表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜人×竜人の恋  作者: 美龍
出会い
9/12

第8話

久しぶりの更新です

セーファスと一緒に暮らすようになって2週間が過ぎた。こんなに長い間ここにいて大丈夫なのだろうか。それが最近のルティの密かな疑問だ。それに、よく考えればいろいろとおかしいのだ。セーファスの髪や瞳の色が変わったということは彼は竜緋の力を持っている――つまり王族のはずだ。それに今こそ街で買ってきた庶民の服を着ているが、初めて会ったときの服装は王族だとはっきり分かるようなものだった。あんな格好をしていながら自由に出歩くことなど、できるはずがない。

一緒に家事もやってくれるのでとても助かってはいるが、彼を心配している人がいるはずだ。このままでいいはずはない。

そう思い至ったルティは思いきって聞いてみることにした。


「ねぇ、セーファス。聞きたいことがあるんだけど。」


ちょうど夕飯のスープを飲んでいたセーファスはスープを飲みこんでから返事をした。


「なんだい?」

「あのね、ずっと気になってたんだけど…あなたは王族だよね。なぜ王族が一人でこの辺りを歩いていたの?お城に戻らなくてはいけないんじゃないの?」


そう一気にまくしたてると、セーファスは少し考えたあと、まあいいか、といって話し出した。


「ルティ、よく聞いてくれ。俺は確かに王族だし、クレナ王国の第二王子だ。」

「やっぱり…」

「まあ、あんな服を着てたらバレるよな。で、俺が自由に出歩いてる訳だけど。王座は力が強い者が継ぐというのはしっているか?」


ルティは頷く。昔母に教えてもらった記憶があったのだ。


「俺は兄さんより竜緋の力が強い。だが、俺は王になりたくはない。そこで、俺は継承権を破棄した。もちろん俺の方が力が強いことは誰も知らない。俺が真っ先に気付いて、そのあとは力をなるべく使わないようにしたからな。だから俺が継承権を破棄することに反対するやつはいなかった。継承権がなくても第二王子という扱いは残ったが兄さんよりは警護が軽くなったんだ。俺はもともと国民が暮らす町に興味があんだ。だから王様にお願いして自由に出歩くことを許可してもらったんだ。」

「へぇ…王子様だったんだ…」


ルティはそこに一番驚いていた。


「まあ、こんなとこかな。城には…いつかは戻らなきゃいけないだろうけど今はルティと一緒にいたいからな。まだここにいるよ。」

「いや、帰れよ。」


あ、つい本音が!やばいやばい。

案の定、セーファスは驚いた顔をしている。

しかし、次の瞬間、セーファスはお腹をかかえて笑いだした。


「あはははは!ルティの素はそっちか!いやーいいね。」

「意味が分からない…」


そう、確かに私は今までセーファスに対して敬語はとっても本当の素は見せていなかった。そこまで心を開くことに気が進まなかったからだ。それに、エミリにも不評だったからキャラをつくっていたんだけど…素を出してしまった…

まあ、なんか笑ってるしいっか。

そう思って今までキャラをつくっていた理由を話すと、セーファスは少し雰囲気が変わった。


「なるほどね。うん、やっぱりルティはおもしろいね。ルティ、俺と結婚してくれない?」

「…は?」


何を言い出すんだこの人は。


「だーかーらー、俺と結婚してくれない?って言ってるんだよ。」

「意味が分からない。まだ出会って数週間だよね!?そんな感情抱かないでしょう!」

「出会いだなんて、ルティってば意外と乙女だねー!俺はルティのこと好きだよ。俺が王子だって知ってここまで態度を変えなかった人は初めてだ。」


なんなんだ…さらっと告白されたような気がするんだが?いやそれよりもこの人は本当にセーファスなのだろうか。さっきまでと様子が違うような…


「あの、セーファス?なんか、キャラ変わってない?」


私がそう聞くとセーファスは向かって座っていたのに私の隣に移動してニヤリと片方の口の端を上げた。


「ルティがつくっているのはなんとなく気付いていたからね。俺もつくってたんだよ。それに、そんなに簡単に素を出すわけにはいかない立場だからね。」


そういってセーファスはルティの右手をとると手の甲に口づけた。

ルティはびっくりしたのと初めてのことに顔を赤くした。それを見てセーファスは微笑んでこういった。


「それに好きな人の前では素でいたいからね。本当の俺を好きになってほしいから。」

「好きだ好きだ連呼するな!」

「気持ちはちゃんと言葉にしなきゃ伝わらないじゃないか。ね、ルティは俺のこと嫌い?」


うっ、とルティは詰まった。セーファスのことは好きだが、それは友達としてである。それに異性として見たことがなかったから答えられないのだ。


「分からない…けど、嫌いじゃない…と思う…」


そう言うと、セーファスは満面の笑みを浮かべた。


「よかった!じゃあ望みはあるんだね。覚悟しておいてね、ルティ。」


そう言い残してセーファスは自分の部屋へと戻っていった。


ルティはドキドキとまだ鳴り止まない心臓に手をあて、しばらくその場に座り込んでいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