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【書籍化】白の平民魔法使い【完結】   作者: らむなべ
第三部:初雪のフォークロア
205/1050

186.闇の中の歌

 フロリアの血統魔法によってエルミラとフロリアに傾きかけた戦闘の流れをフィチーノはその魔法で断ち切った。

 フィチーノを後手後手にして追い詰めていたはずの勢いは今この時を持ってどこかへ消え去る。


「これは……!」

「な、なにこれ……!」


 ぴたりと、フィチーノに向かっていたエルミラの足が止まった。

 エルミラだけではなく、フロリアも。恐怖で混乱しないだけやはり魔法使いの卵という事だろう。

 何故なら周囲は暗闇に包まれていた。

 二人の視界は闇に包まれ、広間に立っていた二人の周りは黒一色で他に何の色も無い。

 全ての光を閉ざして出来上がったような光景が広がっている。


「……!」


 灰のヒールでわざと床を鳴らす。

 かつん、と先程と同じ音が今立っている場所から帰ってきた。その音からここが先程の広間である事をエルミラは確信した。


(どこかに飛ばされたわけじゃない……)


 次に自分の姿を確認する。

 周囲が闇に包まれているにも関わらず、エルミラは自分の姿だけははっきりと見る事ができた。視界が奪われているわけではない事に束の間の安心を覚える。

 転移でもない、感覚を奪われたわけでもない。それならばこれはただ周囲が暗くなっただけという事か?

 光を閉ざす。それは確かに夜属性の領分なのかもしれない。


"あまり音を鳴らさないほうがいいぞ"

「!!」


 どこからか、フィチーノの声がエルミラの耳に届く。

 しかしその声は何処から聞こえてくるのか定かではない。反響するような声に纏った灰を飛ばす事すら躊躇った。


「!!」


 ゆらりと、闇の中で何かが動く。黒く塗りつぶされた周囲に輝く黒い二つの魔力光。

 何か(・・)――が闇の中にいる――。


「っ……あああああああああ!!」

「エルミラ!?」


 痛みは突然だった。目の端で右腕に何かの影が落ちたのをエルミラは見た。

 その瞬間、右腕に激痛が走る。それこそ何かに噛みつかれているかのような。肉を削ぎ、骨まで届いているかのような衝撃にエルミラの目に涙が溜まる。

 闇に散る鮮血と纏った灰の爆発は同時だった。

 右腕に噛みついた何かを迎撃するようにエルミラの纏った灰は爆発し、右腕に食らいついた何かを引き離す。周囲の闇は今の何かがフィチーノか、それともやつの魔法かすらも特定させてくれない。

 ただ右腕から流れる血と脳に届く激痛が攻撃されたという現実だけを見せてくる。


"安心したまえ、この間は私も君達に危害を加えられないのでね。それと……周囲にその灰を撒くのはオススメしない。例えわからずとも、貴様達がいる場所はトランス城前の広間で違いない。仲間を爆発させたくないのならやめたほうが賢明だろう"


 姿は見えないが、フロリアの声は確かに聞こえてきた。フィチーノの言葉ははったりではないだろう。エルミラは右腕の痛みに耐えながら灰をコントロールしてドレスの状態にして纏う。


(やつは……っ……! 音を鳴らさないほうがいいと言った……!)


 この場にいる者に暗闇を絡みつかせる特異性と暗闇から忍び寄る何か。この状況を作り出したのはフィチーノの血統魔法と見て間違いない。

 フィチーノの言葉を信じるのなら暗闇に潜む何かは音に反応しているのだろうか。

 エルミラの思考を痛みが邪魔する。フロリアも音によって感知される可能性には気付いているのか、エルミラの悲鳴に対して驚きの声を上げていたもののそれ以降声を出していない。

 フロリアの声はフィチーノのように何処かわからないような反響する声では無かった。自信は無いが、自分とフロリアの位置関係は周囲が黒く染まった直前と同じだろうとエルミラは推測する。

