第2話
母と娘は、森の少し開けた場所へ来ていた。
「風よ、我らの回りに壁をつくりたまえ」
母の声にこたえるように風がおきると回りに結界をはった。
「さあ、ルティ。さっき教えたように自然の力を借りてごらん。まずは風に。」
「うん。かぜよ、われのもとへあつまりたまえ」
すると、先程の母とは比べ物にならないほどの突風が起こり、娘の周りを覆った。
母は驚きに目を見開いた。
「まさか…ここまでだったなんて…」
「おかーさん?」
娘は風を収め、青ざめて座り込んでしまった母のもとへ駆け寄った。
「おかーさん、大丈夫?」
「大丈夫よ。ルティ、よく聞いてね。あなたは竜人よ。竜王の力をとても強く受け継いでる。母さんにもその力はあるけれど、あなた程じゃないわ。そしてこれは王族にしかない力なの。だから、誰にも自分が竜人だってことを言ってはダメ。母さんが力の使い方を教えてあげるから、使いこなせるようになろうね。」
「うん、わかった!」
娘は話の内容はよく分からなかったが、母が真剣なのはよくわかった。そして、力の練習ができることに喜びを感じていた。
それから練習は毎日何時間にも渡って行われた。力の練習と共に挨拶や食事などのマナーも母は教えた。このときの母はとても厳しく、娘は必死についていった。それが1ヶ月ほど行われた頃。
「ルティ、ちょっとおいで。」
「うん?」
力の練習の際にこけてつくった擦り傷にガーゼを貼り、娘は母のもとへ寄っていった。その娘と視線を合わせるように母はしゃがみ、娘の頭に手を置いた。
「ここまで、よく頑張ったね。もう、あなたは十分に使いこなせてるわ。竜と会話もできたのでしょう?」
「うん、できるよ。」
力を使うというのは、その力を司る竜の力を借りるということだった。普通は自分の意思を言葉にして借りるだけなのだが、ルティは竜と会話をしたり心の中で竜と会話をして力を借りることまでできた。
「ほんとうに、あなたの力は強いわ。強すぎて心配。それでね、ルティ。このペンダントをあなたにあげるわ。これをいつでも身につけていて。絶対に誰かに渡してはダメよ。見せてもダメだし、誰かにペンダントのことを話してもダメよ。」
そう言って母は娘の首にペンダントをかけた。
「わあ、きれいないし!わかった、おかーさんとのやくそく、ぜったいにまもるよ!」
「うん、お願いね。」
これで、少しは安心。どうか、この子が幸せになれますように。
そう、母は願っていたのだった。
ルティに力があることが分かりました。
やっとファンタジー要素が出せました…
竜と会話ができるというのは並大抵の力ではないんです。
お母さんもびっくりですね。