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星空のビーチコーミング  作者: 上高田志郎
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 暑い日々の中でたまに空が曇ったときは必ず豪雨になった。雨雲はゆっくりと動きながら絨毯爆撃のような雨を降らせると行儀よくあの浮島にもちょっろっとマーキングしてから消えるのがお約束だった。

「親のカタキみてぇにふってるぜ」

 ユボットは傘をさしているのに頭から水をかぶったようにぬれながら島を見ていた。傘に穴が開きそうな勢いだ、ほんとに開いてくれたらいい話のネタになる。近くでものが吹き飛ばされて壊れる音がした。運が悪いとケガでもしてしまいそうだが、それは笑えない。  

 屋根の下に隠れて腰を下ろせばすぐに晴れ間がやってくる。ユボットは上機嫌だった。自然に感動できるのは心が健康な証拠である。夕立にしても、夕焼けにしてもいっきに港を染め上げていく。

 勝手に借りた本を返しにいくにしては堂々としたものだった。雨上がりの街並みは輪郭を際立たせて小さな水滴や光がそこらじゅうで生き物ように生まれては消えて行った。ユボットは満足して鳥のような足取りで図書館へ向かった。セミが鳴き始めた。まるで生まれてから初めてセミの鳴き声を聞いたような気がした。鳴き声は合唱にならず、一匹が必死に泣いていた。持ち出した本は港の歴史を1ページにもみたない量しか書きあげていなかった。厚さのほとんどは白紙だったのだ。気がふれた人間のやりそうなことだ。いずれは浮島のこともこの本に書かれる日がくるのだろう、それはそんなに気の遠くなるような先の話ではないはずだ。それを書くのは自分かもしれない。ユボットはこの考えが気に入った。


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