 このまま音を立てなければ脅威から逃れられるのか。右腕の痛みのせいか、エルミラの頭につい甘い思考がよぎった。


"さて、どこを噛まれたのかなエルミラ・ロードピス? 気を付けたまえ、そうなると大変だ"


 笑うようなフィチーノの声が響く。その声は先程と同じように反響するようでその声の出処はわからない。

 声と同時に、ぽた、ぽた、と、右腕から床に落ちる血の音がうるさいほどに聞こえてきた。


「――っ!!」


 それが何を意味するか理解するのは簡単だった。

 再び、闇の中に黒い光が二つ灯った事に気付いて。


「ひぐ……! かっ……く……あああああああ!!」


 音という釣り餌に惹かれて闇の中から再び何かがエルミラの右腕に食らいつく。

 激痛を抱えた右腕への追い討ちは痛みへの覚悟など無意味とばかりにエルミラに悲鳴を上げさせた。

 そのまま倒れてしまえば楽だったかもしれない。暗闇から激痛をもたらす何かを睨みながらエルミラは歯を食いしばる。右腕にまだかろうじて感覚が残っているのが幸いか。


「――っ!」 


 だが、根本が解決していない。

 流れ出る血の音にすら反応するというのなら、エルミラはもう詰んでいる。右腕の流血を意図的に止める事など出来はしない。

 この状態を終わらせるにはフィチーノにこの魔法を止めさせるしかない。血統魔法は魔法使いの切り札。フィチーノにとってもこれが最後のカードのはずだ。対して、こちらはもう一枚切り札を残している。その切り札は間違いなくフィチーノの居場所を特定する事が出来るだろう。

 だが、場所を特定してもこの暗闇に潜む何かをかいくぐってフィチーノの所に辿り着けるだろうか?

 右腕の痛みがエルミラに切り札を呼ぶ声を躊躇わせる。


"恐いか? 恥じる事など無い。夜とは人の恐怖の根源。天の海がもたらす終焉の形の一端"


 フィチーノ・キイチはカンパトーレと常世ノ国(とこよ)の貴族のハーフ。カンパトーレに辿り着いた常世ノ国(とこよ)の貴族キイチ家とカンパトーレの貴族の令嬢が結ばれ、あろう事かキイチ家の名のほうを継いだカンパトーレの異端児。

 カンパトーレに血統主義など存在しない。選ぶのはただ強さ。魔法使いとしての有用性。キイチ家と結ばれたカンパトーレの令嬢はその信念に従い、自分の家名を捨てた。

 それは人体をいじる事を禁止していない常世ノ国(とこよ)だからこそ生まれた秘伝。

 その体は血統魔法の為に作られた夜の海。エルミラとフロリアの周囲に広がる暗闇はただフィチーノが纏っていた夜を広げただけに過ぎない。自身の血統魔法――【黒撫影鰐(かげわに)】を自由に泳がせる為の。


"これが夜だ"


 キイチ家の血統魔法。それは夜を泳ぐ怪物。キイチ家の血筋に巣食うその怪物その正体。それは使い手であるキイチ家の魔法使いにすらわからない。


"これが闇だ。恐怖を受け入れ沈んでいけ"


 使い手の魔力を食らい、音を餌にただ泳ぐ。

 夜闇の先にある不確かな恐怖その再現。鬼胎属性に近しいアプローチで生まれた夜属性の血統魔法。夜で無ければ"放出"も叶わない血統魔法をキイチ家はその体をさながら生け簀のように変える事で欠点を克服した。

 結果、使い手が味方と定めた者以外の音全てを攻撃する怪物が夜闇に隠れてエルミラとフロリアの周囲で悠々と泳いでいる。


(待てよ……?)


 勝ち誇ったフィチーノの声を聞きながら先程言われた言葉をエルミラは思い出す。


 "さて、どこを噛まれたのかなエルミラ・ロードピス"


 さっき間違いなく、フィチーノはそう言っていた。

 噛まれた箇所など一目瞭然だ。恐らくは骨も折れているであろう血塗れの右腕。


(まさか――)


 やつも見えていない?

