find out
最近メガテラさんという歌い手にハマりました。
今も聞きながら書いてます。
創作意欲が湧いてくるね。
――――――翌日。
ドンドンドンドンドン!
ドンドンドンドンドン!
「ふぁぁぁあ。うるさっ。はいはい今行きます」
激しく叩かれる扉の音で目覚めた僕は、少し機嫌が悪かった。
しかし、すぐにそれは恐怖に変わった。
なぜなら、鬼の形相を浮かべた春香が扉を叩いたからだ。
「あーんーくー!昨日の試験の事について聞かせなさい!!」
やばいっ。
やばすぎる。
なんで春香が知ってるの!?
「おはよう春香。良い朝だね。良い朝だよ。」
とりあえず扉を開けて、何事もなかったかのように装いながら挨拶をする。
が、無駄だったようだ。
「昨日の試験開始時間どこにいたの?」
「え・・・・・・し、試験開始時間なんだから会場に居たにき、決まってるじゃん!やだなあ春香ってば!!」
「嘘!宿の女将さんに聞かれたのよ!あんたが試験始まる時間に宿で見かけたらしくてね!それに試験終わったあと探してたのに居なかったし!わざわざ他の会場全部探し回ったんだからね!」
「そ、それは多分女将さんが時間を見間違えたんだと思うよ!!試験終わったあとは用事があってす、すぐ帰っただけだよ!!」
「言い訳無用!もしかして暗来、試験受けてない・・・・・・?」
「・・・・・・深すぎる事情があっ」
「何考えてるの暗来!試験受けてないってことは、学園に入れないって事じゃない・・・・・・」
春香はそう言うと、急に涙目になってしまった。
「だ、大丈夫!進くんと模擬戦したから!あっ・・・・・・」
春香をなんとか安心させようと、咄嗟に何か言おうと思ったが余計な事を言ってしまった。
「進くん?模擬戦?どういうこと?まさか・・・・・・また無茶したの?もう無謀な事はしないって言ったじゃない!!」
そう。僕は過去に何度も無茶をして死にかけたことがある。
無契約者である現実から目を背けたくて魔獣を一人で狩ろうとしたり、俊作さんの訓練の中で魔獣が潜む森で一人で一週間過ごしたり、訓練を終えての自分の実力を図るために魔獣の群れに一人で立ち向かったり・・・・・・キリがないな。
その度に怪我を負って春香を心配させたものだ。
いつもいつも目を腫らして、嗚咽しながら抱きしめられた。
もうそんな心配はさせないでおこうと思ったのに僕はまたやらかしたみたいだ。
「違うよ春香。全然危ないものじゃない。ちょっと違う形式の試験を受けてただけだよ。無事合格したしね」
「ほんとに?危なくなかった?それに合格って入学決定したってこと??」
「うん。ほんとだよ。入学ももう確定した!」
「よかった。じゃあ、私の結果待ちだね。まあ、筆記は簡単な問題ばっかりだったし実技の方もなかなか良くできたし合格は確定ね!」
春香に嘘をつくのは心が痛んだが仕方ない。
これは優しい嘘ってやつだ。
僕は優しい大丈夫。
――――――じゃなくて
「いつ合格発表されるんだっけ?」
「今日の夕方!一緒に見に行こうね暗来!」
「それはいいけど、それまで暇じゃない?」
「そうね。じゃあこの街を探索しましょう!私たちのいた街より大きいし!」
僕達は現在、故郷であるカトラ市を離れエレネスト学園のあるエレネスト市まで来ている。
このエレネスト市はウェイド王国の中でも2番目に大きく、栄えている街で準首都とも呼ばれている。
もちろん受験するために来たのだが、観光名所としても名高いエレネスト市まで来て観光せずに宿に引きこもるという選択は有り得なかった。
「そうだね。見て回ろっか」
「やった♪じゃあ着替えてくるから待っててね!・・・・・・デートだし気合い入れないと」
「ん?今なんて言った?」
「何もないっ!行ってくるね!」
最近僕は難聴を患っているようだ。
それよりも春香と二人で出かけるのなんてひさしぶりだ。
二人きり・・・・・・ってことはこれはデート!?
気合い入れないと!