試験っ! その5
図書館の一角。
ちょうど4人で座れる大きめの机に、俺たち以外の2人はいた。
1人は、ディラン君ほどでは無いにしろスラリと背が高い女性。
座高であの高さなら、しっかり立ち上がったら170cmと俺の知っている女性の中では高めの身長を目にすることになる、と思う。
そして、なんと言うか............身なりに気を使っている、と言えばいいのかな。
最近は女性というともっぱらリンさんしか見ていない。
リンさんは外に出ることがなければよく分からない柄がプリントされた服で過ごしているので、そういうものだと思っていた。
偏った視点って良くないね。
そして、もう1人は男性、いや男の子だ。
年齢は絶対、俺より若い。
15.............いや、14でも違和感がない。
まだ容姿が男女でハッキリ割れない時期なんだろう。きっと。
ガッチリ鍛えているのか筋肉があるのは見るだけでも伝わってくるけれど、体重の絶対量が足りてない気がする。
何となく華奢で力不足な印象を受ける...............
ダメだ俺も人の事言えない。
彼は目の前の女性と何やら話していた。
これで同じチームのメンバーふたりめ。
「悪い。遅くなったな」
「ええ、大丈夫よディランくん」
ディラン君はその女の人に慣れた様子で声をかける。
この2人は知り合いなのかな?
俺が座る前に、ディランがスタスタと歩いて行き女性の隣に腰を下ろす。
ディラン君が先に座ってしまったので、俺は自動的に少年の隣に座ることになり、ディラン君と対面する形となる。
メンバー3人目、ディラン君。
改めて対面すると、やはりとてつもなくガタイがいい。
薬によって限界まで身体能力を引き上げられた俺とはまた別の、天然のパワー。
こう見ると、いい肉体を持つこともまた才能のひとつだな、と感じさせられる。
心なしか、隣の女性と服装のセンスが似ているな、とも感じる。
「じゃあ.........まずは自己紹介でもしようか。
トケラ北アメリカ支部隊長より推薦を受けて受験をするディランだ」
「私はユリ。横にいるディランくんと同じで、トケラさんから推薦を受けて来たわ
....................ちなみに、ここの試験監督はトケラさんよ。」
と、女性............ユリさんの自己紹介が終わると、ディランが俺に目配せをしてくる。
あ、次は俺の番なのか。
「えーと.........ベロキです。レスパさんの推薦で来ました」
メンバー4人目は俺。
客観視してみると、俺はこの中では最も特徴的な容姿をしていると言える。
肌は他の3人と比べても圧倒的に白いし、髪の毛まで真っ白だ。
そのくせに目は血(血って意外と黒いんだよ。知ってた?)よりも真っ赤だし。
俺が名乗ると、ユリさんと隣にいる男の子が驚いたようなジェスチャーをする。
さっきディラン君にレスパさんの立場というか役職というか.........を教えてもらったけど、やはり相当な有名人なんだろう。多分。
俺の自己紹介が終わったということで隣を見ると、男の子と目が合う。
深い深い、藍色の目。
何故かその目を見た俺は...............吸い込まれるように魅入ってしまう。
この感情はなんだろう。
安心させてくれる眼だ。
言葉で表現するなら何だろう?
うーん........................
親近感。
これだ。親近感だ。
親近感か...............。
いや、なんで俺はこの知らない男の子相手に親近感を抱いているんだろう?
「おれはパキケ。リュグナーさんから推薦を受けて来たんだ」
うん。
なんというか..................................いや、別にいいか。
分からないことを大真面目に考察してみたって分からないものは分からない。
別に考えることは俺の得意分野でもないし。
この話はやめだ。
何はともあれ。
これで俺、ディラン君、ユリさん、パキケ君の4人がチームとして揃った。
「さて、早速実技試験の練習に入りたい訳なんだが.....................大きな問題が1つある。」
「問題?」
「お前のことだ。ベロキ。」
「俺?」
「俺たち3人は筆記試験を勉強せずとも受かれる知識を持っているが、お前は違うだろ?ベロキ。」
「あー.....................そうだね」
さっきディラン君の参考書を少し読んでみたけど、確かにほとんど分からなかった。
そうだよね。あれの勉強をしないといけないよね。
「とはいえ、だ。
この試験は正直、そこまで難易度が高い訳じゃない。
だから2人とも。これから筆記試験まで、俺たち3人でコイツに座学を教えてやろうと思うんだが、いいか?」
「私は構わないわ」
「おれも賛成かな」
「と、言う訳だ。
....................................拒否権はないぞ?」
「あ、........................ハイ」
俺の横には、肩をガッチリ掴んで俺を逃がすまいと拘束するパキケ君。
目の前にはいつの間にやら大量の本を持ったユリさん。
この3人の無言の連携具合を見て、俺はこの3人が元々からの知り合いであることを確信したのだった。
「とりあえず半日は机に向かって貰うぞ」
「嘘つけ3日はできるだろ改造人間」
「パキケ君?!?!」




