第6話
久々の更新です
ルティが森に帰ってきてから約3ヶ月が過ぎた。
「今日はちょっと散歩しに行こうかな。」
森の木の実や薬草を採りつつルティは森の奥へと入っていった。
「あ、これ、昔間違えて食べてお腹壊したやつだ。懐かしいなぁ…」
森に帰ってきてからまだ一度もこんなに奥まで来てなかったからなー。
ルティにとってこの森は母との思い出がつまっている大切なところだ。久々に来たこともあり、しばらく思い出に浸りながら道を進んでいった。
その時だった。
ガサッ――
木が揺れる音がした。
なんだろう…?ここに来る人なんて滅多にいないのに。
しばらく様子を伺っていたルティだったが、何も起こらないので家へ帰ることにした。
――翌日
朝ごはんを作るためにルティは外に水を汲みにきていた。
そこに、突然ガサガサッという音がしたと思うと、人が立っていた。
ルティは驚きに目を見開き、相手を凝視した。
「か、髪と…目が…!」
そこにいたのは一人の青年だった。銀の髪に緑の瞳を持つ、世に言う美形というやつだろう。しかし、ルティが驚いたのはそこではない。目があった瞬間から、銀の髪は深は緋色に染まり、瞳は燃えるような赤になっていった。
お互いに驚きのあまり固まっていると、青年はゆっくりとこっちに歩いてきた。
青年はルティの前まで来ると、口を開いた。
「驚かせてしまって申し訳ない。俺はセーファス。君は?」
「る、ルティ…」
「ルティか。いい名前だね。ところでルティ、ちょっとの間君のお家にやっかいになってもいいかな?」
突然のことになにがなんだか分かっていないルティだったが、なぜだか彼が悪い人ではないような気がした。そして、その問いかけに気がついたら頷いてしまっていた。
ルティが頷くのを見て、青年―セーファスは微笑んだ。
☆★☆
なぜこうなったんだろう…
自分で自分が分からない。全く見ず知らずの人を家にあげるなんて…
無用心にも程がある。でも困っていたようだったし、なんだか放っておかなかったのだ。
頷いてしまったものはしょうがない。少しの間と言っていたし悪いことにはならないだろう。
ルティはそこまで考えがまとまると、前に座って優雅にお茶を飲んでいるセーファスに声をかけた。
「あの、どうしてここに?」
「まあ、いろいろとあってね。そんなことより、君はここに一人で住んでいるの?ご両親は?」
両親という言葉を聞いたときに僅かにルティの瞳が揺れた。
「母は死にました。父のことは知りません。私が物心ついたときにはいませんでしたから。兄弟もいないのでここには私一人で住んでいます。」
「そっか。じゃあ申し訳ないけど少しの間やっかいになるよ。家事とか力仕事は一応一通り出来るから、なんでもいって。よろしく、ルティ。」
「はぁ…よろしくお願いします。」
ルティはこの人となら大丈夫だろうという確信を持った。両親がいないと言っても態度を変えず、へたに同情をしてこないセーファスに好感が持てたからだ。ルティは両親がいないからといって同情されるとがなによりも嫌だった。
セーファス、やっと登場させることができました。今後、物語に大きく関わってくる予定です。次回はこのセーファス視点になります…たぶん。