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ヤンデレ兄とニート妹の相互依存生活  作者: スイレン
連載
3/15

でんわ

今日は地獄だー(´;ω;`)

死んできます。骨は拾って下さい‥‥。

ーープルルルルル。


ビクリ。


ーープルルルルルルル。


震える。


ーープルルルルルルルルル。


くる。

観月は千尋のベッドに入り、体を丸めて耳を塞いだ。


『ねえ!! いるんでしょう!! なんで出ないのよ!? 千尋に甘えるのもいい加減にしなさい!!!』


やめて、やめてよ。


『まったく、千尋も迷惑しているのが分からないの!? あんたなんか千尋に相応しくないのよ!! 早く出て行きなさい!!』


耳を塞いでも届く罵声。

悪意を、殺意をむき出しにして襲いかかる言葉たち。

それは、観月のトラウマを刺激するには充分過ぎるものだった。


ーーどのぐらい、たっただろう。

布団越しに触れてくる、優しい温度に気がついた。


「‥‥観月、大丈夫?」


「にい、さん。」


「おいで。」


優しく微笑みながら手を伸ばす千尋の胸に、観月は顔を埋める。

小刻みに震える彼女を愛おしそうに千尋は目を細める。


「にい、さん。あのでんわ」


「‥‥ほんとに心当たりはないよ。ていうよりも、まず観月以上の子なんていないから。」


ーー毎日、毎日2週間程前から鳴る電話。

いつも兄が帰ってくると終わるそれは、自分から兄を取っていく悪魔に観月には思えた。


「にいさ、どこにも行かないで‥‥!!」


もう、自分には彼しかいないのに。

兄までいなくなったら、どうなってしまうか分からない。


「行かないよ。どこにも。‥‥まってて、すぐにどうにかするから。」


そういって、怪しげに笑う千尋に、観月が気づくことはなかった。




ーー今日も、来るのだろう。

そう思って観月は体を震わせる。

もし、電話が鳴ったら、出ようと拳を握る。

自分にとって、兄は絶対なのだ。

だから、そんな兄を取っていこうとする人は許せない。

だから、どうにかしようと必死で勇気を振り絞る。


ーーしかし、いつまで経っても電話がかかってくることはなかった。

おかしい。

それが、不気味で、怖くて堪らず兄に電話をする。


『もしもし?』


「‥‥千尋兄さん、いま、どこ?」


『今? 踏切だよ。もう少しで戻れる。』


「‥‥よかったぁ。」


思わず頬が緩む。

兄が、帰ってくる。

少しでも兄と繋がっていたくて、話を続ける。


『じゃ、またね。』


「‥‥もう少し、ダメ?」


『!? ‥‥駄目なんかじゃ、ないよ。』


しょうがないなぁ。

そう呟きながら兄が向こう側で微笑んだ気がした。


ーーその日から、電話がなることは無かった。


戦地へ赴くための気合いを入れるために置いときます。

‥‥無事、終わったらもう一本投稿するんだ。

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