魔法設定(第三部時点)
第三部時点でのこの作品に出てきた魔法やそれに関する設定の解説になります。
普段自分が使っているものをいじっただけなのと、先のお話を書きにくくならないように情報を制限している部分もありますので知りたい情報が書かれていないかもしれません。
別に設定は見なくても……という人は飛ばして貰って構いません。これを見ないと本編がわからなくなるなんて事はありませんのでご安心ください。
5/28追記
自立した魔法についての記載が抜けていましたので追加しました。
『魔力』
この世界に存在する現実に影響を及ぼしにくいエネルギー。
魔法を生み出せる唯一のエネルギーでもある。
魔法使いや魔法、魔獣や植物のように魔力を持っている存在以外にはほとんど何の影響も及ぼさず、濃度が高くなると光るくらいしか特徴が無い。濃度が高い場所は"霊脈"と呼ばれる。
"純魔力"と"属性魔力"の二種類があるが、後者は魔法の一部なので魔法にする事ができない。
『魔法』
魔力をエネルギーにして生み出される現象や存在の総称。
現実に存在する現象や物体のように、その在り方が確固たるものであればあるほど後述する"現実への影響力"が高まる。
魔法使いと一部の魔獣しか使えない神秘であり、才能が無ければ引き起こせない技術。
下位魔法、中位魔法、上位魔法と魔法ごとにランクがあり、上になるほど消費魔力が多く難易度も高い。
"充填"、"変換"、"放出"と呼ばれる魔法の三工程の手順を踏んで魔力は魔法に変わる。
・充填
魔法に変換する為の自身の魔力を使用する魔法における最初の工程。
この時に使用する量を決定するので、練度の低い人間は魔力が多くて変換しきれずに魔力を無駄にしたり少なくて魔法が弱くなったりと、この時点で差が出る。
・変換
魔法の属性や形、性質などを決めて魔力を魔法に変える工程。
魔法にとって最も重要な工程で、この工程の精度で"現実への影響力"が決定する。
変換を効率よく行う為、魔法を使える者は使える魔法ごとに自分特有の魔法式(自分だけの魔法の設計図のようなもの)と呼ばれるものを頭に持っている事が多い。
・放出
作り上げた魔法を現実に現象として放つ魔法における最後の工程。
使い手が"変換"によって描いた魔法を魔法名を唱える事で現実にする。これを行わなければどれだけ"変換"が上手く行っても魔法は現象として現実に現れない為、魔法を使う者にとって口を塞がれる事は大抵致命的となる。
魔法に関する事象は名前が力を持つ為、基本的には魔法名を唱えて行われるものの例外もいくつか存在する。
『現実への影響力』
"現実に在る現象や存在は理解できぬものはあっても曖昧なものは存在しない"。
魔法が作られた時から今に至るまでに残る言葉であり、魔法の効力が総じて"現実への影響力"と呼ばれる所以。
魔法の威力や効力もこれに含まれるが、厳密には威力や効力ではなく"魔法の在り方の強度"を指す。
人間の武器や防具、伝承や物語の中だけの現象や怪物、実在する動物や魔獣などをモデルにするのが基本であり、他にも造形を精密にする、知っている武器だけを思い描く、モデルとなった現象を見に行って想像力を高めるなど、より現象や存在としての在り方を高める為に様々なアプローチが存在するので使い手によって意見が分かれていて議論が絶えなかったりする。
大抵は威力や効力を上げる事になるが、"現実への影響力"はあくまでその魔法の在り方を上げるので、高めた結果デメリットになる場合もある。
以下デメリット例。
・精巧ななまくらの剣を作ったら全く斬れない。
→なまくらの剣として魔法を思い描いている為、どれだけ"現実への影響力"が高くてもなまくらの剣としての在り方が強くなるだけで、結果滅茶苦茶頑張ったなまくらの剣の魔法が出来上がるだけ。
・獣化魔法を使ったら唸り声をあげたり、喋りにくくなった。
→自分を獣に近付けた結果、精神が人より獣に寄ってしまう。
『魔法系統』
主に○○系や○○魔法などと呼ばれている魔法の分類。分けられているものの、気にしている使い手は少ないので魔法の呼び方は様々。
元々は無秩序だった魔法の"現実への影響力"の方向性を固める為に決められた。
当然、魔法戦は状況によって変わるので必ずしも分類された用途で使われるとは限らない。
他にも既存の魔法系統には分類できない魔法も存在する。
・攻撃魔法
炎の剣を飛ばす、水の渦を放つなど、攻撃に使われる魔法は大抵ここに分類される。
用途がはっきりしているので使いやすい魔法が多く、どの魔法も人気が高い。
"現実への影響力"を高めると威力が上がる場合が多い。
・防御魔法
土の壁を作る、自分を覆うなど、防御に使われる魔法が分類される魔法系統。
