fate
人物描写とても難しいですね。
頭の中のイメージを文にするというのがここまで難しいとは思いませんでした。
ところで
一話一話の文の量を多くすることにしました。
これからもLARSをよろしくお願いします
「では呼んでくるから少し待っていてね」
一緒に学園の模擬戦専用の校舎に移動した後、そう言ってルアラさんは行ってしまった。
誰が相手だろうと負けない!
それに忘れ物なんかで落ちたとわかれば・・・・・・春香に殺される。
大丈夫。僕は負けない。魔獣だって狩ったことがあるんだ。絶対に契約者に負けない!
✼
この世界には魔獣がいる。
魔獣は普通の動物とは違う。
魔法を使えるのだ。
契約云々は分からないがなぜか魔法を使えるし、そもそも普通の動物と力の差もある。
魔獣は人々にとって危険だ。
そこで人々は自警団を立ち上げた。
契約者が剣を取り、魔法を行使して魔獣を狩る事もさながら、他国との戦争にも介入する。
その名称はギルド。
力ある者はギルドを設立し、仲間を集めてギルドをより大きく強くしていく。
しかしある時期から施行されたランキング制度というもののせいで、ギルド間では激しい競争が起こり、今では本来の意味での自警団の形はとうになくなってしまっている。
――――――とギルドの話は置いといて、とにかく魔獣が存在する。
そしてギルドには属さないが、魔獣を狩ることで生計を立てている人達も存在する。
彼らは通称でハンターと呼ばれている。
俊作はハンターで魔獣を狩り、その素材を売り捌くことで美佳や美香、そして暗来を養っている。
しかしハンターという仕事は決して楽なものではなく、生死がかかっているものだ。
なのでハンターは強くないとやっていけない。
彼はハンターの間では有名で、 無契約者だがおそらく中小ギルドのマスターには匹敵する力量を持つと囁かれている。
暗来はある事件から俊作に狩りを教わった、いや狩りだけではなく格闘術や、罠の仕掛け方などの知恵も伝授してもらった。
そんな暗来だからこそ、たとえ契約者が相手でも同年代に模擬戦で負けるつもりはなかった。
――――――そしてしばらく経った頃。
✼
「待たせたね。この子が君の対戦相手だよ」
ルアラさんが連れてきたのは、僕よりも少し背の高い茶髪の男の子だった。
穏やかな風貌で、誰が見ても美男だと言えるだろう。
涙ぼくろのセクシーさがそれに相まって不思議な魅力を醸し出している。
「やぁ。俺は才牙進。いきなり君と闘えって言われて少し困惑しているよ」
少しはにかみながらそう告げる彼はどこかの国の王子様だと言われても遜色ないくらいに爽やかで、思わず見惚れてしまった。
「僕は光堂暗来って言います!模擬戦お互いに頑張りましょう!」
「本気でやるつもりなんだね。わかった。お互い頑張ろう」
そう言って進くんが握手を求めてきた。
本当にどこかの王子様なんじゃないのかな?
僕もそれに応え握手をした。
そんな僕達を見ていたルアラさんは注目を集めるよう手を叩きながら
「じゃあ始めようか。ルールは相手を気絶させるか、負けって言わせた方の勝ち。進は無理矢理連れ出してきたからあまり時間かけたくないし、制限時間は十分にしよう。」
そして僕達は模擬戦用のサークルに入る。
「じゃあ始めるよ。才牙進と光堂暗来の試合.....開始!」
その瞬間、進くんが僕に向かって踏み込む。
「あまり怪我をさせたくないから速攻で決めるよ。擊擊・・・・・・打撃!」
そう言うや否や、一瞬で詰め寄り、拳を突き出してきた。
速いっ!?
咄嗟に避けるが、体勢が崩れる。
しまった!
そう思った頃には手遅れだった。
進くんは、拳を突き出したまま半回転し、僕の顔に裏拳を打ち込んだ。
「ぐっ!」
打たれた勢いを使い、とりあえず後ろに下がって距離を取る。
ポタポタと流れ出る鼻血を手で抑えながら考える。
舐めてた。
ここまでだとは。彼の拳は速いし、思い。
それに・・・・・・なんだあの擊擊って?
僕は自分の過信に後悔していた。
そう思っていた時、いきなり進くんが
「暗来くん。契約を出し惜しみしてたら負けると思うよ?」
と言ってきた。
え?
「えっ?あの、僕無契約者だよ?聞いてない?」
それを聞いた瞬間、進くんは呆けた顔をして首を傾げた。
そして目を見開いた。
「ちょっ!ルアラさんどういう事ですか!?俺は無契約者が相手だなんて聞いてませんよ!?」
「言ってなかったら、受けていなかっただろう進?」
ルアラさんがにこやかに笑ってた。
――――――あの人絶対腹黒い人だ。
「当たり前ですよ!!」
進くんは焦った顔でこう言った。そして僕に謝ってきた。
「ごめん暗来くん。まさか無契約者だとは知らずに契約を行使してしまっていた」
「いえ、契約者相手に勝つことがルアラさんと決めた条件だったので、構いません!」
僕はむしろ燃え上がっていた。
この契約者にどのように打ち勝とうと。
――――――案外、僕は戦闘が好きなのかもしれない。
「だが、無契約者相手にやはり契約を行使する訳にはいかない。ここからは契約無しで相手をさせてもらうよ」
進くんが意外なことを言ってきた。
だが
「いえ、使ってください。じゃないと契約者相手に打ち勝ったとは言わないので」
「だけど・・・・・・」
「それに使わないと、多分負けますよ?」
僕は不敵に笑う。
それをみた進くんが
「じゃあ、俺に契約を使わせてみろ」
とニヤリと笑い返してきた。
上等っ!