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就寝前
布の中。横たわって目にする。
影が深く、色の読み取れない世界の中。
目蓋の影が物の輪郭も奪っていく。
冷える肌を温めるのも己が体温。
布でこもる己が熱でしかない。
眺める室内灯の輪郭が朧気で
境界から漏れでる言葉は数数多。
言葉を留め置こうと記憶に写し、心を描こうとするも、
その境界にこめた言葉は、明るさに潜めてしまう影と共に。
暗がりで取るメモは文字が読めず。
打ち込もうとする携帯では眩しすぎ。
明確すぎる現実では、薄明かりの向こうに見える幻想を留められず。
己の力量を疑うばかり。
願わくは、足の張りに感じる疲労と熱のように
意識を奪う温もりを抱き止めるように
ぬるま湯の感触を目蓋の裏に蓄えて
自身の世界を、領土を広げよう。
その侵略が幻想だとしても
確かに手に入れる為に。