属性によっては攻撃魔法で相殺する方が魔力効率がいい場合も多いので、使い手によって最も使用率が変わる魔法系統。
・補助魔法
身体の強化や治癒、呪詛魔法に対する対抗など、使い手や他者を補助する魔法が分類される魔法系統。
変わった所では人体変化もこの系統に含まれる。
身体の強化は汎用性が高く、魔法使いの戦いでは必須に近いので大抵の者はまずこの魔法系統から学ぶ。
・獣化魔法
憑依させるように使い手自身を獣に変質させる魔法系統。
補助魔法に近いが、攻撃魔法の特性も持っている為独立している。
自分を獣に変質させる為、"現実への影響力"を高めると精神が獣に引っ張られて言語が単調になったり無意識に唸り声を上げたり、品が無いとマナリルの貴族達からは敬遠されている。
・魔眼魔法
自分の眼を魔法に変質させ、視覚情報に何らかの効力をもたらす魔法系統。
見た対象に影響を与えたり、単純に視界を広げたりと効力は様々。
眼と視界情報を魔法の媒介にする事で"現実への影響力"が自然と底上げされるが、眼の負担が大きいのであまり好まれない。
・感知魔法
魔力から魔力の持ち主の情報を読み取ったり、魔力が魔法に変換される瞬間を察知するなど、魔力と魔法に関する情報を感知する魔法系統。
暗殺防止などに使われており、マナリルの王城にいる宮廷魔法使いは全員城全体を感知できる魔法を会得している。
・転移魔法
人や物体を移動させる魔法系統。召喚などもこれに含まれる。
召喚は比較的簡単だが、人を直接転移するとなると高い"現実への影響力"が必要で、そこまでに至るのが非常に難しく使い手が圧倒的に少ない。
・呪詛魔法
対象の動きを鈍くさせたり、魔力の巡りを邪魔するなど、相手に弱化の効果をもたらす魔法系統。
相手に直接影響をもたらす魔法には高い"現実への影響力"が必要なのだが、それに見合う効力かと言われると首を傾げる魔法が殆どなのであまり人気は無い。
常世ノ国の呪法もこれに含まれるが、常世ノ国は呪詛魔法が発展している為、他国と比べると別格。
・世界改変魔法
自分の持つ世界を現実にする魔法系統。
一時的に空間を自分の世界という魔法で支配する荒業であり、並大抵の"現実への影響力"では魔法名を唱えても"放出"できず、消費魔力も膨大で例外なく上位魔法に位置づけられる。
その中でも空間と生物どちらにも影響を及ぼせるのは非常に稀で、血統魔法でもその領域に辿り着くのは難しい。
・「血統魔法」
他の魔法系統のように魔法の"現実への影響力"で決められた分類ではなく、魔法の在り方が特殊な為に分けられている。
血筋を鍵にして習得と発動を可能にする魔法使いの特権であり切り札。
知識として後世に伝えられる一般的な魔法とは違い、歴史として魔法使いの一族が後継にのみ伝えていく魔法。
一般的な魔法がその場で唱えた結果生まれるのに対し、血統魔法は最初に唱えられた時から唱えられ続けており、この世に在り続ける魔法として記録され続ける。自然や文明、技術や物、人や動物のように魔法でありながら現実にある当たり前の存在として。
記録され続ける間、血統魔法にはその歴史が"現実への影響力"として蓄積しており、一般的な魔法とは別格の"現実への影響力"を持つ事が多い。
どんな優秀な魔法使いでも二つ以上の血統魔法を習得する事は出来ず、自分の持つ家名の血統魔法しか習得できない。
結婚などで家名が変わると以前の家名の血統魔法が発動できなくなるなど、魔法使いの切り札でありながらその在り方は謎が多い。
・自立した魔法
魔法使いが使う魔法ではなく、誰も使えなくなった血統魔法が現象や存在として現実に現れたもの。
血統魔法はこの世に在り続ける魔法として記録し続けられる為か、使い手がいなくなっても魔法だけがこの世界に残る事がある。人々の生活を脅かすようであれば魔法使いはこれを破壊するのが仕事の一つ。
例外なく核が存在し、その核を破壊すると自壊したり、魔力が途絶えたりする。
・「魔法生命」
在り方が特殊過ぎる為にどこにも分類できない魔法系統。
魔法であり生命でもある存在であり、自立した魔法のように核が存在する。
『属性』
魔法の構成要素の一つ。
千五百年以上前に不可能を可能に、可能を不可能にする為に生み出されたとされている魔法という現象を確立させた最後の要素。
属性が生み出された事で魔法は完成し、ここから魔法と魔法使いは属性による派生を辿る事になり、後に血統魔法と呼ばれる魔法も生まれ始める。
属性を帯びた魔力は属性特有の魔力光を持ち、"属性魔力"と呼ばれる。魔法に変わる前の魔力とは違って魔法の一部であり、魔法同様様々な性質を持っているので属性魔力から"魔法"に変換する事はできない。
時代の流れで派生した結果生まれた属性もあるが、最初期に生まれた属性の創造主は"創始者"と呼ばれる。
