贖いの天使
この作品は牧田紗矢乃さん主催、第四回・文章×絵企画の投稿作品です。
この作品は、晶(出戻り)さんのイラストを元に執筆しました。この場を借りて、御礼申し上げます。
晶(出戻り)さん:https://20410.mitemin.net/
久遠の昔、地球と呼ばれていたこの星は、ただの砂漠の星となった。
その最後に生きていた男が、私に昔教えてくれた。
「昔はきれいなところだったんだ……」
彼は、海だったところを眺めてつぶやく。
そこは、砂海と今は言われていて、そして誰もが忘れていったところ。
彼だけが、そのことを覚えていた。
「急な気温の上昇が起こった。誰もがどうしてと、原因を突き止めようとした。だが、誰にも説明ができなかった……」
私のことなんて忘れているのかもしれない。
彼の一人語りがずっと続く。
「最後の頼みを聞いてくれる人がいるのなら、どうか、私の亡骸に水を供えてほしい。再び、緑で栄えた星を見ることができるように……」
「……わかった」
私は彼に声をかけた。
ハッとする表情、しかし、私の姿は見ることができなかったようで、誰かがいる、その安堵から彼は安らかに逝った。
それ日から、私は彼に水をかけ続けている。
水は最初は、残された泉からとってきていた。
それも涸れ、次は遠くの湖からとってきた。
それも果てて、どうしようか、と思うとき、ふと気づいた。
彼の頭はすでに白くなっていたが、そこから花が咲いていることに。
私は贖いの天使、この世界に再び緑満ちるときまで、私は贖い続ける。
人類を助けられなかったことに、この世界が滅んでしまったことに。