表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
しのぶれど。  作者: 朝月夜
◆『杏』編
35/37

幕間3.手紙

 前略


 お元気ですか。


 今更あなたに季節の挨拶も要らないだろうと思って、ここには書かないことにしました。手紙にあなたの名前を綴ることも許されないので、宛名も書きません。私はあなたの名前を、手紙の中ですら呼べないのです。こんな些細な恨み言くらいはどうか許してくださいね。


 この度はあなたにお願いがあって手紙をしたためたのです。どうか、刺繍を売る手伝いをしては頂けないでしょうか。特別なことはいりません。ただ、毎月の物資をくださる時に、縫い上げたものを受け取って知り合いの店に並べて欲しいのです。ただそれだけで良いのです。


 あなたは私から何よりも大切なものを2つ取り上げました。今更それを取り戻そうだとか、そんなつもりはありません。ただ、私の宝物が幸せであることを祈るばかりです。


 あなたを責めるつもりは、ないのです。あなたもあなたで苦しい立場にあったことを知っています。あなた一人ではどうにもならなかったことを、理解しています。それでも、どうして何も言ってくれなかったのかと思わずにはいられないのです。私はただ、あなたと共にありたかっただけなのに。あなたと、貧しくとも生きていきたかったのに。


 あなたの罪悪感に漬け込む私は、きっと悪い女です。あなたに嫌われても仕方がないです。けれど、あなたの中に罪悪感が眠っているのなら、私は生きるためにそれを利用します。お願いです。どうか、私の願いを叶えて。


                      草々

















 (あなたに、あの子に、会いたい。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