 自分の魔法なのに?

 だとすれば、一転してフィチーノの居場所を特定できるこちらが有利になる。

 後は暗闇に潜む何かさえどうにかできれば。


「……っ!」


 自分の意思に反して、エルミラの右腕からは激痛とともに血が流れ続ける。

 ぽた、ぽた、と床に垂れる血の音が再び暗闇に潜む何かを動かした。


"さあ、三度目に耐えられるかな。エルミラ・ロードピス"

「ぐ……!」


 憎たらしく届くフィチーノの声。

 歯痒い声がエルミラの口から漏れたその時――


「ゆーきを踏みしめ歩く足ー! まーわりーを見れば白い国ー!」


 闇の中に、緊張感の欠片も無い童謡のような歌詞が響く。


"なんだ……?"

「フロリア……?」


 やけくそ気味な声量で歌うのはフロリア。

 さっきまで音を立てないように努めていたはずが、唐突に暴挙と言える手段を選ぶ。

 その意図は問うまでも無かった。


「あなたまさか……!」

「言ったでしょ! 私の事は気にせずって……!!」


 闇の中に揺らめく二つの光がエルミラの近くから消える。

 より大きい(おと)に惹かれて。


"なるほど自己犠牲か……それもいいだろう。だが、順番が変わるだけだ。貴様が食われて次は再びエルミラ・ロードピスが食われる。ただそれだけだ幻覚女。まぁ、この暗闇の中ではお前の魔法は役に立たぬ。囮になるしかないと考えるのはわかるが……全く無意味な延命だ"


 フィチーノの馬鹿にするような声とともに闇は揺らめき、黒い二つの光はフロリアの下に姿を現して食らいつく。


「ひ……ぐ……!」


 大まかな音の場所を追っているのか、夜闇を泳ぐ怪物はフロリアの頬と首元の辺りに食らいついた。

 咬まれる激痛とめきめき、と骨が軋む音が近い。頬の皮は裂けて生暖かい赤い液体が頬を流れる。被った仮面もまたその怪物の牙によってひび割れた。


「そう……さ、歩けば……北の国ー! あ……! ぞこに見えるはスノラの……ひかり……!」

"壊れた玩具のようだな。声に苦悶が混じっているぞ?"


 恐い。恐い。こわい。

 食らいつく怪物に腕を回しながら、その場に繋ぎ止めるように声という餌を用意し続ける。

 その姿は見る者が見れば間抜けに見えるだろう。滑稽にも見えるだろう。

 それでも彼女は歌うのをやめない。仮面を被って痛みを隠し、例え滑稽に映ろうとも。

 決して、エルミラを守る為などではない。それは主人の幸せを願う自分の為に。

 フロリアは知っている。ただの補佐貴族の怪我を見て悲しそうにするミスティの顔を。

 大して接点の無い自分にすらあんな顔を見せるというのなら……親しい友人の怪我にはどれだけの悲しみを見せるだろう。

 もし親しい友人が命を落とすような事があれば、どれだけの涙を流すだろう。

 最初からこうすべきだったとフロリアは後悔していた。エルミラの悲鳴が聞こえた瞬間にすぐに私はこうするべきだった。

 暗闇に怯え、声を抑えていた自分を恥じながらスノラの童謡を歌い続ける。

 自分の役目は決して怯えて立ち止まることじゃない。

 ほんの少し、ほんの少しだけでも、ミスティの悲しみを減らす為に。自分が傷つく事でほんの少しでも彼女の顔の陰を払えたのなら、それ以上の報酬などあるはずがないのだから。

 ……自分にはこの敵を倒せない。

 だけど、いる。

 ここにはいる。形は違えど同じように、ミスティの幸せを願う彼女の友人達が。


「ベネッタあああ!!」


 声が暗闇を裂く。

 エルミラが叫んだのはフィチーノにとってはこの場にいる誰でも無い名前だった。


「はい!!」

"なに――!?"


