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星空のビーチコーミング  作者: 上高田志郎
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 二人はアスパラの外へ外へとドアを開けていった。もう次のドアを開ければ目のくらむような光景が待っているかもしれない、そう思いながらも目の前に変わらない通路とドアを前にすると安堵と同時にじれったい気持ちがせめぎ合っていた。それでも、空気の流れや風の音が段々と強く迫ってきて恐怖は限界を知らない。次のドアこそいよいよだ、そう思わせるに充分なほど二人はドアを開けてきた。ようやく違う景色が現れた。駐車場のスペースに緑色の円柱が並んでいる。巨人が使う緑のクレヨンのようだが、やっぱりこれもアスパラだった。吹き付ける風は気が狂った者どもの合唱のようだったが、二人の興奮の雄叫びもなかなかのものだった。恐怖は確かにある、自分の皮膚から髪の毛まですべてが恐怖に染められている。雲を近くに感じ、海面を見下ろした。ハンマースは我を失っていないことに驚いたが、ひょっとするとこの状態がいわゆる我を失っている状態なのかもしれないと思った。

「これは削りだしたやつか、廃材か?なんかのパーツか?」美しく光る緑のアスパラは断面図のみずみずしさが生き物のようである。

「これがなんとシェルターかつ避難船よ」ユボットはそう言ってちょっとでっぱったくぼみを両手で回すと蓋が開いて中への入口ができた。

「すげぇな俺の部屋より広い」ハンマースは軽口を叩きながら故郷の電車を思い出していた。ちょうど一両ぐらいだろう。

「中にいくつか扉がある。開け方は今と同じで子供にも分かる。机かかえても入れるだろ? 座席もベルトもある。後は体をしっかりとしばること。」

「だいぶ回転するんだろうな」ずいぶん原始的だなとハンマースはあきれた。

「あぁ、でもきっと時間にしたら五分どころか三分もないんじゃないか? 耐えられるさ」

「これってほんとにそういうものなのか?」ハンマースは不安を笑いでごまかした。

「きっと宇宙用だな。連中、けっこうマジだったんだ。後は、かたむきが大きくなったら自然と海へドボンよ」ユボットは早口で言った。冗談なのか本気なのかを確認している場合ではない。

「なんか助かりそうだな」ハンマースは難しくない気がしてきた。野生のカンとしかいいようがない。いつもそのカンはあてにならなくて自虐的に笑っていたのだが、そんなことはどうでもよかった。心に余裕が生まれたのか、人生で一番開き直っていた。やれるだけのことはやったのだという気持ちが。

「俺もそう思うんだ。昨日これ見つけて声出たもんな。これで絶対勝ったって。俺たち、変なところで気があうよな」

「なんでだろうな」ハンマースは大げさに何度も首をふった。「じゃいきますか」

 二人はそれぞれ円柱に乗り込んだ「ゲロ吐くなよ!」ユボットが声をかけた。「だめだ、たぶんきっと吐くよ」ハンマースが蓋を閉める最後の瞬間ユボットの声がした。「最後の最後、ダメだったら机はしょうがないからな、絶対死ぬなよ!」「分かった」ハンマースはユボットに聞こえるように大声を張り上げたが、その声が届いたかどうかは分からなかった。

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