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星空のビーチコーミング  作者: 上高田志郎
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 ハンマースは窓からアスパラを眺めていた。匂いは部屋の中にまで漂ってきて、町を歩く連中の賑やかな報告は出かける手間を省いてくれた。いつか見た、島に雨雲がふらせた雨、あんな大きさだった。服を着替えて町を歩けば、港のどこからでもアスパラを見ることができた。もともと港には高い建物がほとんどないこともよく見える理由の一つだろう。いくら高い建物を建てても時間と金と労力を考えると割に合わない。ハンマースが生まれた国では建物はとにかく高かった。富、名声、権力の象徴である。巨大なものは常に正義である。その建物の中で人間が暮らしたり働いたりしていた。ハンマースはこれ以上愚かなことはないと思っていたが、一度も口にしたことはない。自分が生まれた国からのアスパラの眺めはどんなだろう? 

 歩きながらアスパラを見ていると、これがホワイトアスパラガスだったらなと思った。白ければ夜でもめだつしいい灯台がわりになったかもしれない。月の光を浴びて夜空をつらぬいて雲がすいよせられるようにたなびいていく…

 市長とユボットは今頃大騒ぎしてそうだ。いや、二人とものんきに寝ているかもしれない。外の連中はこの件にどうやってからんでくるだろう。ハンマースはまだ寝起きのような頭で考えていた。いつでもこうありたいものだ。物事は万事寝起きのような心持でおだやかに夢見ごこちのまま決定していけば、港だけでなく、世界に平和が訪れることだろう。これから楽しくなるだろうか? きっとそうなるはずだ。叫ぶでもなく走り回るでもないし、笑い転げるでもないが、人生にこういう楽しみは確かにある。こんな楽しみがもっと多くなくてはいけないはずだ。ハンマースは昼までのんびりすることに決めた。そのほうがいいような気がしたのだ。


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