 ばたん、という木製の扉の音とともに広間にいなかったはずの誰かの声がフィチーノにも届く。

 合図があるまでは絶対に出てこない。

 エルミラとそう約束し、横転した馬車に隠れながらエルミラとフロリアを援護していたベネッタが闇の中に姿を現す。二度のエルミラの悲鳴に出ていく事も耐え、歯を食いしばりながら機会を待っていたベネッタの表情には怒りがあった。

 多くを語られずとも名前を呼ばれた意味はわかっている。


"どこから――"


 フロリアの血統魔法にかき乱され、頭から抜け落ちた数度の不可解な拘束。

 あの時フロリアが不意を突いて現れた事で無意識にフィチーノにもう一人仲間がいると言う発想を頭から落とさせていた。


「【魔握の銀瞳(パレイドリア)】!」


 広間に響く四曲目の魔法の合唱。

 手首の十字架に灯る銀色の光。翡翠の瞳は銀色に塗りつぶされ、暗闇の中に反撃の風が吹く。

ベネッタの血統魔法。その力は魔力ある生き物の拘束だけにあらず。

 その瞳は決して――魔ある命を逃がすことは無い――!


「見つけた! エルミラは右斜め六メートル先! フロリアからは近い! 右に二メートル! そこに本体がいるよ!」

「流石!!」


 まずい、とフィチーノはその場を動く。突如聞こえてきた声の雰囲気はてきとうな事を言っているようには見えない。感知系の魔法によって位置を特定しているのだろうというのは察しがついた。

 そう、この闇によってフィチーノもエルミラ達の姿が見えない。

 キイチ家にとって夜闇の先にある何かという概念こそが"現実への影響力"の源。こうして他者を夜闇に捕らえている間――フィチーノもまた夜の闇に囚われる。


"ちっ――!"


 フィチーノは急いで周囲を満たす夜の闇を元に戻す。フィチーノに有利をもたらしていた闇が今では優位に働いていない事を悟って。

 それは同時に、フィチーノが纏う夜を泳いでいたキイチ家の血統魔法【黒撫影鰐(かげわに)】の解除も意味していた。

 周囲を元に戻した事によってエルミラ達だけでなく、フィチーノの視界もまた開ける。


「逃がさない!!」


 声とともにベネッタの瞳の光が輝きを増す。先程も数度やっていたように、フィチーノの姿を視界に入れてその動きを拘束する。


"こいつが私の動きを――!" 


 だが、口の動きは制限されていない。

 これならば迎撃の魔法は唱えられる。フィチーノはにやりと黒い影のまま笑った。

 三人目が潜んでいた事には確かに驚いた。しかし、視界が開けたと同時に、自分を攻撃しようと向かってくるエルミラの姿をフィチーノはしっかりと右側に捉えている。

 力無くぶらぶらと揺れる赤く染まった右腕。その右腕の出血量でまともな戦いはできないだろう。

 血統魔法に魔力を食われてはいるもののフィチーノ本体は未だ無傷。冷静に対応すればこんな状況は危機というにはまだ遠い。


"『乱鴉影劇(たびがらす)』!"


 唱えると同時にフィチーノの体から鴉の姿をした影の群体が飛び立つ。

 がー! がー! と鳴きながら鴉の影は向かってくるエルミラに嘴を立てていった。鴉に阻まれ突進してきたエルミラの足が止まり、フィチーノは勝利を確信する。


「はー……ずれ……!」

"――――"


 エルミラから聞こえてきたその声にフィチーノは息を呑む。

 フィチーノの魔法である影の鴉に群がれ、今まさに肉を抉られているはずのエルミラから聞こえてきたのは――さっきまで歌っていたはずのフロリア(・・・・)の声だった。

 本当に冷静だったのならわかったはず。彼は何度も見ていた。エルミラがその身に纏う灰を飛ばして夜属性の魔法を迎撃するのを。

 故に――エルミラがわざわざ突っ込んでくる理由が無い事などわかっていたはずなのに――!