・地属性
創始者はスクリル・ウートルザ。魔力光は茶。
最初に確立した属性であり、これをきっかけに他の属性も次々と生まれる。
土や岩をモチーフにした魔法属性で防御魔法や召喚に向いている。
・水属性
創始者はネレイア・スティクラツ。魔力光は青。
水や氷をモチーフにした魔法属性で治癒以外の全ての魔法系統に向いている万能な属性。
全体的に"現実への影響力"が上げやすく人気のある属性だが、とある段階から才能と努力の差が顕著に出るのでオススメしない魔法使いもいる。
余談ではあるが、常世ノ国に属性について伝えたのはこの属性の創始者。
・火属性
創始者はリアメリー・アプラ。魔力光は赤。
火や爆発をモチーフにしている魔法属性。人間の脅威と恩恵が共存する火を元にしており、攻撃魔法や強化の"現実への影響力"があげやすい。
その反面、火の中にいる自分を想像しにくいのか世界改変魔法が生まれにくい。
戦闘に向いている属性の為、人気は高い。
・雷属性
創始者はバルツ・ネコ(恐らく偽名)。魔力光は黄
雷をモチーフにしている魔法属性で水属性と同じように呪詛魔法と治癒以外の全ての魔法系統に向いている魔法属性。魔法の"放出"が他と比べて早く、相手に痛みや痺れを与える特性もあって攻撃も防御もこなせる万能な属性。
しかし、水属性と違って非常に難しく、魔法の制御や強化時の自分の反応に体や思考が追い付かなかったりと学び始めの時に一番苦労する。
・風属性
創始者はマエーレ・アルベール。魔力光は緑。
風をモチーフにしている魔法属性。目に見えにくい空気の流れを元にしている為か"現実への影響力"を高めるのが最も困難で雷属性とは別の意味で難しい。
得手不得手がはっきりしている属性でどんな使い手でも使う魔法系統によって"現実への影響力"にばらつきがあったりと癖がある。
・光属性
創始者はイルミナ・ヴァルトラエル。魔力光は白。
光をモチーフにしている魔法属性。どんな使い手であっても呪詛魔法や世界改変魔法が成立しない謎がある属性。その為、研究色の強い魔法使いからは不人気。
攻撃魔法を反射させて読みにくい軌道で攻撃できたり、発光の性質で相手の眼を眩ます事が出来るなど、戦闘には向いている。
・闇属性
創始者はオンブラ・フレンジー。魔力光は黒。
闇をモチーフにしている魔法属性。補助魔法以外は何でもこなせる属性だが、全体的に"現実への影響力"が高めにくく攻撃魔法は特に威力が低くなりがち。器用貧乏と評される事も多い。
"侵食"という性質があり、感知魔法や呪詛魔法など相手の体や魔力に直接影響を及ぼす魔法の"現実への影響力"が高くなりやすいのが特徴。
・信仰属性
創始者はマルタ・ハエルシス。魔力光は銀。
人が何かを信じる感情を元に生まれた魔法属性。唯一治癒が使える属性なので重宝されるが、この属性で戦闘をこなしたいなら自分で魔法を作るしかないと言われるほどに攻撃魔法が異様に少ないので敬遠されがち。
精神の安定が特に"現実への影響力"に影響を及ぼしやすく、魔法の変化が特に激しい。
治癒魔導士と呼ばれる特殊な魔法使いになる為には必須の属性。
・夜属性
闇属性から派生した魔法属性。魔力光は黒。
闇をより具体的に夜と定めている為、"現実への影響力"を高めやすい。
光の性質を破壊する性質を持ち、光の性質を魔法が持ちやすい火、雷、光属性の天敵。強力な反面、一定以上の太陽光にかき消される性質があるので状況によっては使いにくい。
非常に珍しい魔法属性で意図的になるのが難しい。
・鬼胎属性
人の恐怖を元に生まれた魔法属性。魔力光は黒。
人の恐怖を"現実への影響力"にする事が可能という特異な属性。
闇属性のように他者の精神に干渉しやすく、他者の恐怖の感情を流し込むような精神攻撃が可能。
恐怖を許容する精神が無ければ扱えないので人間が持つのは難しい。マナリルとガザスにはこの属性の使い手はおらず、ダブラマに二家、カンパトーレにも常世ノ国から流れてきた三家と夜属性以上に稀な属性。
・「無属性魔法」
かつて属性が出来る前、魔法と呼ばれていた最も原始的な魔法。
属性が無い為に"変換"が不十分なまま"放出"されてしまう魔法で、魔法と魔力の中間という曖昧な存在で"現実への影響力"も低い。属性を必要としない為、魔法を使える者ならどんな者でも唱えられるという汎用性はあるものの才能があれば自分の属性の魔法を使えばいいだけなので好んで使う者はいない。
現実にその現象が現れない補助魔法の強化などは未だに使われるので無くていい魔法ではないものの、魔法の領域に無いとされていて歴史の端に捨てられた欠陥魔法。
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