた信仰属性の魔法生命。
敵対していた大百足とは同郷であり、大百足に食い荒らされた竜神の一族の一体。白く、長い体に鋭い爪を持った手足を持つ。
植え付けられた時まだ子供だったシラツユの身を案じ、魔法生命としての人格の浸食をずっと抑え続けていた。シラツユが成長した後も意気投合し、シラツユの兄を救うために協力し続ける。
シラツユの人格を侵食しないために完全体になるつもりも無かったので魔法生命としての"現実への影響力"は高くない。
元からコノエに離反するつもりで、魔法生命としての"現実への影響力"を高めていなかったため一体化についても知らず、ミレル湖畔にてシラツユとともに大百足に敗北する。
最後はシラツユを庇って大百足に食われて死亡した。
能力は住んでいた湖を守る結界防御。
生前名前は呪術の対象であり、同郷であり同時代を生きた大百足の呪法を警戒し、ずっと隠していた。
本名は"渚子"。
【第六天鬼・鬼女紅葉】
宿主:グレイシャ・トランス・カエシウス
伝承:日本長野県の紅葉伝説
カンパトーレとガザスの戦争を題材に戦場で作品を創っていたグレイシャとそこにいた魔法生命の一団と意気投合し、グレイシャ自身の目的のためと植え付けられた鬼胎属性の魔法生命。黒髪に額から二本の角が伸びている、紅い着物を纏った鬼。
後発の魔法生命ではあるが、グレイシャ自身の魔法生命との同調率が凄まじく、紅葉がどれだけ完全体に近付いても人格の浸食が始まらなかった。この事から互いに互いを不当に侵すことのできない特別な存在だと意識する。
魔法生命としての"現実への影響力"がお世辞にも高いとはいえなかった紅葉だが、グレイシャとの同調率が高いせいか、一体化した時のみ、完全体に近い"現実の影響力"を持つことができる。
トランス城にて、アルムに宿主のグレイシャごと核を破壊されて死亡した。
呪法は声。どれだけ耳を塞いでも対象者の心を鬼胎属性の魔力が侵食し、精神を疲弊させる。
能力は生前使っていた呪術。生前経験した天災が基になっている。
目的はグレイシャの治める地に寄り添い、グレイシャの治める国の主神として崇められること。生前、頂点に立てなかった未練に加え愛するグレイシャの国の守護神として崇められたいという欲望があった。
【生命支配・石瞳の女王】
宿主:カミラ・クレグラス
伝承:ギリシャ神話
カンパトーレで捕虜にされていたガザスの魔法使いを宿主として植え付けられた鬼胎属性の魔法生命。輝く瞳と光によって色の変わる虹を思わせる長髪を持った誰もが振り向く絶世の美女。髪を蛇に変えたり、自分を蛇の怪物に変身させたりと状況によって変化する事が出来る。
数年で宿主の人格を完全に侵食するほど"現実への影響力"が高く、後発の魔法生命ながら最初の四柱に迫る強さを持つ。
グレイシャと紅葉の作戦中の隙を突き、協力関係ではあったものの互いに不信感を持ち始めていたダブラマに先手をとる形で侵攻する。
ダブラマ王家直属組織ネヴァンの第一位『女王陛下』と第五位『夜翼』に加え、東北部の魔法使いが結集して対応。
一般市民五十三名。下位貴族三名、上位貴族五名。第五位『夜翼』を殺害し、二日に亘る戦いの末、第一位『女王陛下』の血統魔法との相性差によって敗北した。
呪法は眼。自分の眼を見たものを問答無用で石化し、石化したものは数分で死亡する。石化しきる前にメドゥーサと契約すると石化が止まるが、ダブラマの魔法使いは誰も応じなかった。
呪法に特化しており、自身の能力は形態変化と使い魔の召喚。
目的は神となり、怪物になる前の体を取り戻すこと。
【迷宮真主・天閉の牡牛】
宿主:シャボリー・マピソロ
伝承:ギリシャ神話
五年前、神について調査をし、絶望していたシャボリー・マピソロが魔法生命の目的に賛同し、宿主となった鬼胎属性の魔法生命。牛の頭に筋肉隆々とした人間の体をした巨大な両手斧を持つ半牛半人の巨人。
シャボリーの地位を利用して潜伏し、ベラルタの霊脈から魔力を補給してベラルタを襲撃する機会をずっと狙っていた。認めた相手には敬意を払う武人でありながら、ベラルタを襲撃した際には住民をより恐怖させるために子供を選んで狙うなど魔法生命らしい残忍さも併せ持つ。
ベラルタにて子供を攫い、亡霊を蔓延らせ、封鎖するなど、ベラルタ全体を迷宮化する事で恐怖に陥れるが、迷宮の核となっていたシャーフが破壊されたことによって迷宮が崩壊。その後ルクスによって首にある核を破壊されて敗北する。
呪法は迷宮の支配。迷宮の記録を意のままに読み取り、迷宮内部に彷徨う亡霊や迷宮自体の機能を行使できる。迷宮内部の恐怖を近くに居なくても糧にできる性質もある。
能力は生前の魔術。黒い雷を放ったり、武器である両手斧に宿すことができる。
目的は新しい神話の創造。生前自分を殺した英雄に匹敵する人物を殺し尽くし、神として崇められることで怪物としての名を返上しようとしていた。
【七巻神殺大百足】
宿主:ヤコウ・ヨシノ
伝承:日本滋賀県の百足退治伝説
常世ノ国の魔法組織コノエに協力していたヨシノ家の次期当主だったヤコウを宿主として植え付けられた魔法生命。巨大な百足の姿をしている毒蟲。
常世ノ国を滅ぼした最初の四柱の一つで、他を蹂躙する巨体、甲殻、存在するだけで人を呪えるほど濃い鬼胎属性の魔力、それらが作り出す圧倒的な"現実への影響力"が特徴の魔法生命。
ただ移動しているだけで一都市を滅ぼすことができ、生命としての"現実への影響力"が高すぎるため、止めるためには平均的な魔法使いがどれだけいても不可能。
生半可な魔法が通用せず、倒すためには"現実への影響力"の高い血統魔法を死ぬまでぶつけるという頭の悪い戦法ぐらいでしか倒せない【原初の巨神】と同じ理不尽な災害そのもの。
【原初の巨神】侵攻まではコノエに所属していたが、元々他とは目的が違っていたため協力者を得た後は離反。好き勝手に霊脈を食い荒らしながらマナリルの霊脈を食らうためにマナリルへと向かった。
ミレル湖に存在する大規模な霊脈に接続するが、シラツユとともにミレルに訪れたアルム達と交戦し、全員の連携によって霊脈との接続を解除させた後にアルムの魔法によって敗北する。
呪法は名前。魔法名を知るだけでも呪法が発動する。本名であればもっと強力だが、本人が本名を誰にも明かしたがらないため使われることは無かった。
能力は自身の魔力の放出。光線のようになった自分の鬼胎属性の魔力をただぶつけたり、その魔力で人間の精神を恐怖の底に落とす。
目的は自分を殺した英雄の名前を知ること、そしてその英雄に自分の名前を名乗ること。結果的に神に近付いていたが、神になるかどうかはどうでもよかった。
本名は"天龍"。
ここまで見てくれてありがとうございました。
あくまで簡単に、今作の敵についての情報を書きました。知りたいことが載ってないよ!という方はネタバレが無い程度に質問にお答えしますので、感想欄に質問をお願いします。