「ざまあ……みろ……」


 エルミラの姿に見えていたフロリアは影の鴉に群がれながら力無く倒れていく。

 だが、フロリアを倒した所でフィチーノにとっては意味が無い。最も警戒すべきは高い"現実への影響力"を持ち、こちらの魔法をあっさりと破壊する事が出来るエルミラ。

 だからこそ、視界が開けたその瞬間にフィチーノはエルミラの姿を捉えた。近付くエルミラを見てフィチーノは勝利を思い描いただろう。

 その勝利がただ描かされていただけの幻だとも知らずに――


「恐怖を受け入れろ……だっけ?」


 拘束された体。周囲に満ちる渦巻く灰。

 数メートル離れた先に立つ本物のエルミラが冷たい目でフィチーノの姿を捉えている。


「お生憎様。恐怖は乗り越えるものよ」

"く……そ……!"


 広間に轟く爆発音。爆風がもたらす衝撃。

 熱と爆風が城門を吹き飛ばし、その中心にいるフィチーノに容赦なく襲い掛かる。


「か……」


 逃げる事も出来ないフィチーノはその身にエルミラの血統魔法を受け、横方向にぐらりと倒れた。

 影の体はそのままに力無く。その得体の知れない体から今では脅威は感じられない。

 使い手の意識が途絶えたのか、フロリアを襲っていた影の鴉もただの魔力となって霧散した。


「フロリア!」


 戦いは終わり、エルミラはフロリアに駆け寄る。

 さっきまでエルミラの目にはフィチーノに映っていたが、血統魔法は解除されたのかフロリアは姿そのままに倒れていた。

 皮膚が破けて血が流れる頬。頬から肩にかけて出血がひどく真っ赤で、嘴に啄まれてボロボロのドレスと肌。呼吸で小さく上下する胸が無ければ死体と見間違えてもおかしくない状態だった。


「ベネッタ! お願い!」

「うん! 『治癒の加護(ヒール)』!」


 怪我一つ負っていないが、血統魔法を繰り返し使っているベネッタの魔力は残り少ない。

 残りの魔力を総動員してベネッタは二人の治癒にあたる。


「勝っ……た……?」


 ベネッタのほうに首を動かし、フロリアは小さい声で問う。


「ええ、無事にね。ひどい怪我してるのはあんただけよ」


 笑って答えるエルミラの右腕はフロリア同様にひどい怪我を負っていて無事とは言い難い。魔力もほとんど残っておらず、凍り付いた扉を破壊した時に一回血統魔法を使い、さらに戦闘時に血統魔法の維持に魔力を費やした結果、中位魔法を二回撃てればいいくらいの魔力しか残っていない。

 それでも、エルミラの笑顔は勝利を知るのに充分なものだった。

 ゆっくりと左手を動かし、フロリアは自分の顔を触る。その皮膚は戦う前とは違って傷だらけで、顔中が腫れていてぼろぼろだった。


「はは、美人っていうのは……今日までかな……」

「何言ってんの、今でもちゃんと美人よ」

「へへ……そう?」


 エルミラの声に安心したのかふにゃっと笑うフロリア。

 戦闘時には無かった穏やかさが訪れるも。


「きゃ!」

「な、なに!?」


 束の間の一時だった。

 硝子の割れる大きな音がトランス城から広間に響く。音のしたほうに視線を向ければ、そこには窓から外に飛び出すルクスの姿があった。

いつも読んでくださってありがとうございます。

広間組決着です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 初登場ではなんか軽そうだったフロリアさん。 先のミスティとの初対面から今回と、美人設定だけど同時に男前感溢れておる。
[良い点] やはり、ベネッタは伏兵でしたか。 彼女の存在は本当に大きいですよね。 そして、フロリアの勇気と主を想う忠誠心にも似た何か。 あとはルクス君がどう勝つかと、アルムがどう決めるのか。 この章も…
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