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レガシークエスト  作者: 鯣烏賊
第2の人生の序曲
31/47

試験っ! その4

ディラン君に説明を受けた後、寮の案内を受けた。


まず、1階が食堂。

好きなタイミングで食事をとることができるので、24時間営業。

受験票を機械に読み取らせることで受付され、メニューを指定するとロボットが勝手に作ってくれる。

流石に食べ続けられるとマズイ、ということで、注文数は1日3回までと制限(飲み物を除く)されているらしい。

ちなみに、料理の味はマズイらしい。


次に、2階と3階が訓練所。

大きな部屋がいくつかあり、そのうちの一つの扉を開けるとチェア型のVR機器が4つ並んでいた。

試験説明でも言われた通り、今回の実技試験は4人1グループで行う。

この4つのVRチェアはサーバを共有しているらしく、ここで実技試験に向けた練習をするそうだ。

使用できるのは朝の10時から夜の10時らしい。

ちなみに、これ以降各フロアに受験者が自由に飲めるドリンクサーバーがあるので、いよいよ食堂の価値が薄れてきた。


そして4階、資料館。

試験の運営側が厳選して資料を準備した、「試験勉強のための図書館」。

一般的な小説やエッセイの類は準備されておらず、ずらりと背表紙を軽く眺めてみれば「怪獣」「法律」「武器」「理論」「討伐」などなどイカつい言葉ばかり並んでいる。

てっきりデジタルで処理しているものかと思ったが、アナログな紙の本しかなかった。


そして5階と6階が寮。

俺たち受験生が泊まっている寮がある場所だ。

各階につき2人組の部屋が40部屋あり、それが2回分で80部屋。そして、向かい側のもうひとつの寮も含めると160部屋。

単純計算につき、約320人の受験生がこの会場にいることになる。

そう考えると、だいぶ規模の大きな試験である。

ちなみに、5階と6階にもドリンクサーバーがあったので、本格的に食堂の存在意義が危ぶまれて............いや、どうせご飯はあそこで食べないとね。




さて、この試験は俺が飛び入りで参加した本日から開始される。

一応、もう一度内容の確認をしておこう。

日程はミクロさんが言っていた通りに、21日の3週間。

14日目の午前中から午後にかけて筆記試験があり、21日目に実技試験が行われる。

筆記試験は今では珍しき古典的な紙に書き込む座学試験(どうやらこの方式が不正行為防止として優れているらしい)。

実技試験は運営側から指定された4人で行うチームでの実技試験。




さて、本来ならば筆記試験の座学なんてみんな頭に入っているから、直前に少し復習を挟む程度で他はチームでの実技試験の練習に時間を割くそうだ。

当然だよね。

初対面のメンバー4人が集まるなら、実戦に近い練習をするよね。

例外を除いて。


「何だとッ............?」


「本当にごめん。」


「先程の「勉強しないと」はそういう話だったのか.........................」


「うん。」


俺だ。

まあ俺以外の例外が存在するのか、と問われたら微妙な答えを返すしかないけど......。

さっきのディラン君の説明で「座学の知識を問う筆記試験」の存在を聞いたときにものすご〜く嫌な予感がしたのだ。

そしてディラン君に質問して、ディラン君にある程度その知識とやらを話してもらったのだけれど.....................。

やはりというか案の定というか当然と言うべきか何というか...........................欠片も内容を理解できなかった。固有名詞があまりにも多すぎる。

と言うか、何でミクロさんは出発する時に筆記試験があることを言ってくれなかったんだ。

言ってくれたなら.................きっと心の準備くらいは出来たのに。


「とはいえ、あいつらとも会わせないといけないしなぁ」


「あいつら?」


「先程の説明であっただろ?

この試験は4人1組だ」


「ああ、そうだったね。」


そうだよね。

さっきの説明で言っていた。

この試験の実技試験は4人1組。

同室の2人と、別の同室の2人がランダムに組まれて4人組。

俺たちの場合は、俺とディラン君と、あと2人。

その人たちとも顔合わせをしないといけないのか。


「そうだな。じゃあベロキ、アイツらに会う前に少しは勉強を始めてもらわないとな。

........................一応聞くが、参考書は持っているのか?」


「サンコーショは持ってないよ」


「あぁ、参考書の発音からして存在すら認識していなさそうだな」


「うん。知らない」


ディラン君は深ーい溜息をついた。

サンコーショ?とやらは知らないけど、多分試験のために必要なものなんだろう。きっと。

じゃあなんでミクロさんは渡してくれなかったんだ、という話になるのだけど、前のことを振り返っても仕方ない。


ん、ディラン君が何かを持って近づいてきて.........................。


「読め。」


「え?」


「いいから読め。」


表紙には無機質な字で


討伐許可試験受験者の為の"討伐理論基礎と討伐理論"


と書かれている。

これが恐らく、サンコーショかな。


ええと、サンコーショ?を開いて

ここか。

ああ、ここは目次になってるのか。

え?なになに、ディラン君。

一旦読んでみろって?

わかったよ。一旦読んでみよう。










【討伐許可試験受験者の為の"討伐理論基礎と討伐理論"】


目次と前書き

p1〜2


第1章:心構えと関連する法律

p3〜55

・討伐者と成る者の心構え

・怪獣討伐に関連する国際法律


第2章:一般の武器と求められる立ち回り

p56〜223

・通常武装

・固有武装

・求められる役割と立ち回り

コラム:過去の異物


第3章:怪獣

p224〜403

・分類と大まかな情報

・出現数の多い怪獣とその対策

・再出現の予想される被害の大きい怪獣

コラム:ヒトガタ


第4章:歴史

p404〜454

・これまでに起きた被害の大きな怪獣災害

・怪獣討伐を巡った国際論争

・公営と私営


索引と後書き

p455〜456









「............おい、ベロキ」


目次を読んだところで、ディラン君が呼び止めてきた。


「お試しとしてはこのような感じだが...............理解はできそうか?」


「うん。なんとか」


「そうか............じゃあ今からアイツらに会いに行くぞ。

一応、名簿だ」


まあ会ったことは無いだろうがな、とディラン君が渡してきた名簿には、

・ユリ

・パキケ

・ディラン

・空欄(たぶん俺のこと)

の4人............いや、3人の名前があった。

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